GIAとともに、モゴックの最も重要な鉱山の二つを訪ねましょう
10月 6, 2016
最も主要な宝石生産地としてのモゴックの歴史が、GIAのフィールドジェモロジー部門によるこの新しいビデオでは大きな位置を占めています。 Vincent Pardieuや彼のチームとともに、モゴックの過去と現在を探りましょう。 モゴックの豊かな宝石市場と、この地域で行われている最も重要な二つの鉱山事業、Dattawのルビー鉱山とBaw Marのブルーサファイア鉱山を垣間見ることができます。
Montepuezルビー鉱山のジェネラルマネージャー、Ashim Royは、モゴックにあるすべてのものから学ぶためにここに来ています。 「モゴックについては、聞き及んだことや読んだことがたくさんあります。」と、彼は言います。 「千年を超えるルビー採鉱の歴史があるということで、地質学や宝石学だけでなく、採鉱、社会、経済の面における知識も持ち帰れるのでは、と期待しています。この訪問には多くの期待をかけています。」
モゴックは、ミャンマー北部のマンダレーの約200km(124マイル)北東にあります。 宝石を産出するすべての地域の中で最も有名なこの産地は、いくつもの谷と町で構成されています。 主な産出地はモゴックとKyatpyinですが、Bernardymo、Ghaung Gyi、Kyauk Pya Thatの村を取り囲む肥沃な渓谷や、KabaingやKinといった谷でも宝石が発見されています。 ルビーとサファイアのほかに、モゴックではスピネル、アパタイト、ペリドット、トルマリン、スカポライト、ムーンストーン、ジルコン、ガーネット、アイオライト、アメシストなど、他の多くの宝石も産出しています。
モゴックの上に位置する見晴らしの良い場所から、Pardieuが渓谷の反対側にある丘を指しています。ここの明るい白大理石の尾鉱はかなり離れた場所からでも見えます。 「山の頂上に鉱山があります。これがDattawです。モゴックの中でもおそらく最も有名なところです。」と、彼は言います。
鉱山は町から約5km(3マイル)のところに位置しており、そこにたどり着くため、チームは険しい道を登らなくてはなりません。 「Dattawは、モゴック東部で最も標高の高いところにあるルビー鉱山です。」と、Pardieuは言います。 「ここはまた、非常に際立ったルビーがいくつか採鉱された最も重要な鉱山の一つです。」実際この鉱山では、並外れて大きな宝石をいくつも産出しています。これには、悪名高い496.5ctの SLORCルビー(1990年の産出時の与党政府、State Law and Order Restoration Council、国家法秩序回復評議会の頭文字にちなんで命名)も含まれます。
Dattawの操業は、くっきりとした白いカルサイト大理石の、硬岩トンネル掘削です。 チームはそこで、掘削と発破の準備を見ました。 「現在、掘削と発破のための爆発物の設置が行われています。」と、Pardieuが言います。 「通常、発破は一日の終わりに行われます。爆薬を大量に入れているのが見えるでしょう...威力が穏やかなため、大理石やカルサイトは破壊できますが、ルビーを破壊しません。」宝石鑑別士のWim Vertriestは鉱山の地質に夢中な様子で語ります。 彼が叫びます。「大理石が非常に透明です!」 「非常に奇妙な外観の、カルサイトの巨大な結晶があります。自分たちがまるでビデオゲームの中にいるように見えます!」
チームはやっと鉱山の奥深くまでたどり着きます。 「Dattawの奥、地下約200mのところにいます。」と、Pardieuは言います。「鉱山の奥深くからカルサイトを持ってくるビルマ人の鉱山労働者たちと一緒です。彼らはその石を地表に持って行きます。 地表ではそれをハンマーで叩き、内部にルビーがあるかどうか確認します。」ハンマーで打った破片は、上等なお寿司か、選りすぐりのエキゾチックなデザートのようにおいしそうに見えます。 破片の中にはそれぞれ、半透明、つまりほとんど透明な菱形のカルサイトの端に、鮮やかな赤いルビーの結晶があります。 食べられそうなくらい、素晴らしい外観です。
彼らは次に、Baw Lon Gyiの鉱山と村を訪問します。 「興味深いのは、Kanaseが使用しているシステムです。」Pardieuが説明します。 Kanaseとは、伝統に則り、鉱山で採れた尾鉱を仕分けし、鉱山労働者が見落とした宝石を探す女性たちのことです。 「鉱山からのすべての廃棄物を入手しようとするBaw Lon Gyi村の人々の列があります。」Pardieuが続けます。 「小さなルビーを見つけられるよう、数百人もの人々がカルサイトを壊している時もあります。」町の人々が入念にカルサイトを叩くハンマーの音がこの地域に鳴り響きます。 「鉱山で働いていない人々のことも鉱山が面倒を見る、良い方法だと思います。そうしてコミュニティ全体を維持しているのです。」と、Vertriestが裏付けるように言います。 「これにより、市場に小さな低品質の石を供給することにもなります。」
これらの小さめの宝石の中には、午後に開かれるKyatpyinの宝石市場に出されるものもあるでしょう。このグループも次にそこに立ち寄ります。 Pardieuは言います。「そこは、約1000人または2000人の人々が集まる非常に興味深い市場で、ブルーサファイアが中心です。」サファイアの産地がどこかと尋ねられ、業者は「Baw Mar」だと答えました。2008年以来、モゴックのBaw Mar地域で採れる上質のブルーサファイアが市場に出るようになっています。 鉱山自体は、モゴックの西にあるKyat Pyin地域に位置しています。 ここには重機が装備され、露天掘りとトンネル掘削を併用しています。 「ここはモゴック全体で最大のサファイア鉱山です。そして最大の初生鉱山でもあります。」」とPardieuが言います。ここの操業では、最大15カラットの研磨サファイア用に十分な大きさの原石も産出することができ、約300名の鉱山労働者や他の労働者を採用しています。
チームは、Baw Marでの地下操業を調査します。ここでは、木材が並ぶトンネルの端で、労働者が風化した岩石からサファイアの結晶を手で取り出しています。 「ここは地下およそ20〜30mの場所です。」Stanislas Detroyatが説明します。「岩の内部にサファイアの鉱嚢が見えます。うっとりするような光景です。」サファイアを収集する鉱山労働者を見ながらVertriestが言います。「この方が見えますか。鉄のピックで作業をしていて、ちょうどサファイアが最も大量に含まれている部分に行こうとしています。」
鉱山から直接宝石を収集すること、これこそフィールドジェモロジストが直に見たいと思うことの一つです。 「鉱山内部の岩の中、現場のマトリックス中にあるサファイアを実際に見るなんて、本当に素晴らしいことです!」Pardieuが大声で言います。 「これが、私がルビーやサファイアの鉱山をすべて訪ねるために世界中を旅する理由です。鉱山の現場でこうした試料を採取し、GIAの参照コレクションを築くためです。」
このGIAフィールド遠征調査(FE75)は、2015年に行われました。 Pardieu以外の参加者は、ビデオカメラマンのDidier Barriere-Doleac、遠征調査メンバーのStanislas Detroyat、Wim Vertriest、Ashim Roy、Victoria Raynaud、Lauriane Pinsault、Floriane Duretです。
GIAのスタッフは、研究目的、そして市場に対する洞察を深めることを目的として、宝石およびジュエリー産業に関わる鉱山をはじめ、製造業者、小売業者などを多く訪ねています。 GIAは、訪問中にスタッフを受け入れ、貴重な情報を提供してくださった皆様に感謝いたします。 これらの訪問や記事または出版物のいかなる内容も、再利用、宣伝用の利用は禁止されています。