GIAのフィールドジェモロジストとともに、世界で最も鮮やかなブルースピネルを探しましょう
10月 6, 2016
GIAのフィールドジェモロジィ部門が作成したこの新しいビデオでは、スカイブルーのスピネルを求めてベトナムの素晴らしい石灰岩の山へ向かうフィールドジェモロジストのVincent Pardieuに同行します。
ブルースピネルは、鉱山労働者たちによってスリランカ、タンザニア、ミャンマー、パキスタンで採鉱されていますが、最も鮮やかな青い石を主に産出しているのはベトナムのLuc Yen地区です。 そうした石のうち最高のものは、パライバトルマリンと同じ発光する品質を持っています。 「ベトナムのブルースピネルに匹敵するものはない」と、Pardieuは言っています。 「ベトナム産の最高品質のブルースピネルは、私の考えでは、本当に世界で最高品質のものです。」
Luc Yen地区は、風光明媚なベトナム北部、イエンバイ省に位置しています。 この地区は、急勾配でジャングルに覆われたカルスト地帯です。水田や村のある狭い谷で仕切られていて鮮やかなパッチワークのようです。 Luc Yenの中心部、Yen The(紛らわしいことに別名もLuc Yen)は、ハノイからは250km(155マイル)、車で約6時間の距離です。 この地区のブルースピネルの採鉱現場はすべて、町から20km(12マイル)以内の場所にあります。
GIAチームは、Luc Yenの賑やかな宝石市場から出発します。 1990年代にベトナムのルビーが発見される前は、Luc Yenはほとんど無名の小さな農村でした。 宝石が周囲の山々や小川で発見された後、町は急速に発展しました。 Luc Yenの最初の宝石市場は1987年にオープンしました。かつて貧しかったこの町は、今ではベトナム北部で最もにぎやかな宝石取引の中心地となっています。
市場では、この地域の山やフィールドから採れた宝石(八面体のスピネル原石、カットされたスピネル、カボション)が販売店の小さな木製のテーブル上に並んでいます。 「誰にとっても、ここの市場に来るのはちょっとした経験です。」と、宝石鑑別士のManny Diazは述べています。 美しいコバルトブルーのスピネルが、あちこちのテーブルで見られます。 「このような素材が地表で見られるのは、非常に稀なことです。」とPardieuは述べています。 彼は、あらゆる素材がどれほど手に入りやすいかを評価する優れた方法は地元の宝石市場を訪問することであると述べています。 またこれにより宝石鑑別士は、地元の採鉱地区での現在の宝石産出量を評価する方法が得られます。
ブルースピネル鉱山にたどり着くまでは、数時間かかります。 GIAチームは、町から田園地方までバイクで走行します。 到着後は、鉱山まで、人を寄せ付けないようなカルスト地形でのトレッキングをしなければなりません。 Luc Yenの険しい石灰岩の山は、雨が石灰岩を溶かし、地下の排水路、陥没穴や洞窟ができた時に生成されました。 鉱山では、初生鉱床および二次鉱床から、職人技を駆使してルビー、サファイヤ、スピネルが採鉱されますが、こうした地形の特徴により、そこにたどり着くことが困難となっています。 「このスカイブルーのスピネルが産出する初生鉱床を見に行きたいなら、他に方法はありません。」と、Pardieuは言います。 「カルストに立ち向かい、山を登って行かなければなりません。」
つまり、山肌を構成する険しい尾根や深い裂け目を進み、何時間も急な坂を昇っていくということです。 「木や大理石の尖峰だらけの、4~5mもの深さの裂け目がありますよ。そんなところに落ちたくはないでしょう!」と、Pardieuは言います。
