記者発表

ブルーダイヤモンドのユニークな起源、研究者により明らかになる


グレーの背景に展示されたブルーダイヤモンド
世界で最も有名なカラーダイヤモンドのひとつ、ホープ ダイヤモンド。ファンシーダーク グレイッシュブルーの天然色を有するダイヤモンドである。ホープ ダイヤモンドは、GIAの宝石鑑別士チームによって1988年にグレーディングされた。写真撮影:Robert Weldon © GIA 提供:スミソニアン学術協会

古代の海底に含まれるホウ素が、稀少な「スーパーディープ(超深層)」ダイヤモンドの色を作り出します。

ニューヨーク州ニューヨーク – 2018年8月1日 – 国際的に著名な科学専門誌『Nature(ネイチャー)』の表紙を飾った新しい研究によると、すべてのカラーダイヤモンドの中で最も稀少なブルーダイヤモンドは、ほとんどのダイヤモンドと比べて約4倍もの非常に深い場所で形成し、驚いたことにその色は、大陸プレートが動くことによって地球のマントルの深部に運ばれた古代の海底に含まれている元素、ホウ素が原因で生じることが判明しました。
 
これは、非常に稀少かつ貴重であるブルーダイヤモンドの鉱物インクルージョンを検査および鑑別した初めての研究となりました。これらのインクルージョンを分析することで、ダイヤモンドは、沈没した、または「沈み込んだ」古代の海洋大陸プレートがある非常に深い場所で形成されたことが実証されました。
 
有名なホープダイヤモンドのようなブルーダイヤモンドは、何年もの間、科学者を魅了してきましたが、このような宝石は稀少そして高価であり、鉱物のインクルージョンがほとんど含まれていないため、研究で大きな課題となっています、とGIA (Gemological Institute of America) の研究科学者であり、『Nature(ネイチャー)』に掲載された論文の筆頭著者であるEvan Smith博士は語ります。GIAでこれらの稀少なダイヤモンドを研究することで、信じられないほど珍しい起源を判定することができました、と続けました。
 
タイプ IIb ダイヤモンドとしても知られているブルーダイヤモンドの色は、微量のホウ素が原因で生じます。この研究では、ブルーダイヤモンドは、ホウ素がほとんど存在しない地球の下部マントルの深さ410マイル(660キロ)以上の場所で形成されることが判明しました。ブルーダイヤモンドにある鉱物インクルージョンから、それらのダイヤモンドが深く沈み込んだ海洋プレートで形成されたことが確認できます。この研究を行った著者たちは、ダイヤモンドのブルーの色の原因となるホウ素は、地球の内部に運ばれた古代の海底で発生した可能性があるという仮説を立てました。これは、地球の表面にあるホウ素などの元素がプレート テクトニクスによってマントルの奥深くに再びどのように循環するかを示すため、科学的に重要となります。
 
Smith博士およびCarnegie Institution(カーネギー研究所)、University of Cape Town(ケープタウン大学、南アフリカ)、University of Padova(パドヴァ大学、イタリア)の研究員たちは、様々な分析技術を使用して、2年間にわたり鑑別およびグレーディングのためにGIAに提出された46個のブルーダイヤモンドに含まれている鉱物インクルージョンを検査しました。非営利および独立した組織であるGIAは、宝石の研究、教育、およびラボでの鑑別とグレーディングサービスにおいて世界を代表する研究・教育機関です。
 
この研究では、稀少なダイヤモンドのいくつかの性質に関して情報を得ることができたほか、マントルの地球化学とプレート構造のプロセスを理解するなど、地球を形成する元素の力に関してさらなる手がかりが発見されました。
 
この論文の概要書は、GIA.eduでお読みいただけます。また、この論文は『Nature(ネイチャー)』に掲載されています。
 
Smith博士はGIAの研究科学者であり、ダイヤモンド地質学を中心に研究しています。また、『Science(サイエンス)』誌の2016年12月号に掲載された、非常に大きく高品質のダイヤモンドの起源に関する記事の筆頭著者でもあります。Smith博士は、University of British Columbia(ブリティッシュ・コロンビア大学)より地質学博士号を取得しました。「現代宝石学の父」として知られているGIA二代目会長のRichard T. Liddicoatに因んで名付けられたポスドク特別研究員プログラムの一環として、2015年にGIA に入社しました。Smith博士は 10月7~9日に開催されるGIAの国際宝石学シンポジウムでこの研究について発表します。プログラムの詳細および登録に関しては、symposium.GIA.eduをご参照ください。
 


GIAについて

1931年設立の独立非営利組織であるGIA(Gemological Institute of America)は、宝石学における世界有数の権威として認められています。1950年代初頭、GIAはカラー、クラリティ、カット、カラット重量で有名な 4C を考案しました。さらに1953年にはインターナショナルダイヤモンドグレーディングシステム™を開発し、これは現在世界中のほぼすべての宝石専門家や宝石商により認識されています。
 
研究、教育、宝石学ラボサービスおよび機器の開発を通じて、当機関は、最高基準の完全性、研究活動、科学知識、プロフェッショナリズムを維持することにより宝石・宝飾品に対する公共の信頼を確保することに専念しています。