ソウェト宝石商は、南アフリカへの希望の象徴


Nqobile Nkosi(エンコビル・エンコシ)、南アフリカのソウェトにある彼のスタジオにて。
Nkosi(エンコシ)、南アフリカのソウェトにある彼のスタジオにて。 写真提供:Robert Weldon(ロバート·ウェルドン)、© GIA 2012年
GIAの写真撮影およびビジュアルコミュニケーションのマネージャーであるRobert Weldon(ロバート·ウェルドン)」は、2012年に南アフリカへ旅行した際にNqobile Nkosi(エンコビル・エンコシ)に会いました。 Nkosi(エンコシ)は、黒人居住区で雇用機会を創出したいと願っている南アフリカのソウェト出身の自力で大成した宝石商です。 

このソウェト初の地元出身の宝石商は、目標を高く掲げ、非常に強い野心を持っています。 
 
宝飾品デザイナー、製造業社および小売業者であるNqobile Nkosi(エンコビル・エンコシ)は、新しい南アフリカの特徴である起業家精神を体現しています。 
 
彼の話は、社会的な障壁の除外と同じくらい、宝飾品の教育とイノベーションに焦点を当てています。 それが単に財政的なものであろうと社会的なものであろうと、その障害を単に認めない男性の話です。 それどころか、彼の構想は明確です。それは、ビジネスを構築し、新しい宝飾品を作成し、協力と友情を通して彼のアイデアを世界中に広め、そして何よりもまず地元での雇用を創出することです。 
 
ヨハネスブルグの南西にあるソウェトは、抑制、行動主義、そして今まさに希望が交差して形成されました。 南アフリカの首都の広大な郊外として1961年に合体した黒人居住区の集まりが存在するこの百万人以上の人口には、近くの金とダイヤモンド鉱山で毎日一生懸命に働くアフリカの多くの鉱山労働者がいます。
 
最終的にアパルトヘイト制度に終止符を打つ助けとなり、今でこそ有名になった暴動の現場ソウェトは、ネルソン·マンデラと反アパルトヘイト運動の他の指導者の生地でもあります。 依然として非常に未発達のものの、起業家精神とビジネスの創出が増加しており、ソウェトは希望と自由の国が生きているシンボルとしてゆっくりと浮上しています。
 
「自分のすることに専念して夢中になっていれば、誰でも状況を乗り超えて、成功を収めることができます」とMandela(マンデラ)は述べました。 
 
Nkosi(エンコシ)は、それらの言葉を行動に移したのです。
 
ケーキ、ビスケット、そしてウィンドウ
Nqobile Nkosi(エンコビル・エンコシ)は、2004年における数十万人もの南アフリカ人と同じように、自分が岐路に立っているのに気が付きました。
 
「私は失業者であったので在宅していましたが、本当に私の人生で何かをしなければいけないというところまで行き着きました」と彼は語りました。 友人にSoweto Jewellery Training School(ソウェト宝飾品研修学校)でコースをとるように勧められ、エンコシはすぐに学業に励みました。
 
「研修が終わる数ヶ月前に、生計を立てるためと初めての研磨機や超音波洗浄器を購入するために、学校でケーキやビスケットを売り始めました。 私は、トーチと小さなベンチのために私の寝室に小さなスペースを作りました」と彼は説明しました。 「私は、すべて一人で仕事をする宝石商だったのです」 
 
宝石商が黒人居住区に店を開店するのはあり得ないように思われますが、Nkosi(エンコシ)は、彼が学業を終える前でさえも、ビジネスが尽きることはなかった、と述べました。
 
注文は着実に彼のもとにやって来ました。「このリングのサイズを直していただけないでしょうか」「これをポリッシュしてくださいますか?あと、それもしてくださいますか?」 
 
Nkosi(エンコシ)は、機会が現れるたびに掴みました。 人と話すこと、取引に紹介されたこと、彼の地域社会に貢献できることが、Nkosi(エンコシ)の転機となりました。 「本当に一番大切なのはあなたが何を実現したいかということなのです。 私にとっては、宝飾品のビジネスは異なっていました。 それが私の人生の中で新しい窓を開いて、私はその経験を携えてさらに前進したかっただけなのです」  
 
Cornerstone(コーナーストーン)デザイン, ブブゼラとシルバーフレームリング。 写真提供:Cornerstone(コーナーストーン)
「ブブゼラ」またはファンファーレと呼ばれるこのCornerstone(コーナーストーン)のデザイン(左)は、好きなサッカーチームを応援する際に音を立てるために競技場で使用されています。 南アフリカは、2010年にサッカーFIFAワールドカップを主催しました。 シルバーフレイムのリング(右)には、黄水晶がセットされています。 写真提供:Cornerstone(コーナーストーン)。
その後、彼は成功は収め、南アフリカビール促進賞(若手起業家に与えられる賞金)、ジェットコミュニティ賞、ハウテンローカルビジネスリーダーとしての候補など地元で賞を受賞したり広く認められるようになりました。 他の形でも彼の功績は認められました。
 
ビジネスが繁栄してさらに多くの人を雇うことができるように、彼は賞金のすべてをビジネスに投資しました。
 
「私にとっては、成功とは新しい車を運転することではないのです」とNkosi(エンコシ)は言いました。 「このビジネスを一世代から次の世代へ伝承することができるということが、成功だと信じています」 
 
