真珠:自然の持続可能な宝石

真珠は他の宝石とは異なり、有機質で、生きた母貝の中で形成されます。 その形成が、天然かまたは慎重に養殖されたかに関わらず、真珠は水中の植物、動物、そして多くの場合に脆弱な生態系の中で育ちます。 しかし、真珠は環境を助けることができるかについて考えたことがありますか?これが、海洋養殖真珠の生態的影響を研究するグループが現在取り組んでいる質問です。
オーストラリアのUniversity of Queensland(クイーンズランド大学)で採鉱における社会的責任に関するセンターのディレクターを務めている Saleem Ali(サリーム・アリ)博士は、2013年6月7日にカリフォルニア州カースルバッドを訪れて、再生可能な宝石としての真珠の利点と、真珠養殖の実践に関する研究内容を、GIAの学生たちと共有しました。 Ali(アリ)博士は真珠およびその環境への影響を研究するチームの一員です。
この研究グループは、真珠のサプライチェーンを理解するために真珠養殖者と直接連携し、業界のために持続可能性基準を作成するために自分たちの研究を使用します。 Tiffany & Co. Foundation(ティファニー財団)によって資金が提供された3年間のプロジェクトは、 真珠の養殖による環境への影響と、それが水質を改善し、サンゴ礁の保護にプラスの影響を与え、乱獲を減らすことができる方法について研究しています。
既にプロジェクトの半ばにあって、Ali(アリ)博士と彼のチームは、真珠養殖と環境保護の間に明らかなプラスの関連性があることを確認しました。 彼らの研究によると、きれいな水の必要性は、養殖真珠産業の重要な部分です。 「良質な海洋真珠を手に入れたければ、幸せな海水産貝が必要で、幸せな海水産貝は無公害の水を必要とします」と Ali(アリ)博士は述べます。
また、海洋生物など他の環境要因も重要な役割を果たしています。 Ali(アリ)博士と彼のチームは、どのような実践がサンゴ礁の維持に役立つかを学ぶため、サンゴ礁に対する真珠養殖の影響を調査しました。 絶滅の危機にある生態系は、海洋における生物の多様性を維持し、母貝に栄養を提供するのに役立つ多くの種の魚にとって住み処となっています。 これらのデリケートなサンゴ礁は、気候変動と汚染による漂白に脅かされています。 Ali(アリ)博士と彼のチームは、真珠養殖に用いられる網の素材の種類など、どんなに小さなことでもサンゴ礁の健康にとって悪影響を与える可能性があるので、あらゆる潜在的脅威について研究しています。
また、 Ali(アリ)博士は地元の経済における真珠養殖の影響も調査しました。 彼は、研究によって真珠養殖が地元の経済を多様化し、観光や漁業との共存が可能であることが示されたと述べました。 実際には、真珠の養殖は住民に収入を得るより多くの機会を提供するため、住民は漁業に依存する必要がなく、乱獲のリスクも低減されます。
プロジェクトがこれからも1年半継続するため、Ali(アリ)博士と彼のチームは真珠を持続可能であるとブランド化し、その環境への利益を推進する機会を模索していきます。 「真珠はユニークで、人間の時間スケールでは唯一、再生可能な宝石です」と、Ali(アリ)博士は話します。 しかし1999年以来、フランス領ポリネシアにおける真珠の輸出は増加していますが、価値は減少してきました。 チームは、消費者が真珠は再生可能な資源であり、環境を改善できると知れば、その価値が増加することを期待しています。
学生たちは、Ali(アリ)博士の研究が真珠産業にもたらす影響について非常に興味を示しました。 家族が養殖真珠業界で働いているという一人の学生は、自分が学んだことを家族と共有したいと語りました。 「違う視点を得る...そしてこの業界でより持続可能になる方法が存在しているのは素晴らしいことでした」と彼女は述べます。
Ali(アリ)博士は、持続可能性は真珠養殖の自然な一部分で、すべてが一緒に存在できるようにすることが鍵である、と強調しました。 また、これから養殖真珠産業に加わることを計画している学生たちには、「多大な将来性」があることを付け加えました。

Saleem Ali(サリーム・アリ)博士は、カリフォルニア州カールスバッドでGIAの学生とスタッフに彼の研究を発表しました。 写真提供:Kevin Schumacher(ケビン・シューマッハ)/ GIA。

南太平洋にあるこちらのような海洋真珠養殖場は、真珠養殖が環境に与える影響に関する3年間の研究プロジェクトの焦点です。 写真:Amanda Luke(アマンダ・ルーク)/ GIA。

ランチタイムのプレゼンテーションで、学生達は研究グループがどのように真珠を持続可能なものとしてブランディングを模索しているかについて学びました。 写真提供:Kevin Schumacher(ケビン・シューマッハ)/ GIA。