オパールの品質を決定する要因
オパールは、ひとつひとつ外観や品質が大きく異なります。それぞれの宝石は、雪片や指紋などと同様に多様です。
オパールの品質には主な要素が3つあります。
- カラー ― 背景色と遊色効果
- パターン ― 遊色効果の配置
- クラリティ ― 透明度とインクルージョンの量
オパールの評価方法
オパールの評価は、背景を暗くして、管理された照明条件下で行う必要があります。暗い背景でオパールを回転させると、オパールの種類の特定と、遊色効果やカットの評価がしやすくなります。
オパールを評価する5つのステップ
オパールの種類を判断する:
ブラック オパール、ホワイト オパール、クリスタル オパールまたは他のオパールのどれか?
遊色効果の比率と品質を判断する:
背景色に対する遊色効果の割合、遊色効果の強度、支配色の色相、色の範囲、パターンを確認する。
オパールの透明度を判断する:
透明、亜透明、半透明、亜半透明、不透明のどれか?
オパールのクラリティを判断する:
マトリックス、ひび割れ(クレージング)、ピットなどがあるか確認する。
オパールのカットを評価する:
オパールのシンメトリー、厚さ、ポリッシュ、サイジング(適度な大きさか否か)、カリブレーション(規格サイズであるか)を考慮する。
オパールのカラー
オパールの色相は、さまざまな色を見せる可能性があります。オパールには、石によって単色のもの、2色や3色のもの、または虹のすべての色が見られるものがあります。オパールには、遊色効果の色に加え、石そのものの背景色もあります。地色とも呼ばれる背景色は、オパールのシリカ球に含まれる微小な不純物により生じます。
多くの場合、オパールは背景色に基づいて分類されます。オパールは多くのカテゴリーに分類されますが、主な5つのタイプをこちらで紹介します。
ブラック オパール
他のすべての品質要因が同じである場合、多くのバイヤーは、ブラック オパールの暗い背景色を好みます。遊色効果が暗い背景色によく映えるからというのが理由の一つです。遊色効果と地色がコントラストとなり、ブラック オパールは非常に人気が高くなっています。さらに、ブラック オパールは最も希少であると考えられています(ホワイト オパールはより一般的に見られます)。
ホワイト オパール
半透明から不透明のホワイトおよびその他の明るい色の背景(地色)を持ち、遊色効果を示すオパールは、ホワイト オパールと呼ばれています。
ファイア オパール
ファイア オパールは透明から半透明で、通常は地色がイエロー、オレンジまたはレッドです。この素材は、遊色効果を示すものもあり、業界では「メキシコ オパール」または「メキシカン ファイア オパール」としても知られています。
ボルダー オパール
ボルダー オパールは、母岩内で遊色効果を示す半透明から不透明のオパールです。オパールの薄い層が、母岩(マトリックスと呼ばれる)内に存在します。このオパールはマトリックスに付着した状態でカットされ、完成した宝石の一部となります。
クリスタル オパールとウォーター オパール
クリスタル オパールは透明から亜透明のオパールで、背景が透明です。このタイプのオパールは優れた遊色効果を示します。ウォーター オパールには遊色効果が見られるものと見られないものがあります。遊色効果を見せたとしても、それはかすかで宝石のごく一部の領域でしか見られません。
遊色効果こそ、オパールの外観の中で最も華やかな側面と言えます。どの色または色の組み合わせであっても、高い評価を受けるためには遊色効果は鮮明である必要があります。つまり、オパール愛好家は、かすかな遊色効果よりも鮮やかな遊色効果を高く評価します。
遊色効果の強度の次に重要なのは、色の範囲です。オパールの遊色効果が鮮やかであるだけでなく、虹色の全てを示す場合、それは非常に希少で価値があります。しかし、すべてのプレシャス オパールが虹のすべての色の輝きを示すわけではありません。オパールの遊色効果が、ひとつの主色と2つ以上の2次的な色のみで構成されている石もあります。
望まれる遊色効果は、さらに色自体によって分類されています。伝統的に赤色が最も望ましい主要カラーとされ、次にオレンジ、そしてグリーンと続きます。しかしながら、好まれる色はファッションや個人の好みによりさまざまです。
さらに、オパールの遊色効果は見る角度や光の種類によっても変化します。例えば、オパール カボションのある部分は、その主要色が赤であるように見えても別の角度から見ると青が主要色に見えることがあります。
最も貴重とされるオパールは、どの角度から見ても遊色効果を示します。
オパールのパターン
パターンとは、オパールの遊色効果の配置のことを指します。雲の形がさまざまであるように、遊色効果にもさまざまな形状があります。
遊色効果のパターンを表すのによく使われる用語は、次のとおりです。
- ピンファイアまたはピンポイント:小さく密集した色斑
- ハーレクインまたはモザイク:大きめの角張ったまだら模様の集まり
- フレーム:石全体を流れるような赤みがかった縞や筋
- ピーコック:主に青と緑のパターン
一般的に、愛好家は、小さな点々が散った模様よりも大きな色斑が密集するパターンを好みます。パターンを問わずどのような遊色効果でも、貴重な石とされるには色が鮮やかでなければなりません。
バイヤーはパターンを評価する際、遊色効果の斑点の配置や形状に加え、消光つまり「デッド スポット」も考慮しなければなりません。デッド スポットとは、遊色効果がなく、背景色のみが見える部分のことです。デッドス ポットは、複数ある場合には特に、オパールの価値を損ないます。