エンコビル・エンコシ、南アフリカのソウェトにある彼のスタジオにて。
Nkosi(エンコシ)のスタジオは小さいので、満員になっています。 彼の宝飾品のために国際的な客層に手を伸ばす際、Nkosi(エンコシ)のスペースに対する考慮、道具、セキュリティ、および従業員の更なる訓練が、彼の主な焦点となります。 写真:Robert Weldon、© GIA 2012年
成長と今後の将来
Nkosi(エンコシ)は、2007年に新会社のNQ Jewellery(NQジュエリー)を創設し、それが成功したため、すぐに追加のサポートが必要となりました。 「私の兄が助けに来てくれましたが、すぐに私はまた別の同僚を訓練していました」と彼は述べました。 「現在、6人がスタジオで働いています」 
 
彼が今直面している主な課題は、物流です。拡大するための新しいスペースや、従業員のための訓練が必要とされています。
 
また、Nkosi(エンコシ)は、国際的なつながりも確立し始めました。 数々の賞を受賞した英国の宝石商であるPaul Spurgeon(ポール·スポルジョン)が、南アフリカへの出張の際にNkosi(エンコシ)と出会い、二人はすぐに友人になり、ビジネスパートナーになりました。 彼らは一緒にCornerstone(コーナーストーン)と呼ばれる国際的な別会社を設立し、その後すぐにNkosi(エンコシ)はSpurgeon(スポルジョン)の製造施設で研修するために英国のバーミンガムへと旅立ちました。 計画は、Nkosi(エンコシ)のスタジオの別の従業員が今後数年間で同じ道を進むことです。 
 
スポルジョンは、英国を拠点とする業界誌「プロフェッショナル宝石商」でエンコシとのパートナーシップについてこのように書きました。「コーナーストーンへの私の個人的なコミットメントは、取引に必要なすべての材料を私たちに与えてくれている大陸で、非常に頻繁に取り残され忘れ去られている人々にスキルと仕事を提供するのに役立ちたいという私の願望に基づいています」 ピンクゴールドやコニャックダイヤモンドをちりばめた茶金色の酸化チューブのマイクロペイブピンクサファイアをお試しください。 写真提供:コーナーストーン。
このデザインは、酸化したチェーンディテールのあるパゴダのペンダントを特徴としています。 英国に拠点を置く受賞に輝くデザイナーのPaul Spurgeon(ポール·スポルジョン)は、Cornerstone(コーナーストーン)と呼ばれる別会社でのNkosi(エンコシ)のビジネスパートナーです。 写真提供:Cornerstone(コーナーストーン)。
Spurgeon(スポルジョン)は、英国を拠点とする業界誌『Professional Jeweller(プロフェッショナル宝石商)』でNkosi(エンコシ)とのパートナーシップについて次のように書きました。「Cornerstone(コーナーストーン)への私の個人的なコミットメントは、取引に必要なすべての材料を私たちに与えてくれている大陸で、非常に頻繁に取り残され忘れ去られている人々にスキルと仕事を提供するのに役立ちたいという私の願望に基づいています」
 
Cornerstone(コーナーストーン)の共同プロジェクトおよび宝飾品ブランドは、バーミンガムのスプリングフェア・トレードショーで初めて製品を発表し、私たちが2012年後半にソウェトでNkosi(エンコシ)を訪問した際に、新たな国際的な製品をGIAに披露してくれました。 
 
Spurgeon(スポルジョン)とNkosi(エンコシ)のCornerstone(コーナーストーン)への構想は、英国社会でも勢いを増しました。2012年2月、Spurgeon(スポルジョン)はロンドンのゴールドスミスセンターからパリへ自転車で走るというスポンサー付きのイベントを主催しました。 バーミンガムの貴金属鋳造会社であるWeston Beamor(ウェストン・ビーモー)が、初めての国際的なコレクションを発表できるように、グループに無料のキャスティングサービスを提供してくれました。 
 
6. Nkosi(エンコシ)は英国バーミンガムに本拠を構える貴金属鋳造会社であるWeston Beamor(ウェストン・ビーモー)と提携します。
Nkosi(エンコシ)は英国バーミンガムに本拠を構える貴金属鋳造会社であるWeston Beamor(ウェストン・ビーモー)と提携します。 写真提供:Cornerstone(コーナーストーン)。
Nkosi(エンコシ)は、2013年に南アフリカ風のモチーフの完全なコレクションを発表する準備ができています。 「当社の製品は、ユニークなアフリカの外観を持つことを目指していますが、ヨーロッパの魅力も兼ねたものをお届けしたいと思っています」と彼は言いました。 「これが、ブランドの立ち上げです」
 
2013年、Nkosi(エンコシ)は、GIAの国際事業の故副社長であるTawfic Farah(タウフィーク・ファラー)およびGIAの理事会のメンバー数人と会見しました。 GIAは、AJP教育奨学金をNkosi(エンコシ)に提供し、後に彼はそれをすぐに修了し、GIA同窓会のアフリカ支部長の役割を担ってきました。
 
ソウェト初のデザイナー兼宝石商であるNqobile Nkosi(エンコビル・エンコシ)は、明らかに過去を振り返りません。 自分自身と彼のチームの教育を促進することおよび母国で待望の雇用を創出することに焦点を当て、宝石商の国際社会に参加しています。