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ジュエリーのファンシー メレーが天然ダイヤモンドかどうか、どうすれば分かりますか?


Sorting melee on white background

メレー ダイヤモンドは、例えるならば花嫁のサポート役を担当するブライズメイド、ブロードウェイのショーに華を添えるコーラス、ホリデーシーズンに家族で集まって食事する際のメイン料理のサイド ディッシュのようなものです。ショーのスターが注目を浴びるようにその場所に存在し、好奇心や興味を掻き立てる役目をこなしますが、メインとなる物事の価値を損なうことは決してありません。

重量が0.2カラット未満であるメレー ダイヤモンドは、大きな石に比べて安価であるため、ジュエリーや腕時計に煌びやかなアクセントを加えるのに豊富に使用されています。その輝きとシンチレーションは、ヘイロー スタイルのリングではセンター ストーンを引き立たせ、パヴェ セッティングのデザインでは複雑なパターンを生み出します。多くの場合、メレー ダイヤモンドはラウンド シェイプにカットされますが、エメラルド、プリンセス、ラディアント、マーキスなどのファンシー シェイプも見られます。
 
しかし、メレー ダイヤモンドは宝飾業界に課題をもたらすこともあります。小さなダイヤモンド結晶は大きいものと比べて速く安価で成長させることができるため、メレー サイズのラボラトリー グロウン ダイヤモンドやダイヤモンド類似石が市場で豊富に出回っています。パーセルの中には小さくて多数の裸石が含まれているため、ラボで製造されたり、処理された、または類似石のメレー ダイヤモンドが天然ダイヤモンドと混合され、これが見逃されることがあります。
 
2016年、GIAはこの課題に対処するために、メレー ダイヤモンドの最も一般的な形であるラウンド シェイプのダイヤモンドのメレー分析サービスを開始しました。このサービスでは、メレー サイズのダイヤモンドを迅速かつ正確に分析しソートする自動化システムを利用します。この自動化プロセスは、さらなる検査が必要となる天然ダイヤモンドの割合を最小限に抑えることを目的とします。
 
「精度が完璧な機器であれば、天然ダイヤモンドは全て合格となり、ラボラトリー グロウン ダイヤモンドと類似石の全部をさらなる検査が必要であると識別できるでしょう。しかし、天然ダイヤモンドの中には、人工ダイヤモンドや処理済みのダイヤモンドに似たような特徴を示すものがわずかにあるため、天然ダイヤモンドをすべて合格と表示する機器は世界中どこにもありません」と取締役副社長兼ラボ・研究主任責任者のTom Mosesは説明します。

 

ノートパソコンに接続されたキャビネット サイズのメレー スクリーニング機器
ファンシー メレー ダイヤモンドのスクリーニング機器。写真:Mitchell Lyn

この機器が開発されて以来、何百万個もの小さなラウンド シェイプのダイヤモンドが分析されていますが、ファンシー シェイプのメレー ダイヤモンドを検査する必要もある、とMosesは語ります。
 
「例えば腕時計業界では、大量のファンシー シェイプ ダイヤモンドを使用しており、高品質の天然メレー ダイヤモンドを使用したいと考えています。多くの場合、使用するファンシー シェイプのメレーが天然のものであり、人工ダイヤモンドではないことの保証は、サプライヤー頼みとなっています」とMosesは説明します。顧客のニーズを満たすために、多くのダイヤモンド サプライヤーは所有しているファンシー シェイプのメレー ダイヤモンドをGIAに検査してもらいたいと考えています。
 
ファンシー メレー ダイヤモンドのスクリーニング検査に関する問題に取り組んでいるGIAの科学者は、操作の原理とレーザー技術を開発し、これによりこの複雑な選別作業に対処できると確信しています。科学者のチームは、GIA機器の開発グループのエンジニアと協力してプロトタイプを作成しました。テストを行った後、ソフトウェア エンジニアおよび機械系エンジニアが、ファンシー シェイプのメレー ダイヤモンドの大規模なスクリーニング検査を行う完全自動化システムの開発を支援しました。
 
この技術を開発し、新しいシステムを構築するまでに約3年かかりましたが、チームは結果に満足していると、Mosesは語ります。ダイヤモンドのメレーに以前使用されていた機器と比較して、この新しい機器では、さらなる検査が必要であると判断される天然ダイヤモンドの数は減少しました。
 
「この新しい機器では、どの形のメレーでも分析が可能となります。この機器は、新しい原理と分析技術を使用して、ラボで製造されたメレーと類似石のメレーを天然ダイヤモンドから選別し、この作業を以前よりも効率的かつ正確に行うことができます」とMosesは説明します。

計測学の技術者Nicole Phelanが、ファンシー メレー ダイヤモンドのスクリーニング機器を操作する。
計測学の技術者Nicole Phelanが、ファンシー メレー ダイヤモンドのスクリーニング機器を操作する。写真:Mitchell Lyn

ファンシー シェイプのメレー ダイヤモンドに対する新しいGIA分析サービスは2020年8月に発表され、ほとんどのGIAラボでご利用いただけます。 こちらをクリックして詳細をお読みください。

サプライヤーと小売業者への利点

人工石、処理石、または類似石から天然メレー ダイヤモンドを選別できるサービスは、サプライヤーに新しい機会をもたらす可能性があります。

「私たちは、特殊な商品を探している上流階級のお客様とこのことについて話し合います。このサービスは商品に付加価値を与えるので、このタイプのお客様のみがこのようなものを好むでしょう。一般のダイヤモンド製造業者、取引者、ダイヤモンド宝石商は、料金を支払ってまで、所有する[メレー]石に鑑別の証明書を付けることはしません。このようなサービスは、私たちがターゲットにしたい特別な顧客のみが対象となります」とムンバイのRosy Blue(ロージィ ブルー)の販売部門でゼネラル マネージャーを務める、Premal Chokshi氏は語ります。
 
また、メレーのスクリーニング検査により、ジュエリーや腕時計のメレーがすべて本物の天然ダイヤモンドであると小売業者がクライアントに保証することができます。
 
「クライアントに対しては、仕入れた商品がすでに世界最大のラボであるGIAによってスクリーニングされ、検査されたという自信を消費者に与えることができるでしょう。信頼できて確信を持てるという関係が完全に存在し、人々、特に消費者はそれに惹かれるのです」とムンバイのKiran Gems(キラン ジェムズ)でディレクターを務めるRajesh Lakhani氏は説明します。

以前シニア コミュニケーション マネージャーを務めていたAmanda J. Lukeは、GIAで編集者兼ライターとして19年間活躍していました。