同窓会スポットライト

新人デザイナー、倫理的なブランドを作るために助成金を受賞する


黒いフレームのメガネを着用して、先端が尖っている型の後ろで作業をするGrandics。
私たちの世界に存在するコントラストには本当に感動し、魅了されます、とGIAグラジュエイト ジュエラー(GJ)Niki Grandicsは語る。 彼女のデザインに見られる突き出た先端の型で作業するGrandicsは、母国ハンガリーと彼女の家族の移住先である南カリフォルニアの間に存在する数多くの視覚的および文化的なコントラストに気付きながら育った。 提供:Niki Grandics。 写真撮影: Hajnalka Stiblane

ハンガリー移民の娘として育ったデザイナーのNiki Grandicsの幼少期は文化的および視覚的なコントラストの学習でした。

彼女の家族が頻繁に世界中を旅することにより、創造的な実験、デザインのインスピレーションと社会的責任の基礎を築きました。また、Grandicsの前向きのデザインおよび倫理的なビジネスプランは、Halstead(ハルステッド)助成金を受賞するきっかけとなりました。 ハルステッド社が新しいシルバージュエリーデザイナーに授与した助成金は、優れたデザインとビジネス戦略を認識し、自給自足のビジネスを経営する目的で受賞者が「明確な目標と測定可能な手順を確立する」ことを奨励しています。  

私の家族は移民であり科学者でもありました。それが、私のデザインや周りの世界の見方に影響しています、とサンディエゴに拠点を置くGIAグラジュエイト ジュエラー(GJ)のGrandicsは語ります。 私は、かつて住んでいた場所や旅行した場所でコントラストや違いを見てきました。それがすべて大きな世界の一部であることに気が付いたのです。そして、すべてが実験である科学者のようにデザインします、と彼女は続けます。

可能な限りリサイクル製品と持続可能な銀を使ってハンドメイドするネックレス、ブレスレット、イヤリングやリングなどの「実験」やリサイクルまたはFairmined(フェアマインド)認証ゴールドとダイヤモンドを使用して作られるブライダルジュエリーは、オンラインおよび職人市場のみで購入可能となっています。 今年は彼女のビジネス、ENJI Studio Jewelry(ENJIスタジオジュエリー)をより「伝統的な」小売ルートに移行する予定です。

私のデザイン哲学は、天然素材を使用した最小限のものと表現されるのが一番合っている、と彼女は言います。 ファセットカットされた宝石の代わりに天然の未加工の石やスライスを使って作業し、それらを幾何学的および角度のある金属と組み合わせます、と続けます。

Grandicsの幼少時代、特に南カリフォルニアとハンガリーの間の行き来、がすべての作品に特徴を与えます。 彼女が子供の頃、彼女の2つの母国で見られる対比に気づきました。 視覚的にも文化的にも、異なる世界みたいでした、と彼女は言います。

Grandicsは、デザイナーとして彼女が使用する異なる種類の素材のコントラストのアイデアを探求します。

私の彫刻作品やジュエリーのデザインでは、天然の石や貴重な素材のような部分の重要性を介してこれらのコントラストを探求します。 ガラスや石で作業をすることは、金属で作業をするのとはほとんど正反対です。ガラスと石は特に寛大な材料ではなく、非常に壊れやすいのですが、金と銀は、簡単に異なる形になることができます。 これらの素材に存在する違いを利用して作業することで、私のデザインでこのインスピレーションが生まれるのです、彼女は述べます。

工房で火を使いながらガラスで作業をするGrandics。
ノースカロライナ州のPenland School of Crafts(ペンランド・スクール・オブ・クラフト)の吹きガラス工房で作業するNiki Grandics。Grandicsは、San Diego State University(サンディエゴ州立大学)卒業後、オランダで吹きガラスやジュエリーを研究するためにウィンゲイトフェローシップを獲得した。 提供:Niki Grandics。 写真撮影: Hajnalka Stiblane

Grandicsは、San Diego State University(SDSU:サンディエゴ州立大学)に入学し、2014年に(宝飾品に重きを置く)応用デザインとマーケティングの学位を取得しました。

私の両親は私が彼らと同じ道を歩み、医療学校に行くか、科学でキャリアを築いて欲しかったようですが、私はいつもデザインに魅力を感じていました。 私は鉛筆を手で持つことができる年になったときから絵を描くのが好きで、ジュエリーに出会ったのです、と彼女は説明します。  

グラフィックデザインで学位を取得することのみがアーティストとして生計を立てるための唯一の方法だったと確信していたものの、Grandicsはすぐにそれに適していないことに気づき、彫刻と吹きガラスのクラスを取り始めました。

私は、ガラスでできた着用できる彫刻で続けて作業をし始め、これらの作品を作るためのテクニックを学ぶことができるようにジュエリーや金属細工のコースを取りました。 ベンチに座った途端、私は好きな場所にいるとわかりました、と彼女は言います。

