真珠:悠久のトレンド


永遠にファッショナブルな真珠
提供:Atelier Marisa(アトリエ マリサ)
真珠が並ぶ宝飾品店のカウンターは、魅力的な場所です。古代に発見されて以来、これらの魅惑的な宝石は美しさと完成度を表してきました。真珠は、歴史、美しさ、神話そして優雅さの象徴として数限りない物語に登場し続けてきました。
 
アラビア湾は天然真珠の世界で最初の原産地であり、何世紀にもわたって産出し続けてきました。アラビア湾から産出された天然真珠は、真珠層が透明で高い光沢を示すことで有名です。紅海およびマナー海峡の真珠と共に、これらは「東洋の真珠」と呼ばれて高く評価されています。
 
真珠の魅力として、有機物起源であることが挙げられます。真珠は生きている動物、母貝から生成されるのです。そして、真珠はわずかに多孔質であるため、着用するうちに肌に対して温かく感じます。つまり、人と宝石が一体となるのです。  
 
真珠を購入しようとする場合、その選択肢は現在では非常に多岐にわたります。さまざまな色、サイズ、形で金属や他の宝石を用いて、指輪、ネックレス、イヤリングなどに組み合わせると、事実上無限の組み合わせが可能となります。
 
このため真珠の宝飾品のお買い物に出かける前に、基本を理解する必要があります。あなたは天然真珠と養殖真珠のどちらをお探しですか?大きさ、光沢、色について見るべきポイントをご存知ですか?どのような価格帯に興味がありますか?真珠の外観を向上させるためにどのような処理がなされているかご存知ですか?これらはすべて、購入前に考慮すべき良い質問です。
 
市場に出回っている天然真珠と養殖真珠の種類、および真珠の価値を決定する要因を知っている小売業者は、あなたが真珠を探す際に非常に貴重な情報を提供することができます。
 
その前に知っておくと便利な基本を幾つかお教えします。
 
真珠は天然のものと養殖されたものがあり、海水または淡水で生息する母貝の中で育ちます。これらは、一般的に真珠層(真珠貝が分泌する、貝殻の内側を覆っている天然物質)の形として炭酸カルシウムの層で構成されています。この美しい光沢のある真珠層が、真珠の本質です。
 
天然海水真珠
天然真珠は非常に稀少です。アラビア湾は、天然真珠の最も重要な原産地であり、1950年代まではすべての真珠の70〜80%はここで採取されていました。バーレーン島は北西インドおよび現在の中東との貿易の中心地でした。4000年前に生成された真珠が1989年に発見され、古代バーレーンのディルムン植民地での発掘調査によって、真珠の採取は少なくとも3000年前から続いていることが確認されました。
 
アラビア湾から産出される天然海水真珠は、Pinctada Radiataクロチョウガイから採取されます。ペルシャ湾の真珠は白から濃いクリーム色で、紅海やマナール海峡産の非常に明るい黄色、クリーム色、非常に明るいピンクを特徴とするものと比べると、もっと黄色がかっている傾向があります。また、紅海では強烈なピンク色や明るめから暗めの紫色の範囲の濃い色相を持つ真珠が生成されます。
 
天然海水真珠は、バハカリフォルニア、ベネズエラ、ミャンマー、中国、日本、インド、仏領ポリネシア、オーストラリア、アフリカでも時折発見されることがあります。これらの地域では、養殖真珠産業も発達しています。
 
海水養殖真珠
アコヤ真珠について尋ねると、ほとんどの場合、日本と中国においてPinctada fucatamartensii)(アコヤガイ)で養殖されている、白くて丸い、光沢のある宝石だという答えが返って来るでしょう。ほとんどのアコヤ養殖真珠は、ホワイトまたはクリーム色で、わずかなロゼ(ピンク)やグリーンがあるものも見かけられます。アコヤ貝は比較的小さいので、通常は9mmを超える養殖真珠は生成されません。アコヤガイから生成される天然真珠は非常に稀少です。
 
タヒチ産養殖真珠は1970年代から市場に出回るようになったばかりで、エッグプラント パープル、ピーコック グリーン、メタリック グレー、灰色がかったブルーなどの色があります。これらを生成する母貝(クロチョウガイ)は仏領ポリネシア産であり、この地の他に、クック諸島、フィジー、オーストラリア、ニュージーランドで養殖されています。
 
南洋養殖真珠は、世界最大の真珠貝の一つ(白蝶貝)から採れ、養殖真珠は15mm以上あります。これらは、オーストラリア、ビルマ、フィリピン、インドネシアで養殖されています。南洋の養殖真珠は他の色であることもありますが、シルバー、白および黄色(「ゴールド」とも呼ばれます)が最も一般的です。
 
