2017年香港ショー: 改善する一方、むらのある需要
10月 20, 2017

September 2017 Hong Kong Jewellery & Gem Fair(2017年9月香港ジュエリー&ジェムフェア)では、ルース ダイヤモンドの需要が予想を上回りました。特定のサイズと品質を備えた商品に多くの関心が寄せられ、数多くの商品を取り揃えた大企業が好まれる傾向にありました。ニッチ市場を構成する中小企業は、特定の要求を満たす商品を持っていなかった場合、売上が伸び悩みました。
大きめのサイズ(3カラット以上)で品質が中程度、すなわちカラーがI~Kの範囲、クラリティがSI、カットグレードがエクセレントのダイヤモンドの需要が最大となりました。中国の市場は復活しつつありますが、バイヤーは価格に慎重な態勢を示しており、最も人気のあるカラーの宝石を避けていたと、出展者が述べていました。
研磨された宝石の在庫が依然としてかなり高いため、小売業者は直ちに必要とする商品のみを購入していることが、選り好みをしている理由として考えられます。
大手ダイヤモンド企業の幹部は、「需要は改善しましたが、この需要は現在の在庫を有意義な方法で取引するには十分ではありません」と語っていました。
ダイヤモンド業界に融資している銀行にとって、在庫は引き続き懸念する点となっています。3年前、これらの銀行のほとんどは、外部監査が第三者として在庫の価値を確認する必要があるという要件を制定しました。デビアスおよびその他の生産者は「ダイヤモンドの在庫に関する情報が正確であることを確認するため」に同様の要件を制定した、とこの幹部は述べていました。
ファンシーカラーダイヤモンドは、香港ショーでは依然として欠かせない商品でしたが、価格が高価であるためバイヤーは購入を躊躇していました。過去2年間では、ファンシーピンク、ファンシーブルーおよびファンシーイエローの価格は安定しており、「今すぐ購入するか、それとも後でもっと高い値段で購入するか」という選択に迫られることがなくなった、とディーラーは語っていました。実際のところ、ダイヤモンド製造者からこれらの石を購入する競争は価格と同様に依然として激しいため、ディーラーが価格に影響を与えることはほとんど皆無の状態となっています。

アーガイル ピンク ダイヤモンド
アーガイルは、香港ショーの開催と同時にPeninsula Hotel(ペニンシュラ ホテル)で2017年ピンク ダイヤモンド コレクションを発表しました。このコレクションで注目の的となった商品は、GIAがグレーディングを行った、2.11カラットのファンシーレッド、VS2のダイヤモンドであるArgyle Everglow(アーガイルエバーグロー)でした。この名称は、英国のロックバンド、コールドプレイの歌にちなんで名付けられました。このクッションカットのダイヤモンドは、香港ショーで話題の中心となりました。
展示された58品の宝石コレクションの中で、1.14カラット、ラディアントカット、ファンシーレッドのArgyle Isla(アーガイルイスラ)、2.42カラット、ファンシーパープルピンクのArgyle Avaline(アーガイルアヴァリン)、1.50カラット、楕円形、ファンシーディープピンクのArgyle Kalina(アーガイルカリーナ)、0.91カラット、楕円形、ファンシーディープグレーバイオレットのArgyle Liberte(アーガイル リベルテ)の4品も 注目を浴びていました。
アルロサのダイヤモンド
Alrosa (アルロサ)は、香港ショーで研磨済みダイヤモンドおよび原石の毎年恒例の入札を行いました。この入札で注目の的となった商品は、2年前に発見されたロマノフ朝の179カラットのダイヤモンド原石からカットされた、Dカラー、VVS1の「ダイナスティコレクション」の5つのダイヤモンドでした。その中でも最大のダイヤモンドは51.38カラットのラウンドブリリアントであり、他の4つは16.67カラットのペアシェイプ、5.05カラットの楕円形、1.73カラットのペアシェイプ、1.39カラットの楕円形のダイヤモンドでした。
アルロサの営業副部長、Evgeniy Tsybukovは、この原石はほぼ楕円形でしたが、フェザーがあったため研磨後にクラリティ(透明度)がSIになったと説明しました。
「100カラットの楕円形のダイヤモンドにするべきかどうか検討し、6ヶ月もこのダイヤモンドを検査しました」と彼は述べました。「その後、複数のダイヤモンド作ることに決めたのです。」
ダイナスティコレクションのダイヤモンドは、10月のオンライン入札を通じて販売されます。
合成ダイヤモンド
合成ダイヤモンドの販売店は香港ショーでいくつか見かけられましたが、Asia World Expo(アジアワールドエキスポ)のダイヤモンドホールの入り口にあった看板には、この展示会に出展している1,000以上ものダイヤモンド業者は天然ダイヤモンドのみ販売すると宣誓した旨が書かれていました。したがって、合成ダイヤモンドを販売している企業は、ダイヤモンドホールの向かいにあるカラーストーンを販売する場所で販売しました。

カラー宝石
中国市場は高級品の需要が減少しており困難な状況が続いているため、カラーストーン、真珠、宝飾品の需要が2年連続で低迷している、と出展者は説明しました。
ディーラーは、高品質で未処理のルビー、サファイア、エメラルドの売上は昨年よりも好調であったものの、3年前のレベルには程遠いと報告しています。高品質のジェードの需要は、価格が引き続き高いにもかかわらず、昨年と比べて上昇しました。
処理済みの石の需要は非常に低迷しており、ガラス充填処理されたルビーや拡散処理されたサファイアなど、かなりの処理が施された低価格の商品においては需要が著しく減少していた、と報告されています。
この香港ショーでは、明白な緑がかった素材のものを除き、パライバタイプのトルマリンが、ほとんどの場合高い価格で、前年よりも数多く提供されていました。それとは対照的に、前回のショーでは非常に多く展示されていたタンザナイトは不足していました。
Hong Kong Convention Centre(香港コンベンションセンター)で開催されたこの香港ショーの宝飾品部門は昨年よりもはるかに混雑していましたが、売上げは高級品に集中していました。より商業向けの製品を販売していた出展者は、慎重かつ限定された注文が置かれる傾向にあり、在庫を人気のある商品で満たしていたと語っていました。
Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。