タイのデザイナー、宝飾品コンテストのために伝統と文化遺産からインスピレーションを受ける


左から: ファイナリストSongsak Sirimartpornchai、Sutattar Chanrungrojne、Nattawat Srinoon、Rojarin Nanthavisuttiwong、Supparanun Kanchanakulが、バンコク芸術文化センターにて、GIA東南アジア支部取締役およびリサーチディレクターのKenneth Scarratt(右から3人目)から賞を受ける。 写真提供:GIA
フレッシュ。 エキサイティング。 革新的。 
 
これらは、バンコクのGIAが主催する宝飾品デザインのコンテスト「Create Your Own Legacy(独自のレガシーを作る)」に提出された約300のデザインを表現するいくつかの言葉です。 
 
2013年半ばに開催されたこのコンテストは、すべての経験レベルのデザイナーがタイの文化遺産よりインスピレーションを受けるように奨励しました。 その結果はどうだったでしょうか?現地の花、マングローブの木、その他のタイのシンボル等にインスピレーションを受けた大学生や宝飾品愛好家、宝飾品専門家までに至るまで様々なデザイナーが、豊富な宝飾品のスケッチを提出しました。    
 
GIAバンコクの20周年を記念するために企画された5ヶ月間のプロセスは、タイのデザイナーが才​​能を披露し、宝石学の知識を拡大し、Beauty Gems(ビューティ宝石)、Blue River(ブルーリバー)、Fadamas(ファダマス)、Mouawad(モウワッド)、Sette(セッテ)等の著名な宝飾品会社とともに仕事をするための機会となりました。 入賞者には、GIAのデザイン、宝石学および宝飾品プログラムのための奨学金が授与されました。 優勝したデザイナーは、キャンパス内のグラジュエイトジェモロジスト(GG)プログラムの奨学金と2014年3月のHong Kong International Jewellery and Gem Show(香港国際ジュエリー・宝石ショー)への旅行を獲得しました。 
 
「バンコクのコミュニティは、20年前からGIAを丁重に温かく受け入れています。 このコンテストは、ここの宝飾業界にお返しをする機会でした」と、GIA東南アジアの管理ディレクター兼バンコク研究室ディレクターであるKenneth Scarratt(ケネス・スカラット)は言いました。 
 
応募作品は、業界の専門家や地域社会で評判の高いメンバーを含む審査員によって審査されました。 グループは、コンテストの次のステップに進む21人のデザイナーを選択しました。次のステップは、ダイヤモンドおよび宝石に関する参加者の知識をより向上させ、デザイン能力の強化を目的として特別に作られたバンコク校での集中的な宝石学ワークショップです。  

GIAバンコクキャンパスの3日間の宝石ワークショップでデザインスケッチを見せる参加者。
デザインスケッチを見せるGIAバンコクキャンパスでの3日間の宝石学ワークショップの参加者。 写真提供:GIA  
入賞者であり18年以上のジュエリーデザイン経験を有するバンコクのSongsak Sirimartpornchai(ソングサック・シリナルトポルンチャイ)は、宝飾品の作品のために選ぶ宝石の種類についてワークショップで詳しく学ぶことができた、と述べました。 「このクラスで学んだ知識は今後のデザインで使用します」と彼は言いました。  
 
ワークショップ終了後、デザイナーは次の審査のためにオリジナル作品をさらに完成したものにするか、またはカラー宝石をデザインに組み込んで新しいスケッチを提出するよう求められました。  
 
もう一人の入賞者であるタイのアユタヤ出身のSutattar Chanrungrojne(スタタール・チャンルングロール)は、実用的なベーキング用品にインスピレーションを受けて、ネックレス、カフとイヤリングのセットをデザインしました。 
 
「多くの場合、人々は美しい物からインスピレーションを得ますが、私は違う考え方をしたかったのです」と、彼女は述べました。 「あまり魅力的でないバナナの葉は、タイの伝統的な生活において非常に便利なものです。 これらは、アルミホイルやクッキングシートの代わりに調理したりデザートを作るのによく使用されています。」 

Suttattar Chanrungrojne(スタタール・チャンルングロール)は、バナナの葉からアイデアを得て「バイトン」というネックレス、カフブレスレット、イヤリングのセットをデザインした。 出場者は、宝石会社と協力して自分のデザイン(左)を具体的なジュエリーに仕上げた。
Sutattar Chanrungrojne(スタタール・チャンルングロール)、はバナナよりインスピレーションを受けたネックレス、カフブレスレットとイヤリングのセット「Baitong(バイトン)」をデザインしました。 出場者は、宝飾品会社と協力して自分のデザイン(左)を実際の宝飾品の作品に仕上げました。
鮮やかな緑色の宝石を特徴とした彼女のスケッチは、トップ5のデザインの一つとして選ばれました。 
 
5名の入賞者は、宝石会社と直接作業をすすめて、自分のデザインを完成品に仕上げる機会を得て、その後審査員によって審査されました。 優勝者のデザインは、2013年後半にBangkok Art and Culture Center(バンコク芸術文化センター)で開催された贈呈式で発表されました。   
 
最優秀賞を獲得したタイのナコンスリタマラート出身のNattawat Srinoon(ナタワット・スリヌーン)は、タイの伝統的な織物にインスピレーションを受けた作品をデザインしました。 「You Clothe Me(私を着飾って)」というタイトルが付けられた彼の宝飾品は、 タイ文化の歴史とレガシーを表現しています。 Silpakorn University(シラパコーン大学)でジュエリーデザインを専攻する学生の彼は、グラジュエイトジェモロジスト(GG)のディプロマを取得した後、ファッションデザインの研究に従事したいと計画しています。
 
一位優勝者のNattawat Srinoon がデザインした「You Clothe Me(ユー・クローズ・ミー)」は、タイの民族衣装から発想を得たジュエリーセットだ。
最優秀賞を獲得したNattawat Srinoon(ナタワット・スリヌーン)は、伝統的なタイの衣服によりインスピレーションを受けた宝飾品のセット「You Clothe Me(私を着飾って)」をデザインしました。 
「僕は、宝飾品とファッションが切っても切れない関係にあると信じています」と、彼は述べました。
 
彼は、タイのデザイナーを特別に対象とした、特に大手宝飾品会社がサポートするコンテストはめったに見つけることができない、と語りました。 「僕は宝石学の集中ワークショップから多くのことを学び、また宝飾品会社との共同作業から製造に関する多くの経験を得ました。」     
 
しかし、そのイベントから恩恵を受けたのは出場者だけではありませんでした。 
 
「出場者は自分のデザインを業界の専門家やプロのデザイナーにより検討してもらえる機会を与えられ、宝石と宝飾品のキャリアを前進させるための経験を手に入れることができました」と、GIAのScarratt(スカラット)は言いました。 「しかし、参加した宝飾品会社も新しい才能と仕事をする絶好の機会を持ち、創造的なデザインからインスピレーションを得ました。」