2016年香港ショー:需要わずかに増加
9月 20, 2016

9月13-19日に開催された香港ジェム&ジュエリーフェアでのダイヤモンドやカラー宝石の需要は、その一部は現金を必要としている同業者から安値買いをしたディーラーからによるものではあったものの、ほとんどの出展者の期待を上回りました。 ほとんどのディーラーは昨年の業績からの改善を報告しました。
中国の小売業者や卸売業者は、2桁成長が10年間続いた後で2年間に及ぶ市場調整の後、中国の消費者の需要が持続可能な取引レベルで安定し始めていると信じています。 1カラット未満のダイヤモンドでは、需要が中程度のカラーとクラリティに注目が集まりました。 3カラット以上のより良い品質のダイヤモンドの需要が若干好転したとディーラーは報告しました。 価格が依然として主要な問題となっており、比較的わずかな値引きを求める価格交渉が強行に進められていたため、数多くの取引が遅延されました。
カラーストーンでは、需要がルビー、エメラルドやサファイアなどの鮮やかな色の宝石に集中し、アメシストやシトリンのような一般価格の宝石の需要が引き続き強い傾向にありました。
昨年と同様に、業績の堅調なディーラーが、与信枠が激減したり完全に削除されたことで現金が必要となった同業者から多量の商品を購入するところからショーが開始しました。
主要なディーラーの一人は、「以前は、大幅な値引きを提供する売り手がいたため、価格を全体に押し下げていました。 私たちが最初にそれらを購入すれば、価格を維持するのに役立ちます」と指摘していました。
Paspaley Pearling Company(パスパレイ社)は、香港のショーの最終日2日間で白い南洋養殖真珠やフィリピン産のゴールドの養殖真珠を競売にかける毎年恒例の入札オークションを開催しました。 両品種の需要は昨年と同様であったと、同社の役員は述べました。

Hong Kong Gem and Jewellery Show(香港ジェム&ジュエリーショー)と併せて開催されたパスパレイ真珠オークションでは、世界中からのディーラーが多くの南洋真珠およびゴールドの養殖真珠を視察する。 写真:Russell Shor / GIA
ダイヤモンド
デビアスの8月29日~9月2日のサイト(サイクル)の需要は堅調であったと同社は発表しました。 総額の6.3億ドル(約651億円)には、入札オークション、追加販売(「ex-plan」と呼ばれる)およびサイトの販売など、すべての販売が含まれています。 デビアスは価格についての発表を行っておらず、価格が堅調に推移していると判断されています。
このサイトは、ダイヤモンドの原石が米国とアジアの主要市場向けに年末の祝日に間に合うように研磨できる、今年最後のものです。
この総額は7月の5.28億ドル(約549億円)よりもかなり高めとなっています。本年度最終の3か月の売上高は、市場が極度に混乱し、多くのクライアントが商品を拒否していた昨年度の売上高を大幅に上回ると予想されています。
生産量で世界最大のダイヤモンド生産者Alrosa(アルロサ)は、上半期の売上高が2170万カラットであり、2015年より21%の増加であったことを報告しました。 同社の収益は前年同期と比べて46%の増加となりました。
Rio Tinto(リオティント)は、インドのマディヤ・プラデーシュ州にあるBunderダイヤモンドプロジェクトからの撤退を発表し、周囲を驚かせました。 サンプリングの最終段階が完了し、キンバーライトパイプ8本分の塊から鉱山寿命にして約2740万カラットが産出されると推定されています。 リオティントは、操業開始後、鉱山からの鉱石とともにサンプルを処理するための高度に自動化された回収プラントを建設しました。
同社の当時のCEO(最高経営責任者)Sam Walshは、プロジェクトの承認プロセスを促進するために2013年にインドの首相 Narendra Modiに呼びかけました。 今年の7月、同社は2019年に生産を開始すると楽観的な発表をしましたが、後日 Jean-Sebastien JacquesがCEOとしてWalshを引き継ぎました。 同社は、コスト削減を目的として8月にBunderを売却すると発表しました。
Bloomberg(ブルームバーグ)の報告によると、インドでは承認プロセスと土地取得の手続きが高価で時間がかかるため、いくつかの大企業がインドでの開発計画をキャンセルしたと伝えられています。
これは、今年断念された中で2番目に主要なダイヤモンドのプロジェクトでした。 デビアスは、不採算になっていたカナダ北部のスナップ・レイクを今年の初めに閉鎖しました。 同社は、現在もバイヤーを探しています。
Kay Jewelers(ケイ・ジュエラーズ)とJared the Galleria of Jewelry(ジャレッド・ザ・ガレリア・オブ・ジュエリー)の親会社であるSignet Group(シグネットグループ)は、第二四半期の既存店売上高は前年同期から2.3%減少したことを報告しました。 ケイ・ジュエラーズの平均取引価格は0.8%下落しましたが、低価格の市場で一般的に取引するZale部門ではわずかに上昇しました。 会長 Mark Lightは、石油・ガスの生産が経済の重要な部分である、米国の「エネルギー依存」の地域で売上高が特に落ち込んだという声明を発表しました。 また、賃金の停滞と景気の先行きに対する不安感は高級品の需要低迷に拍車をかけました。
Tiffany & Co.(ティファニー・アンド・カンパニー) の第二四半期の世界の既存店売上高は9%減少しました。 売上高の減少は、すべての主要市場で顕著であり、北米で8%、アジア太平洋地域で6% 、ヨーロッパで17%と大幅に減少しました。 同社は売上高の減少の要因として「既知の」経済的要因を挙げており、同社の収益に世界的な影響を与えた中国の観光業の急激な低下も要因として挙げています。
Russell ShorはカールスバッドにあるGIAのシニア業界アナリストです。