「ここの主なスピネル採鉱地区、Cung Troiの崖を、この10分間ずっと登っています。」と、Pardieuが説明します。 「Cung Troiは、非常に特別な場所です。この20年間、マトリックス中のスピネル結晶のほとんどを産出してきた場所だからです。」 "空の門"という意味のCung Troiはピンクから紫のスピネルの原産地ですが、これらはパーガス閃石などの鉱物とともに大理石内に生成されます。 スピネルは、わずか数mmから5cmを超える大きさまで幅広いサイズのものがあり、晶癖は八面体です。 マトリックス中の結晶は、装飾的な形状に彫刻されることがよくあります。これは、フォントゥイ、つまり風水のベトナム版に関連したものが国内でたいへん人気があるため、高く評価されています。
チームは、Cung Troiのスピネル鉱山に近づくにつれ、白い大理石の角ばった塊や尾鉱が散らばる急斜面をよじ登っていきます。 宝石鑑別士のManny Diazは、大理石の崖の前に立ち、割れた岩の表面にあるドリル孔の半分を調べます。 「ドリルで穴を開け、そこに爆薬を詰めます。岩が落ちると、爆破したところに降りて行って、がれきをすべて拾い始めます。」と、Mannyは言います。 鉱山労働者は、がれきを大きなハンマーで叩き、スピネルの結晶を探します。スピネルは、雪のように白い大理石をバックに輝く燃えさしのように突き出ています。
小屋で食事をとるため、チームが鉱山労働者に合流した時、PardieuはCungTroiの地質について説明し、「並行した3つの鉱脈があるようです。一つがピンクスピネル、一つがブルースピネル、そしてもう一つがルビーです」とPardieuと話しています。
その後、角ばった巨礫サイズの尾鉱でできた急斜面で、一部の鉱山労働者が大きな大理石の塊を苦労しながら降ろしていくのを見守ります。 「ちょうど私たちは、崖の上で一日一緒に過ごした鉱山労働者たちが、頂上で回収した巨大な大理石を降ろしているところを見ました。」と、Pardieuが報告しています。 「中にパーガス閃石がいくらかあるのが見えます。スピネルもあります。 これは多分彫刻師に売られ、彫刻師が時間をかけて大理石を取り除きます。内部に隠れているスピネルとパーガス閃石を見つけ出すためです。」坂では重い巨礫が鉱山労働者を引き下ろしているようです。 彼らは笑っていますが、辛うじてコントロールできているという具合です。
次にチームは、この遠征調査の主な目的であるBai Sonのブルースピネル鉱山にたどり着きます。 Bai Sonの初生鉱床は、600mの高さ(1970フィート)の大理石の山に位置しています。 地元の鉱山労働者は主に農家の人々ですが、手工具と手持ち削岩機を使用して大理石からスピネルを取り出します。 「ここがブルースピネルの鉱脈です。」とPardieuが言います。 「ここは、スカイブルーの品質のブルースピネルで最も有名なスポットです。」ブルースピネルはBai Sonの白い大理石の中で見つかりますが、結晶は通常、透明度の低いものです。 大理石の外で風化した宝石も、Bai Sonの裂け目や、鉱山労働者が地下洞窟をたどって行った場所で発見されました。
GIAのために行う今回の調査やその他すべてのフィールド遠征調査を行う根拠について、Pardieuが総括して言います。「私は、世界中の宝石の採鉱地区に行ってサンプルを収集します。 この地域でも産出した参照サンプルを得る必要があります。過去に採鉱した石、また今採鉱されている石、そして将来採鉱されるであろう石を識別できるようにするためです。」
このGIAフィールド遠征調査(FE65)は、2015年に行われました。 Pardieu以外の参加者は、ビデオカメラマンのDidier Barriere-DoleacとDidier Gruel、遠征調査メンバーのManny Diaz、Philippe Labrot、Lucie Martinez、Lauriane Pinsault、Wim Vertriestです。
GIAのスタッフは、研究目的、そして市場に対する洞察を深めることを目的として、宝石およびジュエリー産業に関わる鉱山をはじめ、製造業者、小売業者などを多く訪ねています。 GIAは、訪問中にスタッフを受け入れ、貴重な情報を提供してくださった皆様に感謝いたします。 これらの訪問や記事または出版物のいかなる内容も、再利用、宣伝用の利用は禁止されています。