GIAナレッジ セッション:宝石学の情報を分かち合う新しい方法
8月 17, 2020
新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するために外出の自粛が要請されて以来、ビデオ通話やウェビナーが世界各地で大々的に活用されています。これらのテクノロジーにより、家族や友人と簡単に交流することが可能となり、GIAを含む多くの人々がこれらを使用して知識(ナレッジ)を共有しています。
GIAのナレッジ セッションは4月初旬に始まり、それ以来、真珠、ラボラトリー グロウン ダイヤモンド、フィールド ジェモロジィ、ジェードのオークションなど、宝石学に関するさまざまな研究トピックを取り上げてきました。1時間のセッションでは、研究者や担当分野の専門家が他の研究者、小売業者、デザイナー、宝石の世界や宝飾業界についてもっと多くのことを学びたいと希望するその他の人々と楽しくカジュアルな雰囲気でつながりを保つことができます。
「GIAの研究員は、普段はセミナーや会議で講演しますが、パンデミックのため遠くへの移動ができなくなってしまったので、情報を共有するために研究に携わるコミュニティとつながることができる別の方法を発見しました。GIAの研究員は、この複雑な研究のすべてをアクセス可能な方法で伝達するために、優れた才能を備えています。ウェビナーは、宝石・宝飾業界全体が、小売業者、卸売業者、またはサプライチェーンのいずれの段階の関係者として、GIAが日々行っている研究をどのように彼ら自身の業務に適用できるかを理解するためのリソースとなりました」とGIAでコンテンツ マーケティングのシニア マネージャー兼ウェブ セッションのモデレーターを務めるKellie Giordanoは説明します。
『ラボラトリー グロウン ダイヤモンド:最新情報と鑑別』を発表したMike Breeding博士は、一般の方々を保護し、関心のある分野に精通するために必要な情報を提供するというGIAの使命に対してウェビナーが貢献していると述べています。
「会議やキャンパスで行われるセミナーに出席するお金や時間がない方がこの業界にたくさんいるので、ウェビナーは、このような方たちが宝飾業界での日々の課題に取り組むのに役立つ重要な情報をGIAが提供することができる素晴らしい方法だと思います。皆さんは、すでに宝石に対して関心を寄せていますが、このような情報満載のウェビナーに参加すると、それ以上に関心が高まり、豊富な知識を身に付けていただけます。」
各セッションの参加者の人数は驚くほど多く、発表者は非常に満足しています。現時点では、21回行われたプレゼンテーションで48,000人以上が登録し、21,000人以上が参加しました。また、すべてのセッションが投稿されているYouTubeでは、65,000回以上(合計で10,000時間以上)も視聴されました。
「ウェビナーは、視聴するために早起きしたり、夜遅くまで起きている必要がある場合もありますが、世界のあらゆる場所にいる人々に情報を伝達するのに素晴らしい方法です」とフィールド ジェモロジィ主任のWim Vertriestと研究部門のシニア マネージャーを務めているAaron Palke博士と共に『舞台裏:GIAフィールド ジェモロジィ遠征の知られざる物語』を発表した、Richard T. Liddicoat 宝石学図書館情報センターのディレクター、Robert Weldonは説明します。「いくつかのウェビナーでお判りいただけたように、何千人もの人々が一度に参加しました。」
ウェビナーは英語で毎週開催されますが、グローバル開発部門ディレクターのTao Hsu博士による『世界最大のジェード オークションの独占映像』、真珠鑑別部門のマネージャーを務めるChunhui Zhou博士による『真珠と貝の魅惑的な世界』、研究開発部門副社長のWuyi Wang博士による『中国産のラボラトリー グロウン ダイヤモンド』、研究員のZiyin Sunによる『高度な分析技術』など、標準中国語で行われたウェビナーもありました。
Wang博士は、ウェビナーは宝石学に関する研究結果を一度に多くの人々と共有するのに効果的な方法であると語りました。「これほど多くの人々を対面によるプレゼンテーションに招待することは不可能です。GIAは、このプラットフォームをこれからも活用する必要があります」とWang博士は説明しました。

新しい宝石とジュエリーの世界のための新たなフォーマット
GIAナレッジ セッションでは、ダイヤモンド、真珠、ルビーなどの人気のある宝石から、宝石の探査や研究ツールなどのあまり知られていない面に至るまで、幅広いトピックを取り上げます。
「GIAは非常に幅広いトピックを提供することを目指しています。GIAは豊富な知識を持っているため、これらのウェビナーを使用して、できる限り多くの知識を提供したいと考えています」とGiordanoは語ります。
会議が行われる環境とは対照的に、ウェビナーで情報を提示することは、研究者にとって最初は少々ぎこちないものでしたが、すぐに慣れました。
「ウェビナーでプレゼンテーションを行うのがいかに簡単であるかに驚きました。話しているときに聞き手が見えないので最初は少し戸惑いましたが、プレゼンテーションが進行するつれて、とてもリラックスしながらスライドと情報を簡単に紹介することができました」とBreeding博士は語ります。
Zhou博士は、部屋で一人で座り画面に向かって話しながら、世界のさまざまな場所で聞き手はその時に何をしているのだろうかと考えることもありましたが、会議で対面して発表するよりもストレスは少なかったと述べました。
「ウェビナーは、この前代未聞の状況において宝飾業界や一般の方々と情報を共有し、交流を保つのに素晴らしい方法です。テクノロジーの進歩により、世界中から誰でも簡単に参加でき、講演会が終わった後、録画を見ることもできます」とZhou博士は説明しました。
