業界分析

2018年:巨大ダイヤモンドに恵まれた年


A large piece of rough diamond sits on some rocks.
Lucara Diamond(ルカラ・ダイヤモンド社)のKerowe(カロウェ)鉱山より産出された472カラットのダイヤモンドは、今年この鉱山で発見された中で最大のものである。カロウェ鉱山では、これまで100カラット以上のダイヤモンドが5つ発見された。写真提供:Lucara Diamond Corp.(ルカラ・ダイヤモンド社)

今年は非常に大きいダイヤモンドに恵まれた年となっています。

大きなダイヤモンドの採鉱に注力する3社の鉱山会社が、今年の第1四半期に巨大なダイヤモンドをいくつか発見し、供給不足への懸念が和らぎました。

Gem Diamonds(ジェム・ダイヤモンズ)は、2017年に採鉱した100カラット以上のダイヤモンドは合計8つのみでしたが、2018年1月だけで同等の重量のダイヤモンドを5つも採鉱しました。そのうちの一つは、910カラット(ct)のLetseng Legend(レツェング・レジェンド。レソトにある同社の鉱山にちなんで命名)であり、特別なオークションで4000万ドル(約42.4億円)で落札されました。その後、同社は3月に152ctのダイヤモンドを採鉱しました。

ボツワナにあるKerowe(カロウェ)鉱山を運営するLucara Diamond Corp.(ルカラ・ダイヤモンド社)は、第1四半期に100ct以上のダイヤモンドを5つ発見しました。さらに、同社は、2年前に1100ctのLesedi la Rona(レセディ・ラ・ロナ)ダイヤモンドを発見した鉱山の同じ場所で472ctのダイヤモンドを発見したと4月に発表しました。472ctのダイヤモンドは、この鉱山から産出された3番目に大きいダイヤモンドとなります。ルカラ社の幹部は、その色を「トップライトブラウン」と説明しており、色がMからOのダイヤモンドに研磨されると予測されています。

このダイヤモンドが発見された直後、ルカラ社は100ct以上のダイヤモンドを新たに3つ採鉱しました。このうちの一つは、GIAのカラースケールでD-E-Fのカラーグレードである「良いカラー」の石として記述される 327ctの原石です。同社は6月に行われる特別入札オークションで両方のダイヤモンドを販売する予定です。

カロウェ鉱山の産出量は、昨年27%減少しました。これは、同社で生産上の問題が発生し、非常に大きなダイヤモンドのほとんどが発見される鉱山で土壌が最も豊かな地域から同社が事業を移転せざるを得なくなったためです。

オーストラリアに拠点を置く鉱山の運営会社、Lucapa Diamond Company(ルカパ・ダイヤモンド社)は、4月にアンゴラのLuo(ルオ)鉱山より46ctのファンシーピンクダイヤモンドの原石が発掘されたと報告しました。主要なダイヤモンドに注力する小さな鉱山の一つである(年間産出量100万カラット以下)ルオ鉱山は、404カラットもある大きいダイヤモンドを産出しました。46ctのダイヤモンドは、4年前に操業が開始されて以来、この鉱山で産出されたうち最大のファンシーカラーダイヤモンドです。

A large pear shaped diamond sits on a silver plaque with French words.
The mysterious 6.16 Fancy Dark gray-blue Farnese Blue diamond was kept in a small wooden box away from the public eye for more than two centuries. The French script on the silver plaque on the box reads: “Remarkable blue brilliant. This historical stone was offered by the Philippine Islands to Elisabeth Farnese, Queen of Spain, wife of Philippe V, great-grandfather of the Comte of Villafranca, current owner of that stone.” Photo courtesy of Sotheby's.

オークション

5月15日にジュネーブで行われたサザビーズのオークションでは、かつて王室に所有されていた由緒ある6.16ctのペアシェイプのFarnese Diamond(ファルネーゼ・ダイヤモンド)が、最高推定価格500万ドル(約5.5億円)をはるかに上回る670万ドル(約7.4億円)で落札されました。GIAがファンシーダークグレーイッシュブルーとグレーディングしたこのダイヤモンドは、1714年にスペイン国王のフィリペ5世が結婚の記念として王妃エリザベッタ・ファルネーゼに贈呈したものでした。彼女が亡くなった後、このダイヤモンドはイタリアとオーストリアの様々な王族の手を渡り歩き、ほとんどの間、小さな木箱に隠されたままとなっていました。

同じオークションで、GIAがグレーディングした51.71ctのカラーグレード DのFl タイプ IIaのダイヤモンドが924万ドル(約10.2億円)および14.01ctのカシミール産サファイアが180万ドル(約2億円)で落札されました。また、9.7ctのファンシーライトパープルピンクダイヤモンドは、最高推定価格672,000ドル(約7400万円)をはるかに上回る260万ドル(約2.9億円)で落札されました。

ラスベガス

宝飾業界は、ラスベガスで近日開催されるJCKショーでダイヤモンドおよびカラー宝石の需要が伸びることを期待しています。小売業における需要は米国で堅調に推移しており、中国では再び上昇しています。

米国のConference Board(コンファレンスボード)は、4月の消費者信頼感指数が上昇したと報告しました。

「消費者はビジネスと労働市場の条件をかなり好意的に評価しており、消費者の現状評価は幾分改善しました」と、コンファレンスボードで経済指標ディレクターを務めるLynn Franco氏が述べました。「消費者の短期間に対する見通しも改善しており、所得が今後数ヶ月間で減少することを予測している消費者の割合は、2000年12月(6%)以来、最低レベルに達しています。全体的に、信頼感は依然として堅調であり、今後数カ月で経済が堅調なペースで成長していくことを示しています。」

中国では、第1四半期のジュエリーと時計の売上高は、本土で8%および香港で22%上昇したと、中国と香港の統計局が報告しました。四半期末の売上高は、両地域で特に好調でした。

Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。