ボツワナ:選鉱事業の進展
6月 24, 2013
Rutang Mosesは、SAFDICO(South African Diamond Corporation’s 社)のボツワナダイヤモンド製造業務のディレクターです。彼女がストーンペーパーから5カラットのラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを取り出し光の中で揺らすと、ファイアが現れます。
「ここでは精密なカットを行います」と彼女は言います。 「私たちの会社は基準に関して妥協を許さず、地元で専門技術を構築するのにしばらく時間がかかりました。 しかし私達はやり遂げました、ほぼゼロからのスタートでした。」 同社は、外国人労働者の大部分を地元の労働者と入れ替えました。そこにはMoses自身も含まれ、彼女はダイヤモンド事業のマネジメントを行う初めてのMotswana(モツワナ=ボツワナ出身者)です。
SAFDICO(South African Diamond Corporation’s 社)のダイヤモンド製造工場は、空港とボツワナの首都ハボローネの間に位置する、新しいDiamond Technology Park(ダイヤモンド テクノロジー パーク)にあります。 「ハイテク」がSAFDICOのダイヤモンド事業を表す言葉となり、コンピュータによる原石プランナー、レーザーブルーター、ロボット研磨機が備えられています。
そしてSAFDICO(South African Diamond Corporation’s 社)は、2010年にオープンしたテクノロジー パークとその周辺に位置する20以上の同様のテクノロジー主導型ダイヤモンド事業者のうちの1企業です。 ボツワナでは、3,000名近くの労働者が、輸出用ダイヤモンドのカットや研磨を行っています。昨年の収益は8億ドル(約800億円)近くで、2015年までには10億ドル(約1000億円)に達しようとしています。 研磨作業のすべてではありませんが、多くの収益性は高く、そうでないものも収益拡大へと大きな進歩を遂げています。
20年以上前にDe Beers(デビアス社)がボツワナで最初のダイヤモンド切削工場を開いた時は、状況は違っていました。 会社の幹部には、最初は事業に懐疑的な人もいました。 アフリカでのダイヤモンド切削はインドや新興の中国と競争するには高価であり、有益な事業とするには世界市場から遠過ぎると考えていたのです。
それにも関わらず、政府は、その主な産物 - ダイヤモンド - が国の経済に雇用と価値をもたらすことを望み、工場開設を求めました。
今日では、新しい経営者が率いるそのダイヤモンド工場Teemane(現地語で「ダイヤモンド」という意味)が、繁栄しています。その他の24工場も順調に稼働しています。 何が効果をもたらしたのでしょうか?
第1に、テクノロジーでしょう。 過去20年間で、前述の機械により、ダイヤモンド切削に技術革新がもたらされました。処理時間は半減し、カットの品質と原石からの歩留まりがともに向上したのです。 その結果、新しい技術に投資した企業は、ボツワナでの製造の利益閾値(利益をもたらすのに必要な値)が、2000年の1カラットから今日の0.40カラットに下がったと製造業者は言います。
一方、技術投資も相当な額になります。 大規模なダイヤモンドの製造事業の立ち上げ、稼働に7百万ドル(約7億円)から1千万ドル(約10億円)を要します。 その後、非常に精緻な機械を運用、調整、維持するために、地元の技術者を訓練する費用がかかります。
第2に、必要があったからといえます。 ボツワナは、金額ベースで、世界最大のダイヤモンド産出国です(昨年約40億ドル(約4000億円))。 政府はまた、 De Beers(デビアス社)の株を15%所有しています。 7年前、新たな提携契約の一環として、政府はDe Beers(デビアス社)に、国の首都ハボローネに選別や原石販売業務の大部分を移転し、ダイヤモンド原石の何割かを現地製造に割り当てることを要求しました。
当初、一部の企業は、法律の精神までといかずともその条文に準拠するよう最小限の操業設備を設置しましたが、その多くが、政府が雇用、税金、為替上の合理的な規制を採用した結果、利益を上げることが可能であることに気付きました。 また、政府のダイヤモンド部門の関係者はダイヤモンドの事業場所を定期的に訪問して、ハイテクなダイヤモンド操業の展開の進捗状況をチェックします。
300名の労働者を雇用するある工場の管理者は、「操業4年で改善の余地はまだあるものの、収益は上がっており、非常に高品質のカットを生み出すことが可能で、まだ効率を上げられそうだ。」と述べます。
「利益が出るので、ここでは私達は主にハーフカラット以上を生産します 。」と彼は言います。 「時に適切な原石がない場合、労働者に仕事を与えるために20から30ポインターの石の作業をさせることも時にはありますが、あまり頻繁にならないようにしています。」
ダイヤモンド切削事業の大部分は、新しいダイヤモンド テクノロジー パークの周辺に集まっています。 最大の工場は、2004年に最初にハボローネに開業したうちの1社であるEurostar(ユーロスター)によって運営され、520人の労働者うちの490人が地元で採用された人々で、同社の中国工場から来た中国人技術者から訓練を受けました。
「我が社は、アフリカ最大のダイヤモンドの加工工場を構築することによりボツワナへ貢献してきましたが、同設備は生産能力を倍増させる余地があります。」とマネージャーの Eric Van Pul は言います。 新しい労働者は全員6ヶ月の訓練を経た後、品質基準を保つため、経験豊富な同僚と隣同士で作業を行います。
今では同工場では、どのような形状と大きさのダイヤモンドでも、同社のインド工場と同等の品質といえる高精度のカットを生み出すことができます。
多くの企業が成功を主張する中、課題も残っています。 ダイヤモンドの製造および技術的な専門知識や経験は「現地」にはほとんどなく、外国人労働者が来て人材を一から訓練する必要があるのです。
またボツワナは、その比較的高いコスト構造 - 1カラットのダイヤモンドを製造するのにインドでは15ドル~20ドル(1500~2000円)、中国では25ドル(2500円)かかるのに対し、ボツワナでは平均約60ドル(6000円)かかる - から、おそらく主要な切削事業にはならないでしょう。 しかしボツワナでビジネスを行っているダイヤモンド製造業者は、例えば、より高品質のブランドのダイヤモンドなどのニッチ市場向けに生産することは、長期的に見て持続可能であると考えています。
そして、ダイヤモンド テクノロジー パークで操業するOkavango Diamond Company(オカバンゴ ダイヤモンド社)の名で、政府が行う地元ダイヤモンド原石販売が、彼らの事業の拡大を可能にするとの楽観的な見方をしています。
オカバンゴは今月、入札オークションによる原石の販売を開始、月次販売を続け、最終的には現在の生産量の約10%にあたる約300万カラットを毎年販売提供する予定です。
ダイヤモンドテクノロジーパークには成長の余地があり、Okavango Diamond Tenders(オカバンゴ ダイヤモンド社)として事業を進める政府が原石販売を始めれば、その余地の分が必要とされる、とパークの製造者は楽観的です。
「これらの販売によって、ボツワナはダイヤモンドの市場と研磨の中心地になる可能性があります。」とRutang Mosesは言います。