淡水養殖真珠
中国の真珠養殖業者は、世界中の淡水養殖真珠の圧倒的大多数を生産しています。これらの養殖真珠には幅広い色があり、海水養殖真珠よりも一般的に手頃な価格です。サイズはアコヤ養殖真珠に匹敵し、2mmから13mmほどまでありますが、現在ではより大きなサイズも入手可能です。魅力的な新しい養殖真珠として、ファイヤーボールからスフレにいたるまで、ドラマチックなさまざまな色のものが中国で生産されています。
 
米国で真珠養殖に主に使用される淡水産貝は、「ウォッシュボード」イシガイ(M. nervosa)です。淡水養殖真珠の総数のごく一部のみが米国で生産されています。
 
真珠を選ぶ際に考慮するべき点
ダイヤモンドや宝石に関する世界の第一人者であるGIAは、真珠の品質を評価するために真珠の記述システムを作成しました。GIAの7つ価値要因とは、サイズ、形、色、光沢、表面、真珠層、マッチング(連相)です。これらの要因に関して販売員から必ず説明を受けてください。 
 
サイズ:他の宝石と同じように、通常、より大きい真珠(ミリメートルで測定)は、より貴重とされています。真珠は大きいほど、より稀少で高価になる傾向があります。しかし、上質な真珠が小さく、低品質の真珠が大きいこともあり得るため、最終的な真珠の価値は、価値要因を組み合わせた総合評価によって判断すべきです。
 
形:ラウンドが最もよく知られている形状で​​すが、さまざまな形(ラウンド、ほぼラウンド、楕円形、ボタン、ドロップ、セミ バロック、バロックなど)があります。どの形状においても、左右対称な真珠は、不規則なものよりも価値があります。
 
色:真珠の色とは、主な地色、主色以外の表面の色(オーバートーン)、真珠の光沢内に見える微妙な色、およびオリエントすなわち真珠が動く際に見ることができる「遊色効果」の組み合わせです。養殖真珠は、暖色(黄色、オレンジ、ピンク)から寒色(青、緑色、紫色)に至るまで、微妙に異なるさまざまな色相があります。
 
光沢:真珠の表面または表面のすぐ下からの反射光の強さを示す光沢は、真珠の美しさに大きく貢献しています。その結果、宝石の内面から放たれる輝きが生まれます。優れた光沢のある真珠は明るく輝くのに対し、光沢がないとかすんで見え、価値が大幅に低下します。上質のアコヤ真珠は明るく、鏡のような光沢を示す傾向があります。他の真珠はより柔らかく、サテンのような光沢を特徴とします。
 
表面:表面が完全にきれいな真珠は稀少な宝物です。稀少性は価値に反映されるので、このような真珠の価格は非常に高くなります。表面の特徴(アブレージョン、隆起、欠け、亀裂等)の数、性質、位置が、真珠の価値に影響を与える場合があります。欠けていたり隙間がある場合など、深刻なキズや無数の不均一な部分が表面にあると真珠の耐久性が低くなり、壊れたり表面が剥げる原因となるため、品質と価値がかなり低下します。表面の特徴が軽微で、あまり目立たない真珠のドリル穴の近くに位置している場合、真珠の外観と最終的価値にはあまり影響を与えません。
 
他の価値要因により、真珠の価値に対する表面の特徴の影響を最小限に抑えることができる場合があります。例えば、真珠が大きくて光沢が高い場合、表面にある1つまたは2つのわずかな特徴は問題でなくなることがあります。実際、光沢が優れていると一部の表面の特徴は目立たなくなります。
 
真珠層:真珠層は、まさしく真珠そのものの本質であり、真珠層の厚さは価値に影響を与えます。高品質の養殖真珠は、真珠がその美しさを示すのに十分な厚さを有しています。 
 
マッチング(連相):真珠のネックレスや複数の真珠を使った作品における各真珠の外観の均一性は、マッチングと呼ばれています。
 
真珠のお手入れ方法
ご自分の真珠を手に入れたら、お手入れの方法についていくつか知っておくべきことがあります。
 
真珠の美しさを維持するためには一定量の水分が必要であるため、銀行の貸金庫のような気密性の高い場所や過度に乾燥した環境で保存しないようにしてください。人間の体は、真珠に適切な量の水分を提供します。頻繁に使用してきちんと手入れをすることで、真珠は50年間新品の輝きを保ちます。
 
真珠は宝石の中で最も耐久性がありません。家庭やオフィスで普段身の回りに存在するほとんどの物は真珠よりも硬いため、取扱いに注意しないと、時間の経過ととも真珠を損傷させる可能性があります。化学物質は、真珠にとって最も有害なダメージを与えます。香水、化粧品やヘアスプレーは真珠層を侵食する成分を含有しているため、光沢が永久的に鈍化してしまいます。多くの洗浄・クリーナー剤にはアンモニアや塩素などの化学薬品が含まれており、金合金を腐食し、すぐに真珠を損傷させる可能性があります。塩素を含むプールの水も危険です。家の掃除や庭仕事をする場合は、真珠の宝飾品を着用しないでください。
 
真珠をきれいに保つ最善の方法は、柔らかい湿った布を使い、理想的には着用後毎回手入れすることです。
 
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