GIA、犯罪捜査官らに宝石の世界を伝える

盗品回収に向け着目すべき点を知るために、法執行機関がGIAを頼りにする時、この使命が互いに交差します。 ここ数年、数十名の犯罪捜査官が、カールスバッドのGIA本部で開催される宝石学に関する2週間の短期集中コースに参加しているのです。
ブラジル、コロンビア、ベルギー、インド、タイ、英国、アラブ首長国連邦などの捜査官らが、ニューヨーク、ロサンゼルスの警察署職員と、ニューヨーク、ロサンゼルス、マイアミ、ワシントンD.C.のFBIの特殊エージェントと共に集まりました。
ベルギー連邦警察の刑事Patrick Peys(パトリック・ペイズ)氏は、そこで得た宝石学の知識は貴重だと言います。
「現場の警察官であることと、捜査している品に関して知識を持っていることには大きな違いがあります。 宝石学の基本的な情報を持っていれば、通常では得られない利点があるかもしれません。」
捜査官は宝石のツール(ルーペ、ピンセット、顕微鏡)を使用する方法など、広範な宝石のトピックについて学びます。ダイヤモンドの4Cやクラリティ、カットとカラーに関し注目すべき点、合成石、模造品、カラー処理、ダイヤモンド業界とキンバリープロセス、カラーストーンのフィールド鑑別、およびGIAグレーディングレポートの読み方などです。
「FBIでは、高度な技術研修を受けることはあまりありません。」とニューヨーク現地事務所のダニエル・マキャフリー氏は語ります。 「現場でダイヤモンドの鑑別のために毎日呼ばれることはありませんが、その基本的なノウハウと、ノウハウを我々が知っているという印象を業界の人間に伝えることで、より多くの情報を引き出すことが可能になります。」
GIAと国内の捜査官、特にマキャフリー氏には、宝石の犯罪を解決するために協力してきた長い歴史がある、とニューヨークGIAラボの記録関連コーディネーターであるIvy Cutler(アイビー・カトラー)は述べています。
「宝石は最も濃縮された富の形の一つであり、ダイヤモンドは非常に速く移動します。」とカトラーは言います。 「盗まれたダイヤモンドが、GIAに流れてくる頻度は驚くほど高いです。 犯罪のコミュニティはつながりが強く、犯罪者らは非常に賢いのです。 多くの情報がそういった犯罪ネットワークを通過しており、業界では、盗品を扱っているかもしれないという事実がほとんど認識されていません。」
彼女は、グレーディングレポートと刻印文字の情報は、将来的な参考情報としてGIAのデータベースに保管されるため、宝石を保護する最も効果的な手段の1つであると言います。実際それらの情報が、捜査官にとって非常に有用であることが明らかになっています。 GIAは、1980年代にデータベースを作成して以来、内容を追加してきました。
「GIAとの関係を持ち、出発点を持てることは非常に重要です。」とマキャフリー氏は言います。 「その甲斐あって、文字通り何百万もの宝石が回収されています。」
また、GIAとの関係と宝石学を学んだこと以上に、人との出会いは、2週間セミナーの最大の成果の1つだった、と全ての捜査官が合意しました。
「ダイヤモンドと宝石の犯罪者は、常に国際的に活動します。」とペイズ氏は言います。 「彼らを捕まえるためには、我々も同じように国際的規模で犯罪者を追う必要があります。 「マニュアル」通りに公式な方法でやるのでは、時間がかかり過ぎるのです。 今後有益な情報を得るために、コースに参加して出会った人達に連絡できるので、彼らの存在はコースの内容と同様に重要になると思います。 このネットワークを国際的に構築できれば、素晴らしい仕事をしているということになります。」
「私はダイヤモンドの捜査に深く関与していますが、私の知る限り、GIAは、実際に捜査官らをまとめ、教育し、ネットワークを機能させるために活動している唯一の組織です。 それは、非常に先見の明がある行為だと思います。」とも、ペイズ氏は述べています。
GIAのセキュリティ担当ディレクターであるLarry Wright(ラリー・ライト)は、現実に動きの速い宝石犯罪を解決するためには、GIAと国際的な法執行機関の協力が不可欠であると考えています。
「新しい時代です。 私達は市民を利用する犯罪者と戦うために、国境や大陸を越えてコミュニケーションを取り合い、調整を行っていく必要があります。」