ファーストレーンのデザイン


クラシックカー
スポーツカー。 オートバイ。 メンズジュエリー。 一見お互いに相反するグループに見えますが、近くで見ると共通のデザイン要素を相当な頻度で共有しているのが分かります。例えばなめらかなライン、研磨された金属、マットブラックと真紅のカラーパレットなどです。 それは驚くことではありません。なぜなら、これらのデザインの選択が全ての人々にとって魅力的なステータス、力、影響を与えるからです。

自動車産業とジュエリー産業が互いのデザイン発想を交換することは、特に珍しくもありません。 ポルシェはカフスボタン、ネックレス、イヤリングを作るジュエリー部門を設けています。 フェラーリは、馬が2足で立ち上がるような動作を象徴したカフスボタンを製造しています。 2013年5月にはJewel-Craft Inc(ジュエル・クラフト社)が、NASCARの人気ドライバー5人から成るジュエリーコレクションである記章コレクションを発表しました。 コレクション作品にはスティアリングホイールのイヤリングや レース用ヘルメットの形をしたキーチェーンなどが含まれています。

2013年4月公開のマーケティングデイリー内のオンライン記事によると、フォードマスタング50周年を記念して、49社の企業が腕時計、コロン、記念のマスタング革ジャン、マニキュア、テレビゲーム、ダイキャストモデル、洋服、その他の数多くの製品に車のロゴを使用しました。 ブライトリングはさらに一歩先を行きました:ベントレーと提携し、自動車メーカーの象徴となる両翼のロゴを特徴とした時計を製作したのです。
車のデザインは、引力によって駐車場の車だけでなく、仕事着やパーティー服にも影響を及ぼします。 アクセサリーを身に着ける男性が増加する傾向にある昨今、カーモチーフのジュエリーデザインが巷にあったとしても何ら不思議ではありません。
GIA博物館の展示企画開発担当、McKenzie Santimer
ジュエリーデザイナーは様々な技術を駆使して車のデザインが持つスマートな美しさとその力を取り込みます。 作品の製作はベースとなる下絵から描き始めることが多く、その後コンピューター支援設計(computer-aided design, CAD)ソフトウェアに変換されます。 3D CADソフトウェアの使用は車の粘土模型を作ることに類似し、デザインチームのメンバーからのフィードバックが得られやすくなります。

「GIAのジュエリーデザイン&テクノロジープログラムは、同様のデザインコンセプトを取り入れています。 学生は自分たちのアイデアのラフスケッチを作成します。 その後、CADでデザインを作成します。 こうして現物に近いフルカラーのレンダリングを作り、その作品を多元的な視点から観察できるようになります。 それに続いて学生は自らの作品を発表し合い、クラスメートや講師からのフィードバックを受けます。 コンセプトが確定されると、それらを3Dプリンタやワックス加工など高速3Dプロトタイプを作成します。」と、グローバルジュエリー製造芸術ディレクターであるMark Mannが説明します。

ホイールキャップとカフスボタン

ホイールキャップに見せかけたカフスボタン?高度に研磨された金属部は確かにそう見えます。 マットブラックや真紅の配色はスポーツカー愛好家の男性にとって魅力的であるに違いありません。 円が幾重にも重なった幾何学的対称性もまた同様です。

ホイールキャップとカフリンクス
写真左:Eric Welch/ GIA、提供:Craig Selimotic Danforth

アンチェイン(鎖から放つ)と装着準備

このIDブレスレットは色々な面でオートバイのチェーンとの類似性が認められます。 ツートンカラー金属から成り、連続したロッキングパターンを持ち、さらにこの類いのデザインに不可欠な皿頭ねじが用いられている点です。 これらの要素は、ほとんどの男らしいモーターサイクリストにとって十分に力強くたくましいイメージを表現します。

アンチェイン(鎖から放つ)と装着準備
写真右、©GIA

外見よりも機能

研磨済みクロムパイプ、光沢を放つキャブレター、そして露出したギアは、バイク愛好家がバイクの外見と同様にその内側にも拘ることを示唆します。 ボンネット下に隠された美を尊い、外見よりも機能を重視するセンスが伺えます。 このチタン製腕時計はスーパーカーと同じ設計原理を共有しています。 本体を分解して露出した「エンジン」とギアはデザインそのものであり、それは車愛好家たちの興奮を駆り立てるようなものなのです。

外見よりも機能
写真右:Eric Welch/GIA、提供:Gunalp Horologist Watch & Clock Shop(グナルプ・ホロジスト・ウォッチ&クロック)

フェンダーベンディング(フェンダーの曲げ)

シンプルで幾何学的な線によってアートデコの時代を連想させるカフスボタンは、クラッシックカーのラジエーターグリルを彷彿させます。 またタイヤトレッドのようにも見えます。

デザイナーのインスピレーションに関わらず、カフスボタンはシンプルで機能的です。 カフスボタンの3色の色も、ベルトのバックルや腕時計の他、様々なアクセサリーと合わせやすく、コーディネートがしやすいです。

フェンダーベンディング(フェンダーの曲げ)
写真:Eric Welch/ GIA、提供:Craig Selimotic Danforth
次にジュエリーデザインをするときに、駐車場を歩いてみてください。 車のデザインがあなたのインスピレーションを掻き立ててくれるでしょう。