書籍 –『 Rings: Jewelry of Power, Love and Loyalty(リング:ジュエリーのパワー、愛、忠誠)』
6月 6, 2014

元は2007年にハードカバーとして出版された本『 Rings: Jewelry of Power, Love and Loyalty(リング:ジュエリーのパワー、愛、忠誠)』は本当にお勧めしたい一冊です。 写真、綿密な調査、読みやすさ、どれを取っても素晴らしく、高品質のペーパーバックとして製本されており、ページは縫い付け、二重の折り込みカバーが付いています。 34.95ドル(3,565円)で、こんな素晴らしい宝物を所有することができるのです。
おそらく、この本の私のお気に入りは、話題の内容にまつわる写真が複数掲載されていることでしょう。 指輪上部の写真が掲載されているのを見て、側面のディテールはどんな風なのだろうと思ったことが多くありませんか?または、なかなかの斜視図が載っていても、本文で説明されている指輪内側の彫刻については視覚的に示されていない、といったことはなかったでしょうか? クリエィティブなアングルの写真を掲載している Scarisbrickとその写真家に賛辞を送ります。 何という贅沢でしょう。
この本では、Benjamin Zucker一族のコレクションに加え、ボルチモアのウォルターズ美術館、ボストン美術館、コペンハーゲンのローゼンボー城、ロンドンのフロイト博物館、カルティエコレクション、多数の私有コレクションに焦点が当てられています。
そして、本書の情報構成が素晴らしいのです。 テーマ別の8つ章で構成されていますが、各章で古代から現在へと年代順に内容を追っていきます。 この構成により、特定の種類の指輪の進化や、アート、ファッション、政治、社会規範の影響について知ることができます。 第一章のシグネットにまつわる50ページをはじめ、すべての章で、指輪の分類を関連付け、特徴付ける洞察力に富んだ方法で提供されています。
残りの章では、「愛、結婚、そして友情の指輪」 、「著名人と重大な出来事に関連した指輪」、「装飾指輪」などと、社会学的下位区分のような分類で膨大な数の指輪作品を解析しています。 私は、比較的小さなアイテムである指輪が、いかに数多くの異なる時代への洞察を与え、異なるタイプの指輪の人気がいかに増減するのかを知り、非常に興味を覚えました。
各章に記載されている情報の深さに加え、様々な時代のデッサンや絵が使用されています。 堅苦しくない程度に学術的な補助的文書により、指輪の背後に横たわる人間性が具体化され、人々やその時代に関する洞察が加えられています。 同様に印象的なのは、大多数が匿名で登場する多くのジュエリーメーカーの技術習得です。 単独の製作によるものから、デザイナー、金細工師、宝石細工師、石のセット職人、エナメル職人、研磨職人の協力による作品を数多く見ることができます。 永続的に長く着けられる芸術作品、長年にわたって人気の指輪が製作されるために、すべてが一体となるのです。
書評者について
Doug Hallは、カリフォルニア州カールスバッドのGIAでジュエリーアーツ講師を務めている。