カラーダイヤモンドの魔法

カラーダイヤモンドが脚光を浴びており、オークションハウスで記録を更新することがよくあります。また、有名人の婚約指輪にセットされ、新聞の見出しを飾ることもあります。カラーダイヤモンドは最も稀少で、見事に素晴らしい宝石なのです。
虹のすべての色が存在するカラーダイヤモンドは、DからZの色範囲に入るダイヤモンドよりはるかに稀少です。加工済みダイヤモンドのわずか1万分の1カラットのみがファンシーカラーを有しており、強い色調を呈するのは、なんと2万5千分の1カラットにすぎないのです。ブラウンとイエローが最も一般的なファンシーカラーであり、レッド、グリーン、パープル、オレンジが最も稀少な色です。
GIA®は、1956年にカラーダイヤモンドに対して色の起源レポートを初めて発行しました。何十年にもわたる研究および何千個ものカラーダイヤモンドの検査に裏付けされたGIAカラーダイヤモンドグレーディングシステムは、これらの非常に稀少な宝石を評価するための基準となっています。現在、GIAカラーダイヤモンドグレーディングレポートで使用されているカラーグレードの用語は、フェイント、ベリーライト、ライト、ファンシーライト、ファンシー、ファンシーダーク、ファンシーインテンス、ファンシーディープ、ファンシービビッドです。実際、主要なオークションハウスで落札されたカラーダイヤモンドは、すべてGIAがグレーディングを行ってきたものです。

「GIAカラーダイヤモンドグレーディングシステムは、以前のグレーディングシステムと比べて、ダイヤモンドのカラーをもっと詳しく説明します。このため、このような石の取引が世界中で大きく促進されました。特に、新たな原産地が出現したため市場における石の数量が増え、色の範囲が広がったので、なおさらのことです」と、GIAでシニア業界アナリストを務めるRussell Shor は説明します。
ピンク
GIAの研究員は、多くのピンクダイヤモンドの色は、スペクトルの可視領域で光を選択的に吸収することができるカラーセンターが原因で生じると理論を立てています。カラーセンターは、格子欠陥、すなわち結晶中の原子の配列の欠陥のため起こります。これらの欠陥のため、ダイヤモンド結晶中でピンクのグレイニングが生じることがあります。

ブラック
自然に着色されたブラックダイヤモンドのほとんどは、石全体に広がるグラファイト、パイライトまたはヘマタイトのような、大量のあるいはクラウド状になった微小鉱物インクルージョンによって色が生じます。また、これらのダイヤモンドには、黒い染みが付いていたり、黒鉛化したために黒くなっている劈開またはフラクチャーも数多くある可能性があります。これらの内部特徴が凝集しているため、黒い色が生じます。しかし、天然ブラックダイヤモンドの本当の地色は、ほぼ無色から茶色またはオリーブグリーンまで様々です。

イエロー
ダイヤモンドが黄色く見えるのは、窒素があるためです。黄色の強度は、窒素の量によります。イエローダイヤモンドは、DからZ(カラーレスからライトイエロー)の範囲外である場合はカラーダイヤモンドとみなされ、「ファンシー」とグレーディングされます。

ブラウン
かつて産業用として利用されていたブラウン ダイヤモンドは、1980年代にシャンパン、コニャック、チョコレートなどのロマンチックな名前を付けて販売され、人気を博しました。天然ブラウン ダイヤモンドの色は、結晶格子(分子の配列) の歪みによってできた平行な茶色のインターナルグレインラインが原因で生じます。ブラウン ダイヤモンドは、一般的に他のファンシーカラーに比べて手頃な価格で購入できます。

ブルー
たいていの場合、ホウ素不純物の存在が天然ブルーダイヤモンドの色を作り出します。より多くのホウ素を含むほど深いブルーとなります。しかし、放射線暴露あるいは水素の影響によりその色が生じることもあります。インドが歴史的にブルーダイヤモンドの主要原産地でしたが、ここ数年の間、有名なブルーダイヤモンドは南アフリカ共和国のカリナン鉱山で発見されています。

レッド
5カラット以上のレッドダイヤモンドが発見されるのは非常に稀です。このため、1957年から1987年まで色に関する判定が「レッド」のみのダイヤモンドのラボレポートはGIAでは発行されませんでした。「主にレッド」とは、レッドが主色相であり、(紫色のような)二次的な色相がないことを意味します。GIAの研究員は、何十年もダイヤモンドを研究し、最新のテクノロジーを備えた機器を使用していますが、何が原因でこの色が生じるのかは依然として判明していません。
グリーン
グリーンダイヤモンドの色は、結晶構造内で、放射線が炭素原子を通常の位置から置換することにより生まれます。自然界ではダイヤモンドの鉱床が放射性岩の近くにある場合に、また人工的には放射線照射による処理の結果として、発生することがあります。天然のグリーンダイヤモンドは非常に稀少です。非常に稀少であり、処理が施されている可能性が非常に高いことから、グリーンダイヤモンドは、常に疑いを持って見られ、宝石のラボでは慎重に検査されます。それでも、高度な宝石学的検査がグリーンダイヤモンドの色の起源を常に判定できるわけではありません。1988年にGIAの研究員が検査した41ctのDresden Green(ドレスデン グリーン)ダイヤモンドは、天然の起源の色を有する最大でおそらく最高級のグリーンダイヤモンドです。

合成カラーダイヤモンド
近年では、宝石質の合成カラーダイヤモンドが市場に流通しています。ロシアの会社、New Diamond Technology(ニュー ダイヤモンド テクノロジー)は、GIA が2016年9月に検査したファンシーディープブルーに相当するカラーグレードを有する10.08 カラットのダイヤモンドを製造しました。GIAは合成カラーダイヤモンドに対して合成カラーダイヤモンドグレーディングレポートも発行しています。
カラーダイヤモンドは非常に稀少で美しいため、カラーダイヤモンドへの関心は衰えることはありません。最高級の宝石の稀少性が、宝石愛好家や消費者をこれからも魅了し続けることは間違いないでしょう。