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デビアスの合成ダイヤモンド、2018JCKショーで困惑を招く


クリア、ブルー、ピンクの合成ダイヤモンドジュエリーがピンクのボックスの周りと上に置かれている。
デビアスは、カラーレスおよびファンシーカラーの合成ダイヤモンドの新ブランド「ライトボックス」の価格を天然ダイヤモンドの価格に比べたものではなく製造にかかった費用に基づいて設定していると主張する。ライトボックスは、この秋に市場で販売される予定である。写真:デビアス

デビアスが低価格の合成ダイヤモンドジュエリーの新ブランド「Lightbox(ライトボックス)」を販売すると発表したことに対して、ラスベガスで開催されたJCKショーでは賛否両論が巻き起こっていました。

このショーが開催される2日前、デビアスは、ラボで製造されたダイヤモンドを1カラット当り800ドル(約8万3千円)で販売し、イヤリングとペンダントにセットされている場合、合計の重量が0.25カラットは200ドル(約2万円)、0.5カラットは400ドル(約4万1千円)、1カラットは800ドル(約8万2千円)となり、さらにセッティングにかかった費用を加算して販売すると発表しました。ラボで製造されたダイヤモンドには、それぞれレーザーで鑑別用の印が刻印され、この印を研磨することはできません。また、デビアスは同じ価格でピンクとブルーのファンシーカラーダイヤモンドを製造していると発表しました。

デビアスは、「ライトボックス」というブランドにデビアスという名称を使用するのを回避しており、開発していた18ヶ月の間、このプロジェクトを極秘で進めていました。現在、オレゴン州ポートランド近郊に自社の製造工場を建設しており、2020年にはフル稼働を開始し、年間50万カラットを製造する予定です。ライトボックスは、デビアスの小売部門と同じように、別の管理チームを持つことになります。

これに対して小売業者は様々な反応を示しました。ダイヤモンドのビジネスに悪影響を及ぼすという方もいれば、価格がより安価なジュエリーを作るのに新たな機会ができたと解釈する方もいました。しかし、最初の製品がオンラインのみで販売されることに関しては全員が不満を抱いていました。小売業者は2年以内にライトボックスを販売できるようになる、とデビアスは発表しました。

ダイヤモンドのディーラーで、特に低価格の商品に注力する者は、ライトボックスの価格は、そのカテゴリで同等の重量の商品の20%〜30%であるため、ライトボックスのブランドは安価で低品質の天然石の市場に打撃を与えると説明し、デビアスの発表に不満を持っています。一方、高級ダイヤモンドのディーラーは、デビアスは権力を振りかざしており、ダイヤモンド業界には無関心になったと不平を述べていました。

驚いたことに、このショーに出展していた30社の合成ダイヤモンドの企業のほとんどは、デビアスの新ブランドを支持しており、その理由として以下の3つの点を挙げました:

  • デビアスがこの市場に参入することで自社製品が「正当化」される
  • デビアスの商品が注目を浴びると自社製品に対する需要も高くなる
  • 自社製品を異なる方法でマーケティングしているため、価格は脅威にはならない

デビアスが合成ダイヤモンドの製造・販売に関する発表をしたため、このショーの開催中、ラボで製造されたダイヤモンドのセクションには多くの潜在顧客が集まったと、彼らは述べました。

デビアスの業務部門で副社長を務めるDavid Prager氏は、価格と市場の位置付けはすべて、米国での消費者に関する大規模な調査をした結果として生まれたと、満席となったプレゼンテーションで述べました。

「消費者はラボで製造されたダイヤモンドでファッションを楽しみたいのです。また、透明性があり、手頃な価格を求めています。(旦那さんやパートナーからのギフトとしては欲しくなくても)女性はラボで製造されたダイヤモンドを自ら購入する意志があることがわかりました。」

他の多くの合成ダイヤモンドの生産者は天然ダイヤモンドの価格に対する割合によって合成ダイヤモンドの価格を設定していますが、デビアスは、生産に要した費用を基にその製品の価格を設定すると、Prager氏は主張しました。

マーケティングは、「軽めの感情的な瞬間」を対象にしており、「女性が自分自身にご褒美をあげれるような価格になる」と、同部門で幹部を務めるSally Morrison氏は語りました。

デビアスの幹部全員は、婚約、記念日、そして人生において非常に特別なその他の日を祝福するために天然ダイヤモンドを与えるというデビアスの従来のマーケティングとは明らかに異なる「軽めの感情的な瞬間」を強調しました。

Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。