受賞デザイナー、「産業の最先端」を目指す
10月 3, 2014

子供の頃 Stewartは、家族の故郷であるアリゾナ州ツーソンにて、公園やレクレーション広場などで母親が指導する、ジュエリーデザイン教室に付いて行きました。 十代になると、母親とショーの場で一緒に働くことを余儀なくされ、「しぶしぶ」それに従っていました。
「確かに私は自由奔放なティーンエイジャーでいることに憧れを抱いていたし、当時は野球のマイナーリーグに入団することの方にもっと興味がありました。」と当時を振り返り笑います。
オールスターへの夢を抱きつつも、当時16歳の若さでベンチスキルを磨いていたStewartは、自らデザインした作品を売ることに成功したのです。
「自分が心血注いで作り上げた作品に、お金を払ってくれる人がいるという事実を前に、ただ感嘆するしかありませんでした。」とStewartは当時を振り返ります。 「まさに、病みつきになってしまったのです。」
彼のプロとして目指す道が180度変わった時でした。 ジュエラーの母と建築家の父という両親に後押しされながら、高校の最終学年にいた彼はベンチワークと小売りのスキルとノウハウを極め、宝石学を学ぶことを決意しました。
Stewartは宝石販売カウンターで勤務する傍ら、ツーソンでGIAの通信教育課程で学び始め、その後同じ道を志すプロ仲間たちに囲まれる環境と宝石業界の文化に「浸る」ため、カールズバッド校に移りました。
そして2003年、グラジュエイトジェモロジスト(GG) ディプロマを取得し、ドイツ人デザイナーのNeissingと共に販売員の地位を築き上げていました。 やがてStewartは、Phenix's Molina Fine Jewelryにてベンチ作業のポジションを得るも、余暇を利用しながらカスタムデザインにこつこつ励みました。
彼は2005年の小売りショーにて、Erik Stewart Jewelry Art for the Body Collection(Erik Stewart 身に付けるジュエリーアートコレクション)と銘打った独自のラインを立ち上げた。
Stewart 曰く、彼の「建築色の強い」スタイルは確かに時に連れて進化を遂げながらも、駆け出しの頃の経験に「深く根ざした」ままであると言います。 「Neissingに代表されるドイツ人デザイナーたちのような、ミニマリストの現代的でかつコンセプトをベースにしたアプローチにも惹かれるし、また Molinaの高級ジュエリーに見るような、ごく細部にまで目が行き届く細心さと精緻さには圧巻されます。」と彼は述べます。
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「小さく精密なサーペンティン(蛇紋岩)」付のエリザベスカラーが、Stewart(スチュアート)によるパラジウム「エリザベス」リングにて特集され、またアリゾナのトルコ石と0.75総カラットのカラーダイヤモンドも注目を集めていました。 「複雑なリングを扱う際のStewart の完璧な業が評価」され、そのリングが2013年度のSolidscape’s BaselWorld Design Competition(ソリッドスケープ・バッセル・ワールド・デザインコンテスト)で銀賞に輝きました。 写真提供:Erik Stewart
2012年に卸売市場に参入して以降、ツーソンを拠点としながら活動するデザイナーであり、GIAで磨き上げた技術を毎日駆使しながら作業に精を出しています。「私はコンセプトデザインに仕事の軸足を置いているため、原石を採掘することは副次的なことです。しかし、色とウェアビリティにはこだわります。」とStewartは語ります。 色、硬質、ウェアビリティ、詳しい応用方法に精通していることもあり、彼はダイヤモンドや宝石の中から、スペックだけを頼りに遠隔から選択肢を選り分け、彼のデザインに最も適した石を選び出すことができます。 またCADの訓練を受けていることから、「より精密で鮮明なラインを刻む」能力も保証されています。
「GIAは私に自信を持つために必要な知識を与えてくれました。自信を持ってそう言えるでしょう。」と語ります。
GIA George A. Schuetz デザイン コンテスト、the Johnson Mattheyニューヨーク サステイナブル デザイン アワード、そして プラチナム イノベーション アワードなど、数々の受賞歴を誇るStewartは、キャンパスにいる間に「サポートのネットワークを構築」して、使える資源を全て活用するように学生にメッセージを送りました。
「私はデザインコンテストやキャリアフェアをフルに活用し、また何よりも頻繁に図書館を利用して、奥の部屋で珍しい本に読みふけっていました。」 「そしてGIAの9か月間で築いた友人やプロの方々との人脈から、想像だにしなかった道が切り拓かれ、今も前途に伸び続けています。」
アリゾナで妻のSaraと、二人の間に生まれた新生児のHudsonと暮らすStewartは、デザイナーとして自分を他と差別化する方法に関心を注ぎ、それに対して誠実であり続けると断言します。
「こういう観点を持つのは僕だけかも知れない。常に成功するとは限らないし、少なくともすぐには結果が出ないからね」と言います。 さらに、「しかし、私が懸命に得ようともがく、業界最先端という立場に留まるにはこのスタンスは崩せない。」と臆面なく語ります。
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左側のショーケースには、1.36総カラットのサファイアと1.35総カラットのダイヤモンド入りの受賞プラチナリングが飾られています。指輪にはStewartの彫刻が入り、エリザベスカラー、つまり「ラフ」への敬意が込められています。このリングは2011年のNicheアワードのファインジュエリー部門で賞を獲得し、さらに2012年にはJCK プラチナイノベーションアワードのプラチナレッドカーペットジュエリー部門(購入者による投票)でも栄光に輝いています。 左側のパラジウム「フェニックス」カフスボタンは、パパラチャサファイアを嵌め込んだ、Ⅰ8Kイエローゴールド・アクセントの950パラジウムからなっています。 このカフスボタンはマッチングリングと共に、GIAのGeorge A. Schuetzジュエリーデザインコンテストで優勝を飾りました。 写真提供:Erik Stewart
著者について
執筆者の一人Jaime Kautskyは、GIA Diamonds卒業生およびGIA Accredited Jewelry Professional(AJP アクレディテッドジュエリープロフェッショナル)で、The Loupe(ルーペ)誌の副編集長を数年務めていました。