オンライン プレゼンテーションの利点として、遠い距離を移動する必要がなく、世界中のどこからでも視聴でき、オンデマンドで視聴できるということが挙げられますが、フォーマットが発表者と視聴者にとってわかりやすいという点もあります。
「講演時間が45分から50分という点が気に入っています。この長さだとしっかりと内容を伝えることができますが、それと同時に構成を工夫しなくてはいけません。他の人による詳細な解説を見たり聞いたりする方が常に簡単です」と『ルビー:原産地、処理、科学を結びつける』および『ジェモロジストのための地質学入門101:カラーストーンを生み出す自然の作用』を発表したVertriestは語ります。
「優れたプレゼンテーションは、文書形式であると圧倒されてしまうように思えるほど難しい科学のすべてをあなたの手を取って案内してくれます。プレゼンテーションは非常に視覚的であるため、情報をより直感的な方法で示すこともできます」とVetriestは説明します。
また、プレゼンテーション中および終了後には、視聴者がチャット機能を介して質問することもできます。
「講演中に質問が横に表示されるのが見えました。すぐに答えたいという衝動に駆られました。どなたかがあることについて疑問に思っているのに気が付いたので、知らなかったら飛ばしてしまったかもしれないような詳しい情報を含めるのを忘れないようにしました」とVetriestは語ります。
また、質問により宝飾業界の内部関係者と一般の方々の両方がGIAのウェビナーを聞いていることが判明した、とChunhuiは説明します。
「質問の内容が非常に幅広いことにも驚きました。それぞれが持つ視点が異なっており、人々がどのような詳細な部分に気を留めるのかを確認することができるのは興味深いことです」とSmith博士は述べます。
『真珠と貝の魅惑的な世界』を発表した鑑別部門シニア マネージャーを務めるNicholas Sturmanは、追加の議題をGIAのGems & Gemology(宝石と宝石学)Facebookページで提起できることを示唆しました。「現時点では数は多くありませんが、数人の方々が議題を提起していました」と彼は述べます。
「参加した皆さんには非常に驚き、嬉しく思っています。質の高い質問が数多く寄せられて、それぞれのトピックには多くの方が多大な好奇心を抱いています」とGiordanoは説明します。
ウェビナーの終了後に行われた調査では、参加者の95%が「トピックは有益である」ことに同意または強く同意しており、95%がセッションを「優れている」または「良好」と評価し、100%が他のGIAナレッジ セッションへの参加を希望することが確認されました。
調査に寄せられた匿名のコメント:
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「パンデミックの最中にGIAがこれらのウェビナーを制作してくれたことに本当に感謝しています。これらのウェビナーは興味深いものであり、私たちがつながりを保つのに役立ちます。」
- 「自習中に得た理論的な知識をより実際的なアプローチに結び付けるのにウェビナーが非常に役に立ち、本当に驚きました。参加する次のウェビナーをすでに探しています!」
- 「専門知識のほかに、本当に感動したのは、形式ばってないフレンドリーなプレゼンテーションでした。とっても楽しかったです!」
GIAのデジタル トランスフォーメーション進行中
「ナレッジ セッションは、現代のテクノロジーを駆使してGIAのコミュニティとのつながりを構築する方法の良い例です」と上級副社長兼最高マーケティング責任者のMark Buntzは述べています。「GIAは、研究員、学生、同窓生がGIAの専門知識に簡単にアクセスできるようにし、世界中の宝石やジュエリーに対してさらに大きな関心を抱いてもらいたいと考えています。」
Hsu博士は、ウェビナーやその他のデジタル ツールが、宝石学の研究に限らず、さまざまな種類の情報を共有するのに効果的な方法であることに同意しています。「教育に関する情報、もしくは小売業を支援するような種類の情報でさえも、すべてこの方法で共有できます」と彼女は述べます。
Hsu博士は、 『GIAの研究 — 科学者だけのためでない』を発表し、GIAが世界から最も広く認められているカリキュラムをどのように設計しているかについて詳しく説明しました。
また、GIAはオンラインの普及活動も行っており、GemFest 『ルビーの地理的な起源の判定』が東京から日本語で発表され、タイで人気のイベントである第115回Gemstone Gathering(宝石の集い)『精密なカット::どのように、なぜ、いつ行うか?』が有名な宝石細工アーティストの巨匠、Victor Tuzlukovによって開催されました。
4月上旬に行われた第1回GIAナレッジ セッションで『天然ダイヤモンドのユニークな物語』を発表したEvan Smith博士は、ウェビナーはGIAが他の宝石鑑別ラボと異なる点をいくつか紹介するのに役立つと指摘します。

「GIAはサティフィケートや修了証を発行する機関として最もよく知られているかもしれませんが、GIAの使命はもっと広範囲に渡ります。ナレッジ セッションは、GIAの舞台裏で行われる作業の多様な性質、および研究と教育に再び投資することに対する私たちの取り組みを明らかにしました」とSmith博士は説明します。
GIAナレッジ セッションにアクセスし、今後のウェビナーに登録したり、すでに発表されたウェビナーをご覧ください。
シニア コミュニケーション マネージャーのAmanda J. Lukeは、GIAで編集者兼ライターとして19年間活躍しています。