ファンシーカラーダイヤモンドでAlrosa(アルロサ)香港入札にスポットライト
11月 20, 2015

ロシアのダイヤモンド産出量の内90%を採鉱し販売するAlrosa(アルロサ)は、香港オークションで5カラット以上の研磨済みダイヤモンドやファンシーカラードダイヤモンドを出品しました。 ハイライトは、54.2カラット(ct)のファンシー・ディープ・イエローの長角隅切りカット石と、0.42ctの ファンシー・ビビッド・パープルピンクでした。 Alrosa(アルロサ)によると、大きなイエローダイヤモンドは最低でも150万ドル(約1億8000万円)のオファー価格がつき、またパープルピンクダイヤモンドはカラットあたり「160万ドル(約1億9200万円)以上」の最低落札価格であったと業者が話していました。
Alrosa(アルロサ)職員によると、両方のダイヤモンドはロシアの伝統的なダイヤモンド産出地であるシベリアのMirny(ミールヌイ)から2,600マイル(約4,184キロ)ほど西に位置する、ロシアとフィンランドの国境近くのArchangel(アルハンゲル)地方で採取されたとのことです。 Archangel(アルハンゲル)での作業は子会社であるSeveralmaz(セベラルマズ)によって行われており、比較的新しいものです。 2005年からロモノソフ・パイプで小規模に産出が始まりましたが、2014年に規模を拡大し、その産出は4倍の年間140万カラットにまで跳ね上がりました。 近隣にあるもう1つのパイプであるKarpinskogo(カルピンスコゴ)も昨年参入し、ファンシーカラーダイヤモンドを含む266,000カラットを産出しています。

この 0.42ctのファンシー・ビビッド・パープルピンクダイヤモンドは9月に開催されたAlrosa(アルロサ)のダイヤモンド入札に出品された。ロシア極北の西側に位置するロモノソフ・パイプで採鉱されたもの。 カラットあたり160万ドル以上で売却されると予想されていた。 写真:Russell Shor / GIA
Alrosa(アルロサ)職員によると、同じ会議ホールの数階下のフロアで開かれていたトレードショーの停滞した取引とは対照的に、販売会でのダイヤモンドはほとんどが堅実なオファーを受けていたとのことです。 Alrosa(アルロサ)は2007年以来、単独フェアとして世界最多のダイヤモンド業者が集まる、9月に行われるHong Kong Gem and Jewellery Fair(香港ジェム・アンド・ジュエリー・フェア)と提携し、招待客限定の入札オークションを行っています。 同社の昨年の香港販売高は、原石や量産品サイズの研磨済みダイヤモンドの進行中の販売も合わせると、合計4,320万ドル(約45億7000万円)に達しました。Alrosa(アルロサ)は、5年前に世界最大のダイヤモンド産出者の座をデビアスから奪いとっており、生産の大半(昨年度は3,800万カラット)を、デビアスのサイトのような定期販売で売却しています。 香港入札オークションに加え、同社は定期的なオンラインオークションにて10.8カラット以上の大きなダイヤモンド原石も提供しています。
しかし価格においてはデビアスがいまだ首位を独占しており、Alrosa(アルロサ)の37億ドルに比べ、2014年には71億ドル(約7500億円超)(3,270万カラット)のダイヤモンド原石売上額を記録しています。
Alrosa(アルロサ)の第3四半期の売上額は、去年6月~9月期の10億ドルから5億6300万ドル(約688億円)までと大きく減少しました。 同期の価格も平均で8~10%下落しました。 Alrosa(アルロサ)の報告書によると、同社の売上量も、2014年第3四半期には760万カラットから490万カラットへと下落したとのことです。 一方、デビアスは上半期で1400万カラットの売り上げで、2014年の同時期から26%下がったと発表しています。
Alrosa(アルロサ)は上半期、伸び悩むダイヤモンド市場の代わりにロシアの国家貴金属宝石公社といわれるGokhran(ゴクラン)に2億3200万ドル(約279億円)以上を販売しました。 Gokhran(ゴクラン)は定期的にダイヤモンドストックのオークションを行っており、2015年の売上は去年に比べ45%減に留まっています。 ロシア財務省は、去年の1億200万ドルに比べ、年間で6,600万ドル(約80億円)になると見積もっています。
筆者について
Russell Shorは、カールスバッドのGIAのシニア業界アナリストです。