デザイナーの「複雑で風変わりな」作品、ハリウッドとワシントンD.C.で注目の的となる
1月 26, 2018
2015年以来、Christina Fandinoのキャリアは、まさに旋風のごとく急速に展開しました。
この短い期間に、Christina Graceとしても知られているロサンゼルス出身であるデザイナーは、人生を変えることとなった奨学金を獲得、米大統領選中に話題を集めたネックレスをデザイン、全国的に話題となった会社を設立、そしてハリウッドの著名人の間で人気を博すようになりました。
GIAでグラジュエイト ジュエラー(GJ)となったFandinoは、駆動するリングパームブレスレット「蜘蛛と卵」をデザインし、Metal Arts Society of California(カリフォルニア州金属芸術協会)の2017年度ジュエリー大会で第1位に輝くなど、数多くの賞も受賞しました。
彼女の芸術美は「多様性に富んでおり、風変わり」であると説明し、この作品について「蜘蛛の体は360度回転し、脚は球関節で動き、卵が蜘蛛の巣のなかでゆっくりと回ります」と語ります。Fandinoが塗装も手掛けたこの作品は、最近、Boone Art Gallery(ブーンアートギャラリー)の年次展示審査会の最終選考に選ばれ、2018年1月までパサデナのギャラリーで展示されていました。
Fandinoの美術でのキャリアは、ほんの数年前まで絵画や演技に焦点を当てていました。彼女の家族は、1980年代半ばにフィリピンのマニラから米国に移住し、サンディエゴの北海岸の都市、オーシャンサイドに住んでいました。Fandinoは、自分のことを「最初から」アーティストとして認識しており、若い頃からコンテストに参加していました。
彼女は成長するにつれて、絵画を販売し続けていましたが、数年間女優の道を選び、テレビ番組や自主制作映画、そしてAnne HathawayとJake Gyllenhaal主演の『Love and Other Drugs(ラブ & ドラッグ)』などの有名な映画にも出演しました。宝石について一般の人々よりも知識が豊富で、子どもの頃には石を集めて楽しんでいましたが、当時、彼女にとってジュエリーが職業やクリエイティブなアイデアを表現する手段ではなかったのです。
私の家族はジュエリーとは無関係でしたが、私の母はジュエリーにとりこになっていました、と彼女は述べます。母の影響があって私はジュエリーについて多くのことを学びました。9歳までに、私はすでに4Cが何であるかを知っていたし、ダイヤモンドカットチェーンはどういうものかというのも知っていました。'carat' と 'karat'の違いを知っている自分を誇りに思っていて、金属が大好きで、結晶や石を必死になって集めていました、と続けました。
若い頃からGIAについてはよく聞いていました。GIAはジュエリーに関する研修を受けるところだとは聞いていましたが、後に私の人生にいかに影響を与えるかは全く知る余地もありませんでした、と彼女は語ります。
2011年、ある宝石・宝飾品店のオーナーに「出会う機会」があり、ワイヤラッピング技術を教えてもらったときに運命が変わりました。
そのときにジュエリーを作ることがすごく大好きになったのです、とFandinoは語ります。ジュエリーを作ることが好きになったら、GIAに行くべきだというのは知っていました、と続けました。
彼女はついに2015年にGIAへ出願することができるようになり、奨学金が授与されることがわかりました。
不可能だと思っていたことが叶ったのです! GIAからいただいたた奨学金のおかげで、昔から一目置いていたGIAで勉強する機会ができて、躊躇せずにこの新しいキャリアへ進む自信ができたのです。本当に光栄でした、と彼女は説明します。
自称「完璧主義者」であるFandinoは、カールスバッドで勉強していたとき、可能な限りすべてのことを吸収しようとしたと言います。
学ばなくてはいけないことが多すぎるような気がしました、と彼女は語ります。彼女は、講師と話したり、Richard T. Liddicoat Gemological Library and Information Center(Richard T. Liddicoat宝石学図書館と情報センター)の司書から提案を得たり、キャリアサービスのリソースを利用するなど、非常に多くの時間を勉学に費やしました。
すでに忙しい日々を送っていましたが、Fandinoは、パートナーであるCedric Jonathan(現在、営業およびマーケティング担当)とともに美術制作会社、TIN HAUSを設立しました。
私たちは、たった1つの目標を達成するために精一杯頑張りました。その目標とは、授かった資質や才能を使って、変化をもたらすことです。この会社を通じて、私たちが関心を持っていたり、深く情熱を抱いている慈善活動や非営利団体に利益の一部を寄付しています、と彼女は説明します。
2016年のアメリカ大統領選の候補だったBernie Sanders氏の選挙活動がその一例です。当時GIAの学生であったFandinoは、Sanders氏のシンボルであった髪型、メガネ、シルエットを特徴としたぺンダントをデザインし、手作りで完成させました。この「The Bern Necklace(ザ・バーン・ネックレス)」がSanders氏の妻、Janeの目に留まり、Fandinoが製作に追いつけないほど瞬く間に注文がTIN HAUSに殺到しました。
GIAを卒業した後、Fandinoはロサンゼルスに戻り、ビバリーヒルズにある企業でマスタージュエラー兼デザインコンサルタントとして働きましたが、自分の作品は完全に自分だけのものにしたいと思うようになりました。
学校でするように私の作品を展開させたりすることや、TIN HAUSの事業を拡大することに、私が持っている素晴らしい芸術的なエネルギーすべてを注ぎたかったのです、とCalifornia State University(カリフォルニア州立大学)で金属美術の学士号を取得中のFandinoは説明します。GIAのグラジュエイト ジュエラー(GJ)プログラムで受けた集中的な研修のおかげで、私は怒涛の日々をクリエイティブに、そしてプロのように体験しました、と続けました。
それ以降も、Fandinoの作品に対していくつかの奨学金を受け、「The Bern Necklace」で勝ち取ったプロとしての勢いは衰えることがありません。
彼女のデザインは、雑誌『Maxim(マキシム)』と『Flaunt(フラウント)』で紹介されました。また、青少年の末期患者が映画制作の夢を実現するのを支援する非営利団体、Make a Film Foundation(MAFF)の公式ジュエラーになることをFandinoが依頼されたとき、彼女の女優業とジュエリーの世界が結び付きました。最近、16歳のがん患者がJohnny Depp、Laura Dern、David Lynch、J.K. Simmons主演の映画を監督するのをMAFFが支援したとき、Fandinoは、監督のCatherine Hardwicke、Sam RaimiやTheodore Melfiなど、キャストやスタッフのために純銀製のペンダントを制作しました。このペンダントは、時間と才能を割いてくれたことへ感謝を込めたお礼の品として使われたのです。
「I AM」という名称のこのペンダントは、2018年後半にTIN HAUSより発売される初のフルラインの大きなコレクションの第一弾となる予定です。
制作するプロセスが、私の意欲を奮い立たせるのです。私は、複雑で風変わりな考えを持ったアーティストで、他の人が何をしているかは見ません。他の人がすることを気にしていたら、何もできなくなって、私の作品はあちこちで見れる他の作品と同じに見えるでしょう。概念やアイデアは、もっと深い所から生まれるべきです。作品とは最初に心から生まれ、後に努力の成果が必ず実ると私は信じています、と彼女は述べます。
寄稿者Jaime KautskyはGIAダイヤモンドグラジュエイト、またGIA Accredited Jewelry Professional(AJP アクレディテッドジュエリープロフェッショナル)で、The Loupe(ザ・ルーペ)誌の共同編集者を務めていました。