GIAの研究活動
GIAの研究は、宝石がどのように形成され、採掘され、製造され、販売されているかという世界の理解を深めるだけでなく、、急速に変化していく宝石の処理と合成技術へ対応することを目指しています。 研究の主要な分野には、以下のようなものがありますが、これに限定されません:
ダイヤモンドのカットとクラリティ
ダイヤモンドのプロポーションが、その輝きと全体的な外観にかなり大きな影響を与えるため、GIAは、ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドの中で光がどのように動くかをモデル化するため15年間の研究を実施しました。 その結果が、ラウンドブリリアントの革新的なカットグレーディングシステムであり、2005年にGIAダイヤモンドグレーディングレポートに組み込まれました。 研究所は、特にファンシーカットについて、複雑なダイヤモンドカットを詳しく研究し続けています。 より一貫性が高く、正確なクラリティグレーディングの研究も進行中です。
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天然カラーダイヤモンド、その分類と色の起源
希少性が高いため、天然のカラーダイヤモンドは、カラットあたりの価格が高いです。 ファンシーダイヤモンドは、近年、前例のない人気を享受するようになりましたが、その色や色の原因を明確することはさほど重要とされてきませんでした。 これらのダイヤモンドの色の起源に関する研究は、GIAのカラーダイヤモンドの鑑別サービスの質を高め続けています。
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ダイヤモンドの天然ブルーカラーは3つのカテゴリに分類される。(1)ホウ素の微量元素によって着色されたタイプIIb (2)放射線により着色されたタイプIaまたはタイプIIa (3)水素に関連した着色のタイプIa。 これらのうち、唯一の(中央のような)タイプIIbダイヤモンドのみ、GIA GTLカラーダイヤモンドのカラーグレーディングシステムにおいて、典型的に、ブルー(混色なし)と記載される。 自然界の放射線によって着色されたものはグリーンブルー(左)、水素に関連したカラーセンターによって着色したものはグレーバイオレットからグレーブルー(右)と記載されます。
ダイヤモンドの処理と鑑別
GIAの研究者は、放射線照射および高圧/高温(HPHT)アニーリングなどの変色処理に加えて、レーザードリリングやフラクチャー充填などのクラリティエンハンスメントを見抜くことに力を注いでいます。
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色を抜くためのHPHTアニーリング処理前後の、6.61 カラットのダイヤモンド。 左:アニーリング前のファンシーイエローブラウン、右:アニーリング後、 「L」カラー(かすかな黄色)。
合成ダイヤモンドとその鑑別
1971年にゼネラル·エレクトリック社による初のカット可能な合成ダイヤモンドに関する報告が寄せられてから、GIAは、合成ダイヤモンド研究の最先端に在ります。 この研究には、高圧/高温(HPHT)で合成石の検出や、より直近では、化学蒸着(CVD)によって生成される合成石の検出などもあります。
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ダイヤモンド中の黒鉛化したフェザーは、HPHT処理が行われたことを示す。
ルビーおよびサファイアの原産地
ルビーやサファイアの地理上の産地は、多くの場合、その市場価値に著しく影響します。 研究所の研究者は、GIAの原産地レポートにカラーストーンの地質学上および地理上の産地を正確に特定するために多くの手順を踏みます。
処理済コランダムとその鑑別
加熱処理されたサファイア、ベリリウム拡散処理サファイアおよびガラス充填処理ルビーは、処理されたコランダムのほんの一例です。 これらのエンハンスメントは、多くの場合、開示されておらず、GIAの研究者は、これらの人工的なエンハンスメントを調査し、検出する手段を明らかにするため尽力しています。
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鉛ガラス充填処理ルビーに見られるオレンジとブルーフラッシュ効果。 倍率30倍。
天然コランダムに存在するベリリウムとその示唆するもの
近年、コランダムで天然に存在するベリリウムが発見されました。これは、色を改変するためにベリリウム拡散処理されたコランダムとの混同を避けるために、この素材を研究する必要があるということです。
吸収分光法とルミネッセンス分光法の開発
多くの場合、顕微鏡、屈折計、ハンドヘルド分光器などの古典的な宝石学の計測方法は、処理あるいは合成された宝石の素材を特定するには、もはや十分ではありません。 吸収分光法およびルミネッセンス分光法などの技術が宝石鑑別のより高性能な手段となります。 GIAが市販する宝石計測機器類の改良に加え、これらの技術の開発が、研究所の研究および鑑別への取り組みを向上させるでしょう。
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分光法は、宝石の処理を検出することができる。この24.16 カラットのダイヤモンドのスペクトルは、 実験室内で放射線を照射して色を改変する前にはなかった独特の特徴を示しました。
宝石のコーティング処理
宝石のコーティングは、数千年にわたって行われています。 技術の進歩により、コーティングはより耐久性をもち、判別が難しくなってきています。 GIAが調査を続けているそのような宝石のひとつが、コバルトコーティングが施されたタンザナイトです。
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コーティングされたタンザナイト
GIA宝石データベース
このプロジェクトは、GIAが著名なスイスのジェモロジストであるEdward J. Gübelin博士の遺産から購入した、2,800点以上の宝石の試験データおよび記録データが含まれてます。 このデータは、研究と教育利用のために公開されることになっています。
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パールの処理の鑑別とと天然パールの研究
魅力的で一貫性のある色を得るために、養殖真珠はよく漂白、染色あるいは放射線照射によって処理されます。 GIAの研究者は、これらの処理を監視し、また珍しい天然パールを研究しています。
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タヒチ産養殖チョコレート・パール7粒(10.50-12.53mm)、Ballerina Pearl Co. (バレリーナパール社) の独自の漂白法で処理を行い、消費者が様々な環境で使用した場合の耐久性を評価する研究が行われた。 サンプルは、左から右、上から下(CCP-1からCCP-7)の順。