G&G 2018年夏号:様々なスペクトル特性を有するダイヤモンド、ビザンチンのガーネット、Yogo(ヨゴ)渓谷産のサファイア
8月 6, 2018

Hope Diamond(ホープダイヤモンド)やBlue Moon Diamond of Josephine(ジョセフィンのブルー ムーン ダイヤモンド)のような有名なダイヤモンドのおかげで、その他のファンシーカラーのダイヤモンドよりもブルーダイヤモンドに注目が集まっています。Gems & Gemology(宝石と宝石学)2018年夏号の特集記事は、過去10年間にGIAのラボで検査された15,000以上のブルー、グレー、バイオレットのダイヤモンドの特徴を紹介し、別の記事ではジンバブエのマランジェで産出されたファンシーダークブラウンブラックダイヤモンドの色の起源の研究結果を報告します。ダイヤモンドに関連するその他の内容としては、合成ダイヤモンドのチャートや地球を理解する上での天然ダイヤモンドの価値に関する新しいコラムなどがあります。また、霞ヶ浦の日本産ビーズ養殖真珠の研究、彫刻が施された初期のビザンチン様式のアルマンディン ガーネットの起源の探究、モンタナ州のYogo(ヨゴ)渓谷から産出されたサファイアの特性の検査も特集しています。
天然色のブルー、グレー、バイオレットのダイヤモンド:ディープカラーの魅力

ブルー/グレイ/バイオレットの色の範囲のほとんどすべてのファンシーカラーダイヤモンドの色相は、構造上欠陥があったり、インクルージョンがあることなど、主に4つの原因のために発生します。G&G夏号の特集記事では、Sally Eaton-Magaña、Christopher M. Breeding、James E. Shigleyが、これらの色の原因となるメカニズムについて報告します。著者らは、過去10年間にわたってGIAのラボが検査した15,000以上の天然で未処理のブルー/グレイ/バイオレットのダイヤモンドの宝石学的特徴とスペクトル特性について詳しく説明します。
マランジェ (ジンバブエ) のブラックダイヤモンド: 天然照射とグラファイトインクルージョンの研究結果

ジンバブエのMarange(マランジェ)にある漂砂鉱床で採鉱されたグラファイトを含有するダイヤモンドは、宝石質の素材を得るために熱処理される可能性がありますが、このため自然に成長したブラックダイヤモンドからこれらの標本を区別するのが困難になるかもしれません。Karen Smitおよび共著者は、処理された素材から区別できるような特性を記録に残すために、Marange(マランジェ)で産出された40個のファンシーダークブラウンブラックダイヤモンドの特徴を検査します。著者らは、これらのダイヤモンドの色の様々な原因を明らかにします。
インドのTELANGANA(テランガーナ)州にあるGaribpet鉱床からの彫刻が施された初期ビザンチンのアルマンディン:古代の海上シルクロードにおけるガーネットの貿易の証拠

H. Albert Gilg、Karl Schmetzer、Ulrich Schüsslerによる研究は、ビザンチンの貨幣で人気がある、段差を付けたキリスト教の十字架のモチーフが彫刻されたアルマンディン ガーネットに焦点を当てています。非破壊的に分析を行った結果、このアルマンディンはおそらくインドのGaribpet鉱床から産出されたものであることが判明し、中世初期にインドの東海岸とビザンチン帝国の間でガーネットの貿易が行われていた証拠となります。
霞ヶ浦の養殖真珠: 生産および宝石学的な特徴

淡水真珠養殖は、第二次世界大戦の前に日本で始まり、1970年~1980年の間に最も繁栄しました。その後、中国が世界最大の養殖真珠の生産国となりました。日本で2番目に大きな湖である霞ヶ浦における日本産養殖真珠の生産量は比較的少なくなっていますが、これらの養殖真珠は米国やヨーロッパでかなり人気が高まってきました。Ahmadjan Abduriyimは、日本の淡水有核真珠の歴史、生産の現状および多様な色を有する標本の特徴に関して説明します。
モンタナ州のYogo(ヨゴ)渓谷から産出されたサファイアの宝石学的な特徴

Yogo(ヨゴ)渓谷より産出されたサファイアは、そのクラリティ(透明度)と鮮やかなブルーの色で有名であり、ユニークな特徴があるため経験豊富の宝石鑑別士が簡単に識別することができます。しかし、長い間、鉱山の利益が低迷しているため、この地域で長期的な活動を維持することが困難となってきました。この記事では、Nathan Renfro、Aaron Palke、Richard Bergが、米国にあるこの重要な宝石鉱床より産出されるコランダムの歴史、宝石学特性、微量元素の化学に関してすべて説明します。
合成ダイヤモンドチャート

Sally Eaton-MagañaおよびChristopher M. Breedingによって作成されたこの最新の掛図は、高温高圧(HPHT)法および化学蒸着 (CVD)法を用いて製造された合成ダイヤモンドの成長過程および主要な宝石学における分光学的特徴を視覚的に示しています。また、さらなる研究のためにその他のリソースも提供されています。
ラボノート
GIAのラボは、べリルとガラスを張り合わせて作られたエメラルドの模造品、HPHT法で製造された1,092粒の合成メレーダイヤモンドの中で発見された1粒の天然メレーダイヤモンド、大きなピンクがかったオレンジのCVD合成ダイヤモンドについて報告します。
地球の深部で誕生するダイヤモンド
G&Gの最新のセクションでは、地球の地質形成を理解する上でダイヤモンドがいかに重要であるかについて説明しています。本号のコラムでは、地球の深部で発見された水分の深度を理解する際のダイヤモンドの役割に焦点を当てています。
ミクロの世界

コーパルに包まれたキノコのようなインクルージョン、動物のヒゲのように見えるメレラニ鉱のインクルージョンがあるタンザナイト、4本および6本の線が広がるスタースピネルなどが、顕微鏡写真法およびインクルージョンのセクションで紹介されている標本です。
ジェムニュース インターナショナル

「世界中からの報告」では、エチオピア産の変色するグロッシュラーガーネット、モザンビークで産出されたグリーンブルーのマシーシェタイプのべリル、「宝石および持続可能な開発ナレッジハブ」の進展、DiamondView機器によるガラス充填処理されたルビーの分離を紹介します。
Jennifer-Lynn Archuleta は、Gems & Gemology(宝石と宝石学)の編集者です。