宝石のフォシッキング:オーストラリアのレクリエーション採鉱
12月 16, 2016
はじめに
素人による、主に楽しみのために行われる採鉱は、フォシッキングとして知られています。 ターゲット素材は何でもありですが、貴金属や鉱物が最も人気があります。 フォシッキングは、1850年代初め、オーストラリアのゴールドラッシュ時にニューサウスウェールズ州とビクトリア州で始まりました。 フォシッキングという言葉は、コーニッシュの言語から来ていると言われており、広くオーストラリア、ニュージーランド、そして近隣の島々で使用されています。

クイーンズランド州中央部に位置するサファイアフィールドを訪問する。 彼らはリラックスしたライフスタイルや見つけた宝石を
楽しむ。 写真:Vincent Pardieu/GIA
昔は、生活状況がそれほど良くないうえに、大規模な機械採鉱はあまり人気がなかったため、フォシッキングと採鉱の間に大差がありませんでした。 近代的な技術の導入は、労働集約的な仕事から多くの人々を解放し、新しい仕事で多くの可分所得が与えられました。 楽しみのために旅行することが可能となりました。 フォシッキングはオーストラリアなどの天然資源が豊富な国での旅行者に愛されるユニークなレクリエーション活動で、オーストラリア国外からの訪問者にも魅力があります。
どこで、どのようにフォシッキングを行うか
フォシッキングは非常に価値の高いアクティビティです。クオリティの高い家族の時間を過ごす機会となり、宝物を見つける可能性もあるのです。 ニューサウスウェールズ州を除くすべての州は、現場でフォシッキングを行う前に、ライセンスを購入する必要があります。 我々が訪れたオーストラリアのほぼすべての採鉱現場で、奥地での宝探しの旅を楽しんでいるフォシッカーに出合いました。 彼らの多くは運を試すために毎年同じ場所に戻って来ます。 フォシッキングのライセンスは地元のビジターセンターまたはオンラインで購入することができます。 価格は、個人または家族のいずれかで年間10~20豪ドル程度です。
各州の鉱物資源開発法は、特定の地域を公式フォシッキングエリアと定めています。したがって、一切の探査と採鉱ライセンスは、企業向けには発行されません。 フォシッキングゾーンは採鉱権のあるエリアのすぐ隣にあるにもかかわらず、鉱山労働者とフォシッカーとの間の良好な関係に著者は驚きました。 ターゲットを見つけやすくするために、多くの民間および政府のウェブサイトが、地図と詳細なガイダンスを提供しています。 地元の鉱物および宝石クラブも、フォシッカー交流のためのプラットフォームとしてイベントを開催したり、見つけたアイテムを交換したりすることもあります。 例外的に良質な石が見つかり、噂が広まった場合には、特定の場所で掘る人が急増します。

タスマニア北東部では、Vincent Pardieu率いるGIAのフィールドジェモロジストたちが、フォシッキングに夢中の現地の宝石商 Chris Hoodの助けを借り、Weldborough近くの川でサファイアのフォシッキングを定期的に行います。 この活動は、漂砂サファイア鉱床についての理解を実践的に確認するには最適な方法です。また、採鉱した試料をGIAの参照コレクションに加えることにもなります。 ウェルド川流域には、コランダム、トパーズ、クリソベリル、ジルコンなどの大規模な漂砂鉱床があります。 1890年代まで、この鉱床ではスズの採掘が集中的に行われていました。 ウェルド川は、タスマニア島で正式に指定された10か所のフォシッキングエリアの一つに過ぎません。
フォシッキングは手作業でのみ行われていると思うかもしれませんが、実用的なツールを簡単に購入または作成し、作業を容易にすることができます。 オーストラリアでは、こうしたツールはエンジンが付いていない限り許可されています。 フォシッカーが掘る鉱床のほとんどが二次鉱床であるため、「ウィロビー」として知られる洗浄ツールや、ふるい分けおよび分類用のテーブルは必須アイテムに含まれます。 ウィロビーはオーストラリアではかなり一般的で、アフリカの熟練した鉱山労働者にとっても非常に有用かもしれません。 ツールのデザインによって水の節約になり、また、使い勝手も良くできています。 運搬、作業の実施は1人でも簡単にできます。 アフリカで使用されているシンプルなツールと比較すると、ウィロビーははるかに効率的です。

節水もできる。 スプリングでハンドルと垂直スタンドが接続されている。 ふるいにかけられた
素材の載った皿が、丸い金属のサポートに置かれる。 フォシッカーはハンドルを
振るだけで素材を洗浄できる。 容器内の水は、現場で再利用できる。 写真:
Vincent Pardieu/GIA
宝石を含有する砂利の場所を見つけるのに地図をたどるのは良い方法ですが、特定の分野で多くの経験を持つ地元の人やフォシッカーとの会話はいつでも役立ちます。 フォシッキングを始める前に、宝石に関する基本情報をいくらか読むことで、石を識別し、重要な発見を見逃さないようにすることができます。

また、フォシッキングを行いたい場合は、出かける前に関連する法律や規制を知っておくことも重要です。 州によってルールが異なる場合があります。 フォシッキング指定エリアでない土地では、所有者から許可を得るのが難しいかもしれません。 また、見つかった宝石の所有権も慎重に扱うべき案件となる可能性があります。したがって、事前に対処しておく必要があります。 また、フォシッカーが持ち帰ることのできる素材の量にも制限があります。 ルールに違反すると罰金を課されることもあります。

フォシッキング経済
オパールやサファイアなどの宝石は、奥地の多くの鉱山町で地域経済の柱となっていることがあり、フォシッキング観光も同様に重要な役割を担っています。 ニューサウスウェールズ州インベレルと、クイーンズランド州中央部のルビーベールの町では、サファイアのフォシッキングがいかに経済に活力を与えているか、目の当たりにしました。 ホテル、レストラン、キャラバンパーキング、さらに宝石店は、ここで最も繁栄しているビジネスなのです。 フォシッキングマップは地元の宿泊施設にて無料で提供されており、ツアーも簡単に予約することができます。 フォシッキングは、もともと予定していなかった観光客にも便利で簡単に行えます。
オーストラリアでは、多くの旅行者が、米国のレクリエーショントレーラーと同義であるキャラバンで移動します。 これらの鉱山町では、通常、簡単にアクセスできるようフォシッキングエリアの近くに複数のキャラバン パーキングエリアがあります。 地元のジュエリービジネスは、フォシッカーを含む観光客に大きく依存しています。
Dr. Tao Hsuは、Gems & Gemology(宝石と宝石学)の技術編集者です。Andrew Lucasは、GIAカールスバッドで教育のためのフィールド宝石学を担当するマネージャーです。Vincent Pardieuは、GIAバンコクのフィールド宝石学担当シニアマネージャーです。
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GIAスタッフはリサーチを目的に、鉱山、 製造業者、 小売業者の他、 宝石およびジュエリー産業に関わる場所や企業を頻繁に訪ね、市場の見識を深めるよう努めております。 GIAは、訪問中に私たちを受け入れ、貴重な情報を提供してくださった皆様に感謝いたします。 これらの訪問やそれに関連する記事または出版物を、推奨としてとらえたり使用したりすることはしないでください。
著者をはじめ私たちは、オーストラリア東海岸で最も重要な鉱区の一部を訪問する機会を与えてくださったTerry Coldham氏に感謝いたします。