オパールのクラリティと透明度
オパールのクラリティは、透明度とインクルージョンの有無を意味します。オパールのクラリティは、完全な透明から不透明までのすべての範囲があります。専門家は、オパールのタイプごとに異なるクラリティのレベルで評価します。例えばクリスタル オパールでは、専門家には透明度の高いものが賞賛されますが、ブラック オパールでは不透明な地色が良いとされます。これらはいずれも、それぞれのオパールのタイプに応じて遊色効果を見せるのに最も適した背景となります。曇っていたり乳白色の背景色は、どのオパールでもその価値を下げてしまいます。そのような背景では宝石があまり魅力的ではなくなり、さらに安定性に乏しい兆候である場合があります。
価値に影響を与えるオパールのクラリティ特徴にはさまざまな種類があります。他の宝石と同様、オパールにはフラクチャーやピット、表面に現れるその他のブレミッシュが見られます。またオパールには、マトリックスと呼ばれるその母岩の一部が含まれている場合があります。研磨されたオパールのマトリックスは、必ずではないにしても大抵の場合、その外観と価値を損ないますが、オパールの種類によります。
オパールが水分を失うとクレイジングを生じる可能性があります。クレイジングとはクモの巣に似た細かい網状のひび割れです。水分の損失は、熱や過度の乾燥によって、または明るい光や直射日光にさらされることによって起こる場合があります。ショーウィンドウなどそうした条件にさらされるような場所を避けてディスプレイすれば、ひび割れを防ぐ事が出来ます。
オパールにひびが入ってもすぐには壊れないとしても、ジュエリーとしての耐久性はほとんど無く、フラクチャーは宝石の美しさとクラリティを損ねてしまいます。品質管理の観点から、生産者やディーラーは、最終的にひび割れが生じる可能性のあるオパールを選別します。バイヤーがひび割れのあるオパールをわざわざ買い付けるのは、損傷のないオパールより卸売価格が安いためです。つまり、より低い小売価格でそれらを販売できるのです。
オパールのカッティング
宝石の仕上げを計画する際に、カット職人はオパールの色、パターン、クラリティを考慮します。多くの最高品質のカラーストーンと同様に、特別なオパールには標準的なサイズや形状ではないカットが施されることがあります。
例えば優れたルビーやサファイアでは、カット職人は通常は最終的に不均等なプロポーションの宝石になったとしても、歩留まりを最大にし、あるいはカラーを最大限に高めるようにカットします。これと同様に、オパールのカット職人は通常、最高品質の原石をその素晴らしい遊色効果が見れるようにカットします。
これを達成するためカット職人は、できるだけ多くの遊色効果を残そうと、上質のオパールを大きく不規則な形状にカットすることがあります。デザイナーはこれらの高価でユニークなオパールをカスタムジュエリーに使用します。
その一方、カット職人は通常、大量生産品質のホワイト オパールや貼り合わせオパールでは標準的な規格サイズ(大抵は楕円形)にカットします。
上質なオパールのカットは左右対称でなければなりません。カボションの場合は、きれいな丸みのあるドームが望ましいとされます。ドーム型の表面にすることで最高の遊色効果が示され、ほとんどの角度から石が鮮やかに見えます。カボションが平たいと、特にジュエリーにセットするときに破損しやすくなることがあります。反対にドームが高すぎると、ジュエリーにセットするのが難しくなるでしょう。
カラット ウエイト(重量)
オパールには、さまざまなサイズとカラット ウエイト(重量)のものがあります。オパールは他の多くの宝石に比べて密度がかなり低いので、大きめのサイズであっても快適に着用することができます。
ジュエリーにセットするオパールのカボションの一般的なサイズは、6×4、7×5、8×6mmです。
Fire of Australia(ファイア オブ オーストラリア)と呼ばれるカットされていない大きなオパールは、重量が998グラムすなわち5,000カラット弱あります。南オーストラリア州は、このようなサイズのオパールが発見される地球で数少ない場所の一つです。世界のオパールの約90%はオーストラリア産です。
貼り合わせオパール
オパールには壊れやすいものがあります。ある程度厚みのあるオパールのカボションは、壊れることなく毎日の着用やジュエリーの修理に対して耐久性があります。しかし薄い素材については、製造業者は耐久性を向上させるために補強用のバッキング(裏貼り)を追加しなければならない場合がよくあります。
貼り合わせオパールとは、バッキングされて研磨加工されたオパールです。通常、宝石質のジュエリーとはならないガラスなどの素材を使用する場合がありますが、プレシャス オパールを一部使用しているため、宝石としての価値を持っています。貼り合わせオパールは、ボルダー オパールの何分の1かの価格で販売されますが、製造業者にとっては薄いオパールからでも魅力的な宝石を仕上げることができるのです。
貼り合わせオパールによく見られる2つのタイプは、ダブレットとトリプレットです。ダブレットとは、薄いオパールの層をバッキングに接着したものです。バッキングは多くの場合、オブシディアン、染色ブラック カルセドニー、ブラック ガラス、天然のコモン オパール、またはプラスチックでできています。トリプレットは、オパールの薄い層をドーム状の無色のクォーツや透明なガラスと、オブシディアンやカルセドニー、ブラック ガラスのバッキングの間に貼り合わせたものです。