最高に宝石の写真を撮る、6つのポイント
8月 8, 2014

Weldonは、ラスベガスで2014年に開催されたJCK( Jeweler's Circular Keystone) ショーにおいて、撮影に関する6つのポイントを紹介しました。
ツール
カメラとレンズ –16メガピクセル以上の画像撮影が可能な、高性能なデジタル一眼レフ(SLR)カメラを使用してください。 等倍が可能な60〜80mmマクロレンズは、5インチ(およそ12.7cm)以上の距離からでもあなたの被写体に焦点を合わせることができます。 Weldonは、105mmレンズを常用しています。

ビクトリア朝時代のこの編み込みが特徴のゴールドスネークブレスレット(1875年頃)は、型打ちおよび刻印が施されたダイヤモンドアイ入りのゴールドセットです。 寄贈:Mona Lee Nesseth 写真撮影:Robert Weldon/GIA
照明 –スタジオ用ストロボ照明、連続照明、LED照明、シンプルなフラッシュ発光装置を使用することで、様々な照明を選択できます。 装備への投資は重要に関わってくるので、宝石や宝飾品がどのように照らされて、照明がどう関係するのか、慎重に考慮する事です。ステージ – 被写体を撮影する台座や場所をセッティングします。 撮影機材専門店の多くで販売されている組み立て用ライトボックス、または白布のテントや、半透明のビニールでできた、コクンーン(撮影ボックス)、などを使用する事で、環境をコントロールし、光を拡散させる事で、均一な照明を被写体に当たるようにします。
変化のない環境で一貫性のある光の配置や演出は、鑑定士や宝石職人にとって、過去に扱った宝石のカタログが欲しい場合や、目録として記録に残したい場合に最適です。 このように画像は一貫性を持って見られるようになりますが、創造性や創作性には欠ける部分があります。

この201.06カラットの大きなアメトリンはボリビア産です。 提供:Michael M. Dyber(宝石デザイナー)、 写真撮影:Robert Weldon/GIA
三脚 –三脚は、特に連続照明システムを使用する際のカメラの固定に役立ち、可能なベストショット写真の構成を容易にします。ピンセット、粘着性のワックスやテープ、磨き布 – 粘着性のワックスやテープは、カメラマンが台座上に被写体を配置する場合などにおいて、微調整の際に役立ちます。 宝石学において、磨き布は宝石をきれいにしたり、指紋やほこりを除去したりするために欠かせないものです。 ピンセットは、磨き布で磨かれた後の宝石を扱う場合は特に、宝石にそれ以上または新しい指紋が付くのを避けるために使用されます。 アイテムはマクロ撮影を通じて拡大されるため、被写体のディテールを損なわないように細心の注意を払わなければなりません。
美しい被写体
最高のカット石、または最も美しく作られた宝石を選んでください。 光漏れを示さない丁寧にカットされた石は写真の準備に時間がかからない上、引き立って見える手法により位置を定めるのが容易です。 とはいえ、宝石の位置を変更するのは良いことであり、作品の前面と背面のどちらから撮影を行ったかを文書に記録しておくことを忘れないようにしてください。

左:Jeffrey Applingによりデザインされ、グリーンとピンクのゴールド、ツァボライトガーネット、ピンクサファイア、天然イエローダイアモンドを使用した、2色のトルマリンリング。 提供:Jeffrey Appling 右:Oppenheimerコレクションから、22.32カラットの双晶(左)と1.01カラットのラウンドブリリアント。 寄贈:デビアス 写真撮影:Robert Weldon/GIA
背景被写体の背景として機能する素材を、慎重に選択してください。 布、石、タイル、ガラス、木材といった、その質感や色が被写体と重ならないものの中から素材選びを行います。 原則:被写体が明るい場合には暗い背景を選択し、被写体が暗い場合には明るい背景を選択します。 これにより、被写体と背景間のコントラストが高まり、常に際立って見えるようになります。 また、白の背景は無機質な雰囲気を持つ傾向があり、一方黒の背景は劇的な感触を加えます。
見る人が画像の「雰囲気」に好感を持ち、背景に気を取られていない場合にはうまくいったと言えるでしょう。 焦点は宝石や宝飾品であり、写真の中で最も重要であるということを覚えておいてください。
小道具
作品のストーリーを語る小道具を使用してください。 例えば、古代書物の上にカメオを置くことで、歴史の感覚が伝わります。 小道具と作品の色が十分に異なり作品が目立って見えるかどうか、また小道具により作品が際立って見えるかどうかを確認してください。 また、被写体の大きさを示すために小道具を使用することもできます。

左:Weldonはカールスバッドの図書館で行われた展示において、このカメオブローチの背景として「Tablet to Tablet」から珍しい本を使用していました。 提供:Elise Misiorowski 右:長方形のクッション型アメジストのパールブローチは、ブルーの布の上に展示されています。 提供:KCB Natural Pearls(KCB天然真珠) 写真撮影:Robert Weldon/GIA
画像編集処理ほとんどの画像は、Adobe Photoshopで少し手を加えるだけで画質を向上させられます。 この写真編集ソフトにより、ほこりを無くし、画像に写り込んでいる接着剤や粘着性ワックスを除去することが可能です。 このソフトウェアを使用して色の変更もできますが、実際の宝石の色に一致させるための補正時のみに使用されるべきです。 場合によっては、アイテムを背景から切り出したり、光輪効果を用いて雰囲気を創り出したり、作品の特別な部分にスポットライトを当てたりすることに使用できます。 また、Photoshopは各種メディア(印刷、電子メール、ウェブサイト)への写真のフォーマットを変換するために使用することもできます。
写真の「真実」を変更するために、決してPhotoshopを使用しないでください。 例えば、インクルージョンの削除、ファセットの接合部を減らす、石の色を劇的に変更する(ピンクの石をダークレッドに変更する)、などの行為はしないでください。 手を加えた事実を開示せず、そのような大幅な変更を加えることは非倫理的です。
諦めない心
何度も挑戦しましょう。 「Outliers(天才!成功する人々の法則)」の著者であるMalcolm Gladwellは、同書の中で「10,000時間ルール」を度々提唱しています。それは多くの場合において成功の鍵となるのは、特定のタスクをおよそ10,000時間練習するという意味です。 その格言を写真に置き換えてみると、不変の「完璧」は、10,000画像撮影の後にやってくるということになります。

ニューヨークのMax Halpels氏がブルガリ社のためにデザインしたこのプラチナの花のブローチは総重量が29.38カラットあり、ファンシーカラーとファンシーカットの天然ダイヤモンドを7個使用しています。 提供:カナダ・トロントのロイヤルオンタリオ博物館、 写真撮影:Robert Weldon/GIA