Paspaley(パスパレー):閉ざされた南洋真珠オークションの内側


Paspaley 2012年
ほぼすべての海水養殖真珠が市場に出るまでに通る最初の通過点として、 生産者によるオークションがあります。 毎年3〜4回、南洋および仏領ポリネシアの黒養殖真珠の生産者は、収穫した真珠を香港でオークションにかけます。 アコヤ真珠は、日本の神戸でオークションにかけられます。

2012年9月の半ば、私は、どのようにこれらの販売が行われるのかを自分の目で確かめるために、南洋養殖真珠の最大の生産者であるPaspaley(パスパレー)によって開催されたオークションを訪問しました。 通常、このようなオークションは招待制になっているので、真珠の世界のこの部分の内側を垣間見れるのは大変貴重な経験となりました。

収穫した真珠は、サイズ、形状(真円度)、光沢および色という品質要因に基づいて、数十のロットに分類されました。 ロットのほとんどには、日本円での最低競売価格、匁での総重量(1匁= 3.75グラム)および品質指定(AAA、AAなど)が明記されていました。 パスパレーの従業員たちは、いくつかの最高品質の珠を合わせてストランドにしました。その中には最低競売価格が未公開のものもいくつかありました。  

1日のオークションの間に、招待されたディーラーには、入札を予定している各ロットを検討する時間が15分間与えられました。 非常によく観察するのを希望した者は、オークションのディスプレーの上に札を置いて、そのロットを後ろのテーブルへ運ぶことができました。パスパレーのスタッフは、15分ルールについてはかなり断固としていました。 商品を見た後、ディーラーは入札フォームに記入し、展示テーブルの端にある「投票箱」に入れました。

入札者のすべてが、米国、中国、日本、ヨーロッパからの真珠卸売業者でした。 フィリピンの生産者からのゴールドの養殖真珠を含んだ9月のオークションは、通常、同社の四半期の売上高のなかで最小のものです。

オークションが市場に商品を送り出し、価格を決定するのに最も効率的な方法であったため、真珠の生産者たちは約30年前にオークションシステムを開発しました。 それ以前はパスパレーおよびその他の会社は、かつて市場を独占していた日本の卸売業者に生産物を販売していました。  

受賞歴のある業界ジャーナリストのRussell ShorはGIAのシニア業界アナリストです。 JCKで長年シニアエディターを務め、1993年出版の『Connections: A History of the Diamond Trade and Its People』(つながり:ダイヤモンド取引の歴史とその人々)を執筆しました。