チタンコーティングされたタンザナイト
2月 7, 2014


図 2. 反射光で観察したこのパビリオンファセットの上部は、下部のコーティングされていない部分よりもはるかに高い光沢を示す。 顕微鏡写真提供:Nathan Renfro(ネイサン レンフロ);視野1.22mm。
顕微鏡検査によると、インクルージョンは比較的少ないのですが、パビリオンファセットの端に沿って摩耗された領域(アブレージョン)が見られました。 反射光を用いて観察すると、それぞれの石のパビリオンは、クラウンよりもはるかに高い光沢を示しました。 カラーコーティングが均一でないため、ファセットごとに光沢の違いが見られることもありました(図 2)。 サンプルを拡散透過光を用いて検査したところ、ファセットの境界部といくつかの欠けた箇所にははるかに彩度の低い色が観察され、これはカラーコーティングと判明しました( 図 3)。
図 3. このタンザナイトのパビリオン部分のコーティングは、ファセット境界部やいくつかの小さな欠けた箇所に沿って摩耗しており、その下にあるタンザナイトのより彩度の低い紫色があらわになっている。 顕微鏡写真提供:Nathan Renfro(ネイサン レンフロ);視野2.90mm。
コバルトコーティングを施されたタンザナイトが 以前に報告されているので、通常、ラボに提出されたすべてのタンザナイトは、エネルギー分散型蛍光X線(EDXRF)及び顕微鏡検査によって検査されます。 これらの5つの石もEDXRFによって検査しましたが、コバルトは検出されませんでした。しかし、5つの試料すべてがパビリオンにチタンがあることを明らかに示しました。 クラウンにはチタンは検出されませんでした。 また、コーティングされた箇所が相当量のチタンを含有することを確認するために、LA-ICP-MSも使用しました。タンザナイトで色のエンハンスメントをするコーティングは、GIAのラボで時々見られますが、チタンでカラーコーティングされたタンザナイトを検査したのはこれが初めてでした。
著者について
Amy Cooper(エイミー クーパー)はカリフォルニア州カールスバッドにあるGIAのラボのスタッフ ジェモロジスト、Nathan Renfro(ネイサン レンフロ)は宝石鑑別の主任分析専門家です。