2017年のラスベガスショーでの売上高が不安定な中、デザイナーとダイヤモンドが市場を先導


A 4.10 ct colorless diamond “slice” pendant with black inclusions set in white gold and surrounded by colorless to brown pavé diamonds by Rachel Boston, London. Photo courtesy Rachel Boston
ロンドンのRachel Bostonによる4.10カラットのカラーレスダイヤモンドの"スライス"ペンダント。ブラックインクルージョンのあるこのダイヤモンドは、ホワイトゴールドにセットされており、無色からブラウンのパヴェダイヤモンドが周りに飾られている。写真提供:Rachel Boston

小売業者のバイヤーが小さめの作品、特に重ねたりペアにして個性的に見せることができる作品を好んでいたため、派手なデザインの宝飾品の売上げは、今月初めに行われた毎年恒例のラスベガスショーでは低調でした。

Couture and Luxury show(クチュール・アンド・ラグジュアリー展示会)でデザイナーは、淡い色のファセットカットされたアメシストやコランダム、タンザナイト、そしてゴールドやシルバーにベゼルセットされた様々なトルマリンを使用していました。また、デザイナーは、インクルージョンが多く含まれていたり不透明であるようなダイヤモンド原石を薄くカットしたダイヤモンドスライスを使用して、独特の作品を生み出していました。

いわゆる「ジムに行ったり、夜の街に出かける」ときに身に着けられるジュエリーを作ることを目的にしたものだそうです。

売上げにはばらつきがあったものの、JCKショーのメイン部門では予想以上の需要があったことをダイヤモンドの取引関係者は確認しました。また、深刻なバイヤーが商談を行ってはいたものの、来場者の数は少なかったことは出展者の誰もが認めていました。高級品の出展者と富裕層向けの独立した小売業者を対象にした部門であるCouture(クチュール)ショーでは、高い需要を報告した出展者がいた一方、売上げは低迷していたと報告した者もいました。

JCKショーの一部で高級品の出展者向けのJCK Luxury(JCKラグジュアリー)での売上げは、一貫して低迷していました。購入のほとんどは、招待客のみが参加できる期間(メインのショー開催前の2日間)に行われましたが、出展者は昨年と比べて参加者が減少したと報告しました。

概して小売業者は、オープン・ツー・バイ計画に従い、特定の顧客からの要請がない限り高価で派手な作品を避けていました。

上記でも指摘したように、売上げが10%~15%減少すると予測してJCKショーに参加したダイヤモンドのディーラーは、昨年と比較して需要が若干上昇したと報告しました。また例年と同様、売上げが最も好調であったディーラーの一部は、ショー開始前に他のディーラーに割引販売をして現金化した人たちでした。

また、American Gem Trade Association(アメリカ宝石取引協会)のショーで行われた取引も、来場者と売上げは低迷していました。

The “Candy” bracelet by VTse Jewelry is comprised of a red oval cabochon tourmaline and multi-colored sapphires. Courtesy VTse Jewelry
The “Candy” bracelet by VTse Jewelry is comprised of a red oval cabochon tourmaline and multi-colored sapphires. Courtesy VTse Jewelry

ダイヤモンド

Diamond Producers Association(ダイヤモンド生産者協会)は、秋のホリデーシーズンに向けて「…real is rare…(本物は稀少)」というキャンペーンに費やす経費を5700万ドル(約63.8億円)(うち米国では5000万ドル、約56億円)に増加させることをJCKショーで発表しました。この費用は、様々な販売経路の他、店頭小売店を支援するために第4四半期の広告キャンペーンのために使用されます。

さらに、ForeverMark(フォーエバーマーク)は、女性が自分自身で購入すること(ダイヤモンドの販売全体の31%を占める)に重点を置いたダイヤモンドの広告を増やす計画をしています。これは3年前と比較して6%の上昇となります。デビアスは、婚約指輪は昨年のダイヤモンドの売上高の28%を占め、妻への男性の贈り物は米国のダイヤモンドジュエリー市場でさらなる37%を占めていたと指摘しました。

ジョイント小売ベンチャーにおいてLVMH社の50%の株式を最近買収した同社は、成長戦略すべてを「伝統的なブランドが力強く...信頼されている」中国に焦点を当てると、CEOのBruce CleaverがJCKとのインタビューで述べました。

Cleaverは、米国におけるデビアスの店舗ブランドの成長はあまり期待できませんが、小売事業は依然として「(デビアスの)ブランドの命題の重要な部分」を占めると述べました。

カラーストーン

ルビーサファイアの採鉱会社であるGemfields(ジェムフィールズ)は、買収合戦の標的となっています。

同社の筆頭株主、ロンドンのPallinghurst Resources(パリンハースト・リソース)は、所有していないジェムフィールズの株式のうち53%を購入することを申し出ました。一部のアナリストは、ジェムフィールズの株式が不調であるとしても、2億7560万ドル(約309億円)という提示金額は低すぎると批判しました。同社の2016年の収益は1億9110万ドル(約222億円)であり、利益は2350万ドル(約27億円)でした。

しかし、上海に拠点を置く中国の持ち株会社であるFosun Gold(復星黃金)は、現在、パリンハーストの提示金額を10%上回り現在の株価の15%以上となる、現金価格を提示しています

Gemfields は、ザンビアでカジェム・エメラルド鉱山およびモザンビークでモンテプエズ・ルビー鉱山を運営しています。同社は、これら両方の宝石において唯一最大の生産者であると主張し、高級宝石商Fabergé(ファベルジェ)の株式も100%所有しています。

Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。