「永遠」という顔 - 頭蓋骨の再生
10月 25, 2013
「私は個人的には、頭蓋骨を永遠の象徴と捉えています。」と彼は言います。 「それは人間の死の象徴であり、生に対する死の勝利を意味します。 私は思いました。「頭蓋骨に命を与えてみたらどうだろう？ パーソナリティや性格なんかも加えて！」私は、頭蓋骨だって生き生きとして楽しいものになり得るんだ、ということを示したかったのです。」
それが、彼が永久に残ることを意図して作成した、彫刻宝石による26ピースの頭蓋骨コレクション制作の始まりでした。 作品の一部は、2014年4月末まで、カリフォルニアのGIAカールスバッドキャンパスにて展示されています。
「これらの頭蓋骨彫刻は、我々が今まで展示してきた他のオブジェと異なります。」と、GIA教育の科目専門家であるJana Miyahira-Smith（ジャナ・ミヤヒラスミス）は述べています。 「とてもエッジが効き斬新性があり、私達の博物館の展示が、従来の芸術スタイルに拘束されていないことを示しています。」
Gems & Gemology（宝石と宝石学）の編集長Duncan Pay（ダンカン・ペイ）は、「今年はじめのツーソンの宝石・鉱物ショーでは、多くのベンダーが小さな岩石のクォーツでできた頭蓋骨を展示していましたが、Aparicio氏の作品は、特に素材同士の組み合わせにおいて全く別のレベルでした。」と述べています。
「Aparicio氏の頭蓋骨は、気まぐれで楽しいんです。」とペイは言います。 「彼は、奇妙なものを見る眼を持っています。」
家業のために新たな伝統を刻む
Aparicio氏は、ペルーのリマで家族が運営していた宝石彫刻の事業を通して宝石細工と金属細工の技術を学びましたが、頭蓋骨彫刻は、それらの技術を融合するための方法だったと言います。
Aparicio氏と、金細工職人兼宝石デザイナーである彼の妹Sylvia（シルビア）氏は、父親のアートスタジオを訪れた芸術家、マスター彫刻師、宝石商らに囲まれて育ちました。 そして二人とも、20年間以上世界中の宝石展や鉱物展を訪れ、多くの芸術家の作品を見て吸収しました。 そのような多様な文化的刺激は、自らの芸術形式や技術の開発に役立ちました。
職業柄エンジニアのAparicio氏は、父が1968年に創業した会社Neoart Peru（ネオアート・ペルー）向けにobjets d’art（小美術品）を制作しています。 兄と妹は、ルビーの彫刻や、世界中から集めた希少で珍しい宝石を使用し、自然の野生生物から発想を得たテーマを専門として、事業を復活させました。
Aparicio氏は、頭蓋骨の彫刻のアイデアを思い付いてから、世界中の原石集めに数年かけました。 集める原石の塊は、十分な大きさと視覚的な魅力を備えていることが条件でした。完成作品を確実に魅力的で興味をひくものとするためです。
「全ての石に、ささやかな秘密があるのです。」と彼は言います。 「その秘密は、カット、彫刻、またはポリッシングされることで、明らかになるかも知れません。うまく彫るためには、全ての石に見合った特別なスキルが要求されます。 それがチャレンジであり、楽しいんです。」
使用する素材や、作品の細部の複雑さによりますが、それぞれの頭蓋骨制作に1ヶ月から3ヶ月費やされました。 例外はルビーの頭蓋骨でした。異常に硬度が高いため、通常より3倍の時間がかかったのです。 デザインからカット及び彫刻からポリッシングまで、基本的に8段階のプロセスです。 それぞれの作品には、彫刻、金工、ジュエリー制作の技術の成果が表れます。
ディテールが頭蓋骨に命を吹き込む
「頭蓋骨コレクションは、制作した作品の中で最も気に入っているものの一つです。」と、そのデザインと彫刻に1年かけたAparicio氏は言います。 「宝石細工芸術と金工技術を組み合わせて天然宝石を彫刻することにより、様々な石のそれぞれの色や質感が、いかに各作品に命を吹き込むのかがよく分かります。」
GIAカールスバッド研究所の分析専門家Nathan Renfro（ネイサン・レンフロ）は、一つひとつの頭蓋骨には明らかに独自の特徴があると述べました。
「それぞれの頭蓋骨が備え付けられているスタンド、および付属品部分に多くのディテールが加えられています。」とレンフロは言います。 「アクセントのある作品の微妙なディテールが、それぞれに個性を与えているのです。」
頭蓋骨コレクションは、学生にとって特別なご褒美のようだ、とミヤヒラスミスは言います。
「学生はこの作品を、とても好きになるのではないかと思います。」と彼女は言います。 「GIAで学んでいる宝石素材は、本当に様々な手法で形作れるのだ、ということの良いリマインダーになるでしょう。」
