ブックレビュー

書籍:『Fashion Jewellery:
イタリア製


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Deanna Farneti Cera(ディアナ・ファルネーティ・セラ)著、392頁、ハードカバー、イラスト、出版元: Antique Collectors Club(アンティークコレクターズクラブ)、ウッドブリッジ、イギリス、2013年。 85.00ドル(8500円)
この分厚い書籍の口絵、イタリアの形をした1970年代初頭のGianfranco Ferré(ジャンフランコ・フェレ)による手作りのシルバー製のブローチのほぼ30センチの画像は、読者の興味をかきたてるでしょう。

国際宝石展示や旧ボローニャ市立近代美術館の学芸員である、Deanna Farneti Cera(ディアナ・ファルネーティ・セラ)によって書かれたこの本は、伝統的なルーツから最も騒々しいキャットウォークに至るまでのイタリアのファッションジュエリーの興隆を記録したものです。  

戦争、ファシスト政権、および経済的困難の年代が災いして、20世紀の前半のイタリアのファッション宝飾品には、芸術的な足跡を残す余地はありませんでした。 それにもかかわらず、世紀の前半のEdoardo Saronni(エドアルド・サロニ)による作品は、後にイタリアの職人や芸術家の作品を記録する精巧さと職人技を表しています。 第二次世界大戦後、Giuliano Fratti(ジュリアーノ・フラッティ)は、ファシズム体制下で許可されたラフィア、木、果実、ナットなどの材料を使用して名声を得ました。

ファッショニスタの間でのフランスびいきの蔓延にもかかわらず、イタリアのファッションジュエリーは、産業ブルジョアジーの台頭と、ミラノ、フィレンツェ、ローマにおける組織的コンソーシアムの誕生で、1950年代に本格的に飛躍しました。 演劇、オペラ、および高級宝飾品のルーツを超えて、イタリアのデザイナーはミッドセンチュリーのトレンドを受け入れだけでなく、落ち着いた2次元のデザインから離れ大胆な、独創的なデザインで確実に前進しました。

Valentino(ヴァレンティーノ)のためのUgo Correaniのデザインや、非貴金属の宝飾品でキャリアを開始したGianfranco Ferré(ジャンフランコ・フェレ)の建築アクセサリーで示されるように、1970年代までに、「イタリア製」は必要なファッションステートメントになっていました。 Farneti Cera(ファルネーティ・セラ)は、ひどく派手なオーバーザトップの80年代、90年代のカラフルなスーパーモデルの年代を経て、ミレニアムのロックにインスピレーションを得たキャットウォークやファッションショーの出来事を視覚的に美しく語り続けます。 

著者は、各時代ごとに数ページの紹介文を提供し、それに作品それ自体やファッションモデルが着用した作品などの魅惑的な画像が続きます。 作品にいくつかは、広告に使われたか、当事の雑誌の表紙に掲載されたものです。 いくつかのスケッチ、個人のコレクションからの画像、ファッションハウスアーカイブからの写真が、この本ののカラフルで目を見張るような魅力を完璧なものにしています。

文面は、その期間の基調を設定する手助けをした多くの文化的、歴史的な試金石を挙げています。それによって、これらの傾向から派生した芸術的な表現を説明するのに役立っています。 アメリカの読者は1970年代と1980年代にイタリアで間近に迫ったテロの恐怖を認識していないことがあります。 これらの推移が、美しさと芸術に焦点を当てた本を読むことを困難にしますが、そのような事件が、これらの懸念がいったん払いのけられると出現した、Moschino(モスキーノ)に代表される真鍮製のファッションフリンジを形作る手助けをしたと言えます。

本の終わりの方で、Farneti Cera(ファルネーティ・セラ)はそれ以前のページを飾った作品の宝飾品の製造者のプロフィールに17ページを割いています。 これらの個人やハウスはアルファベット順に提示されています。本が年代に焦点を当てていることを考えると、アルファベット順は変だと思う読者もいるかもしれません。 語り口は、時々、このような人を引き付ける主題を提示する流れを欠いています。  読者は、本の最後の方にある製造者のプロフィールのページに到達するまで待つのではなく、作品の画像を見ながらプロフィールを参照する方が、本の時折不可解で大げさな文章間をナビゲートする上で簡単なことがあります。

本は「彼らは有名になるでしょうか」という2つのセクションで締めくくらています。1つのセクションでは、新進気鋭の芸術家の作品を取り上げ、もう1つのセクションでは彼らの経歴から構成されています。 著者は、これらのページを使って、職人/芸術家の協力により意欲的な才能が芸術のビジネス面に関連する困難のいくつかを克服できるという推論の提案と共に、これらの将来の芸術家に対する希望リストを表現しています。 Farneti Cera(ファルネーティ・セラ)も装飾の豊かな歴史について一般大衆を従事させて教育するのに役立つイタリアの宝石のギャラリーや美術館の不足を嘆いています。 

典型的なイタリアンスタイルのこの貴重な発見をつなぎ合わせて、この本は、伝統的に高級宝飾品に関連しているものを超えて、宝飾品作りの魅力と芸術性を理解することを読者にとって身近なものにします。 ここでは、ファッション宝飾品は、コンテキスト芸術として君臨しています。 宝飾品デザイナー、イラストレーター、メーカー、歴史家、そして学芸員は、この本をお楽しみいただけます。同様に、長いイタリアの休日を待ち焦がれている読者や単なるファッション崇高や時折の寓話的ルーツによって興味をそそられている読者にとっても、お楽しみいただける本です。 

Dr. Matilde Parente(マティルデ・パレンテ博士)は、カリフォルニア州インディアンウェルズのルネサンスエスメラルダにLibertinという、高級品の宝飾品サロンの所有者です。