Grandicsは専攻を変更し、卒業したときにはウィンゲイトフェローシップを獲得し、オランダで吹きガラスやジュエリーを研究することになりました。 オランダのGalerie Marzee(ギャラリー・マージ―)でインターンとなり、Grandicsは宝石商になることを決心しました。

アメリカに戻ってきたときGrandicsは、バイオテクノロジーのマーケティング・アナリストとして就職しましたが、ジュエリーでキャリアを築くにはどうしたらよいか考えていました。 彼女は、SDSUの大学生としてGIAキャリアフェアに参加したのを思い出し、GIAの教育奨学金に応募することに決めました。

キャリアフェアで、施設やGIA博物館で展示されている作品を見てびっくりしましたが、私が最も感動したのは私が話をした皆さんがいかに情熱的であったかということです、と彼女は言います。 あのような状況にいれることには本当に感銘を受けたので、私はGIAで研究を続けたいと思ったのです、と続けました。

木の上に展示されているイヤリングとその前に飾られているリング。

Grandicsはグラジュエイト ジュエラー(GJ)プログラムの奨学金を受賞し、カールスバッドのGIAに出席するためにマーケティングの仕事を辞めました。 彼女はベンチジュエラーとしての経験を持っていたものの、まだ学ぶことがたくさんあることに気が付きました。

私は石のセッティングやレーザー溶接などの新しい技術についてたくさんのことを学びました。 GJのプログラムは難しく、私が行ったようにベンチジュエラーとしての経験がすでにある場合は特に難しいでしょう、と入学する学生に伝えます。 このプログラムを甘く見ることはできません。 物事の新しい方法を学んで活用しなくてはいけません。 もっと多くの知識や技術的なスキルを得ることに成功し、GIAを通じて会うことができた人々と大きなネットワークを広げました、と2016年に卒業したGrandicsは語ります。
 

ダイヤモンドの原石を特徴とするリングを手にするGrandicsの指のクローズアップ。
ベンチに座った途端、私は好きな場所にいるとわかりました、と天職を見つけたGIAのグラジュエイト ジュエラー(GJ)Niki Grandicは語る。 2016年にGIAを卒業した後、Grandicsは第11回ハルステッドグラントを受賞した。 新作品であるダイヤモンドの原石をセッティングしたリングを手にするGrandicsは、ENJI Studio Jewelry Designs(ENJIスタジオジュエリーデザイン)で未加工の素材やFairmined(フェアマインド)認証ダイヤモンドをよく使用する。 提供:Niki Grandics。 写真撮影: Hajnalka Stiblane

GIAを卒業した後、Grandicsはもっと経験豊富な人から学びたいと思い、サンディエゴ地域の別のデザイナーのもとで短い期間働きました。 8,500ドル(およそ96万円)の現金や備品を含むハルステッド助成金を受賞した後、GrandicsはENJI Studio Jewelry(ENJIスタジオジュエリー)をフルタイムで立ち上げることに注力しています。

Nikiはスタジオアーティストとしての人生を生きるために夢を実現しました、とHalstead(ハルステッド)社の社長Hilary Halstead Scottは語ります。 彼女は、マーケティングの教育を受けて、金属の学位を取得し、GIAのグラジュエイト ジュエラー(GJ)大学院ジュエラーの認定を取得しました。 彼女は目的を達成するために必要なすべてを持っていて、デザインする特別な才能も備えています、と続けました。

受賞したことに関して「信じられないほど恵まれている」と感じるGrandicsは、彼女のビジネスやキャリアを利用して「コミュニティに恩返しをして、それを他の人々とも分かち合う」大きな責任を感じていると言います。

彼女は、家庭内暴力、性的暴行や人身売買の犠牲となった若者をサポートする非営利団体で個人的にボランティア活動をし、その一環として彼女たちが高等教育やSTEAM(科学、技術、工学、芸術と数学)の分野で活躍する機会を促進しています。また、世界をよりよい場所にするビジネスを構築することも目指しています。

ユニークできれいなデザインと倫理的な慣行に誇りを持つ持続的なブランドを構築したいと考えています。 ジュエリーやファッションでは、より多くのビジネスがファストファッションから移動し、もっと倫理的で持続可能なモデルを採用し、私はその一部であることを誇りに思っています。 素材や作品がどこから来たのかを考慮したり、前向きでポジティブな変化を作る方法を検討できるよう、もっと多くのデザイナーや消費者に影響を与えられたらよいと願っています、と彼女は言います。

寄稿者Jaime KautskyはGIAダイヤモンドグラジュエイト、またGIAアクレディテッドジュエリープロフェッショナルであり、The Loupe(ザ・ルーペ)誌の共同編集者を務めました。