同窓会

エリザベス一世からエリザベス·テイラーまで:古くからの宝飾品


BBCのAntiques Roadshow(アンティークロードショー)に長年貢献しているJohn Benjamin氏は、12月のGIA同窓会ロンドン支部のイベントで講演し、ジェリーデザインを時代背景の中で考えることの重要性を伝えた。
John Benjamin氏は、ロンドン同窓会支部会で講演し、その時代の文脈を軸にしながらジュエリーデザインを考えることの重要性を訴えました。 写真提供:© GIA
BBCのAntiques Roadshow(アンティークロードショー)に長年貢献しているJohn Benjamin氏は、2013年12月にGIA同窓会のロンドン支部会を訪問して「1時間4分で、ジュエリー450年についての私見を概説」することを約束しました。 彼は情熱と専門知識、そしてユーモアに満ちた講演を行い、50名以上の同窓生のメンバーやゲストに公言した内容以上のものを届けてくれました。 
 
英国宝石学協会(Gem-A)のFGAおよびDGAであるベンジャミン氏は、Bloomsbury(ブルームズベリー)の有名な宝石商であり元はGIAのロンドンキ​​ャンパスから目と鼻の先に位置していたCameo Corner(カメオコーナー)に1972年に就職しました。 そして、23年間Phillips Fine Art Auctioneers(フィリップス ファインアート オークショニアズ)で働いた後、1999年に彼の名を冠した独立宝石コンサルタント会社を設立しました。 
 
講演は、16世紀の宝石に対する人々の姿勢や、人々がジュエリーを身に着けた理由についての話から始まりました。 魔法や宗教的な結びつきと共に、地位が人々の装飾の選択を左右する強い要因であった、と彼は言います。 1558年から1603年に在位したエリザベス一世は、究極のパワードレッサー(権力を装いで示した人物)だったそうです。 その点を裏付けるため、金や宝石、特に真珠で派手に飾られた彼女の有名な肖像画が紹介されました。
 
「彼女はジュエリーを身に着けているというだけでなく、そのことでうめき苦しんでいるんです。 たくさん飾り過ぎて、倒れそうなのです。」と説明しました。
 
その後、ペースト(ガラス)で作られた最初の模造宝石が使われた17世紀、そして特にろうそくの灯の下で表れるダイヤモンドの魅力を見せる機会を歓迎した18世紀について、概説しました。 インド産やブラジル産の石をシルバーにセットした、ダイヤモンドのリボン型(ボウ)ジュエリーがこの時代の流行でした。 
 
1820年から30年代のセンチメンタルでロマンチックなスタイル、1850年代のスプレー咲きの花のブローチといった自然や自然主義の時代、それから、特にイタリアに旅行し始めた英国の裕福なエリート層のために製作された、旅行者用ジュエリーについて、ベンジャミン氏は簡単に触れました。 
 
また1880年代から90年代に流行した、生き生きとしつつもエレガントな動物や昆虫のジュエリーを挙げ、「ジュエリーはその時代の背景に合わせて見る必要があります。」と述べました。 19世紀末は、英国で普及した「安っぽいシルバーブローチ」に代表される、ジュエリーの大量生産の時代に突入します。 
 
中産階級の台頭と大英帝国の皇帝統治、南アフリカでのダイヤモンドの発見のいずれもが、ダイヤモンドが全てという1900年以降の風潮に作用したと彼は言います。 キンバリー鉱山の発見がダイヤモンド消費を民主化し、バーミンガム、チェスターなどの北部の都市工場は商品を切望する市場に向け、大量生産を行いました。 これが、商業主義に対応して興ったアーツ・アンド・クラフツ運動につながりました。 例として、Gaskins夫妻によるブローチを挙げています。
 
ベンジャミン氏は、20世紀初頭のジュエリーデザインで最も重要な変化は、プラチナの導入であったと言います。それにより、多くの偉大なヨーロッパのジュエリー企業が生まれました。特にカルティエが有名です。 第一次世界大戦の到来と共に購買動向の変化の幕が開き、ジュエリー購入の主要市場が現在も世界最大の消費者である米国へとシフトしました。 彼はこの変化の典型的な例としてHope diamond(ホープ・ダイヤモンド)を挙げ、今日市場に出されたとしたらいくらで売れるか想像がつかないと言います。
 
1920年代の優雅なジュエリーと1930年代のアールデコの後、1940年代から50年代には非常に異なった独特のデザインが流行し、アクアマリン、ペリドット、シトリン、さらにはジルコンなどのカラー宝石をたくさんあしらった作品が見られました。 ベンジャミン氏はこれを、仕事をして自分でジュエリーを購入していた女性を特徴付ける時代と呼びます。 
 
「彼女たちはどのようなジュエリーを着用したかったのでしょうか? 安価で、新しいライフスタイルに合わせて丈夫な、9K(9金)ゴールドの日常的なジュエリーです。」と説明しました。 Asprey and Hancock’s(アスプレイ&ハンコック)などのロンドンのウェストエンドの宝石商が、この需要を満たしました。
 
現代に近づき、1980年代から1990年代の状況を「何が本物で何がそうでないか」と表現し、現在もエスカレートする合成石や処理の増加を挙げています。
 
次の流行は、製作された国の品位や様式、本質を反映した、倫理感のある原産地主義的なスタイルを持つジュエリーで特徴付けられるだろうとベンジャミン氏は予測しました。
 
会合に定期的に参加し、過去に講演を行ったこともあるGIA GGのDennis Bellesort(デニス・ベルソート)氏は、ベンジャミン氏のプレゼンテーションを楽しみました。 「彼はジュエリーに対する優れた目と、美しさを表現する豊かな言葉を持っています。」と話しました。
 
ベンジャミン氏は、聴衆に非常に多くの若者がいて、その晩の会合が特に活気あふれるものだったとしてGIA同窓会に感謝しました。 
 
「私はあなた達をわくわくさせたかったのです。 ジュエリーと宝石学は、素晴らしいキャリアに向かうための避雷針です。」と彼は語りました。