CVD成長法による合成ダイヤモンド、パート2: 特性
6月 19, 2013
CVD合成ダイヤモンドの物理的特性は、硬度、熱伝導率、強度などの点で天然ダイヤモンドの範囲に収まります。 従って、CVD合成石は天然ダイヤモンドと同様の硬度と耐久性があり、宝石としてカットした場合には同様のブリリアンスとファイアーを示します。 光学的特性は、不純物をコントロールしながら加えることで、幅広く変化させることができます。 例えば、成長チャンバー内の気体の残留窒素レベルを制御することにより、結晶を無色からほぼ無色にすることができます。 ブルーダイヤモンドは、気体にホウ素を加えることにより生成され、ピンク、イエロー、又は他の色のものは、高い窒素濃度を含む気体の混合物を用いて生成することができます。 CVDダイヤモンドの生成における特別な利点の1つは、成長バッチ内のすべての結晶が同じカラーとクラリティを有するので、グレーディングやマッチングが容易になります。 さらに、何回でも正確にその色を繰り返し生成することが可能であるため、再現可能なカラー、クラリティ、サイズ、および宝石業界のための高品質な合成ダイヤモンドの継続的な供給を確実にします。 また、サイズや純度をコントロールできるので、光学、医療機器、電子機器、そしてまだ確認されていない用途における新たな分野において、天然ダイヤモンドで可能なこと以上に、合成ダイヤモンドの使用が広がるでしょう。
その他の特性
天然のダイヤモンドのうちタイプIIaはわずか2%はですが、無色およびほぼ無色のCVD合成ダイヤモンドは、通常、タイプIIaです。 タイプIIaダイヤモンドは、高純度(低窒素)で、紫外線および赤外線光スペクトルの特定の部分における透明性を特徴とします。 市場で流通している多数のUV検出器具は、CVD合成石の可能性について最初の示唆を与えることができます。 サンプルがCVD成長法によるものか天然であるか確認するためには、明らかに追加のテストが必要とされます。 その宝石がタイプIIaでない場合は、それはほぼ確実に天然のものです。 タイプIIaでない合成ダイヤモンドや、ブルー、ピンク、イエロー、およびその他の色の特性に関しては、今後の記事でさらに議論されます。
ダイヤモンド取引において、また消費者の間でよく挙げられる質問は、CVD合成石が最終的にとても安価で製造されると、天然ダイヤモンドの価値が危ぶまれるようになるか、ということです。 その質問への答えは、ノーです。 規模が拡大しと製造の経験を積んでCVD成長法がより効率的になる一方、いくつかの要因は、時間の経過およびインフレとともにより高価になるのみです。 まず、CVD生成石をカットし研磨するコストは、本質的に、天然ダイヤモンドと同様であり、美しい作品を作成するためには、高度に熟練した職人が依然として必要とされます。 第二の要因は、1カラットのダイヤモンドを生成するのに必要な電気は、種結晶の数やチャンバーの大きさにあまり対応しないということです。 電気は主要なコストであり、将来的には上昇し続けると予想されており、電気に関してはコスト削減の余地がほとんどありません。 第三のコストは、種結晶を生産するコストです。 これはかなりの金額のコストであり、ダイヤモンド種結晶に代わる安価な代替品が発見される可能性は低いと考えられます。
ダイヤモンド業界での誠実さと価格設定に対するさらに絶えない脅威として、キュービックジルコニアやその他の模造素材を「合成ダイヤモンド」として虚偽表示することが挙げられます。これらの模造品には十分なテストがありますが、ウェブで購入する場合はすぐには利用できません。
結論
CVD合成石は、高いクラリティで、さまざまなカラーやサイズのものを生成することができます。 生成された宝石は、天然ダイヤモンドのように美しく、耐久性があり、近い将来、重要な市場のニッチに対応することが期待されています。 GIAにはCVD合成石を検出しグレーディングする能力があり、バイヤーとダイヤモンド業界の誠実性を守り続けるということに注目するのが重要です。
このシリーズの次回の記事では、CVD合成ダイヤモンドの検出について説明します。
著者について
Dr. Robert Linaresは、コンサルティング会社Integrated Diamond Technologies, LLCのオーナーです。 結晶成長技術の専門家であり、最初の宝石品質のCVD合成ダイヤモンドのいくつかを生成したApollo Diamond Inc.(アポロダイヤモンド社)の共同創設者でした。 Dr. Linaresは、ダイヤモンドを使った量子コンピュータやその応用についてのブレークスルーとなる研究に対して海軍省の2002年度Berman Award(バーマン賞)を受賞しました。