宝石の処理について
消費者が、外観を変化させるために処理された宝石に市場で出会う可能性は常にあります。 ある宝石が処理されているかいないか、ということはよく話題になります。 ある意味では、人間は地中で発見されるすべての宝石素材に、宝飾品として使用するために変化を加えると言えます。 天然宝石の結晶は、原石の結晶学的形状から、ジュエリーとして愛でたり着用したりする宝石の形や輪郭に変換され磨かれます。 これらのステップは、宝石の成形加工の決まった手順として昔も今も用いられています。 しかし宝石は、伝統的なカッティングや研磨という範疇を超えて、色やクラリティを改変する目的で処理されることがしばしばあります。 その外観を向上させることに加えて、処理によって宝石の耐久性を改善する(一部の場合には減退させる)こともあります。 これらの処理は経験の乏しい目には必ずしも明らかではなく、時には専門家にとっても識別することが困難であるため、宝石を販売する(消費者から消費者への取引を含む)者は宝石に施された処理法を開示することが必要であり、法的に義務付けられています。
この処理法が開示されないことは、ある宝石がもとから高品質であり、実際よりも高い価値があると信じてしまうことに繋がる場合があります。 もう一つの課題は、処理が宝飾品の通常の使用のもとで永続的、長期間存続するものである場合と、短期間しか存続しないものである場合とがあるということです。 処理宝石には持ち主による特別なケアが必要な場合があります。 米国では、Federal Trade Commission (連邦取引委員会)が消費者への一連のガイドラインを制定し、処理の開示や特別な手入れの必要性を概説しています。世界中の国々でも、同様のガイドラインを遵守するか、または独自の規定を持っているかのどちらかです。 さらに、American Gem Trade Association(AGTA、アメリカ宝石取引協会)、International Colored Gemstone Association(ICA、国際色石協会)、The World Jewellery Confederation(CIBJO、世界宝石連盟)など、専門家の団体は、宝石素材の処理に関して所属団体の遵守が求められている具体的なガイドラインを策定しています。 以下の用語集には、宝石処理の命名によく使用され、また購入の際に使用される可能性のある用語が含まれています。 最後に、宝石の処理法は常に更新・改良されており、これらの新しい処理宝石の検出は、現在進行中の宝石研究の重要な一部となっています。
次の手引きでは、処理プロセス、その処理が施される宝石、訓練を受けたジェモロジストによる看破がいかに簡単または困難であるか、宝石の取引で遭遇する可能性がどのくらいの頻度か、通常の取り扱いでどの程度耐久性があるか、を簡単に説明します。 処理された宝石の特別な取り扱い上の注意も記載されています。
漂白
- 化学物質を用いて多孔質宝石の色の成分、あるいは色全体を改変/減退させること。 一部の宝石は漂白後に染色されます。「コンビネーション処理」の一形態です。
1. 漂白処理を施した宝石で最も一般的に見られるもの:
ジェダイト ジェード - ジェダイトは、その素材から望ましくない褐色の成分を除去するために酸で漂白することがよくあります。 ジェードにおける漂白は、通常は二段階の工程の一つです。酸漂白により材料がわずかに多孔質になったり、フラクチャー(割れ目)に沿って破損しやすくなるため、引き続きポリマー含浸で処理して隙間を充填し、全体的に優れた外観に仕上げます。
パール - どのタイプのパール も、色を明るくして均一性を改善するため、日常的に過酸化水素で漂白されます。
その他の素材 - 一部のサンゴやカルセドニー、タイガーズアイクォーツは、色を明るくするために漂白されることがあります。
2. 看破の可能性 - 単独の工程で行われる漂白は、ほとんどの場合看破することが事実上不可能です。 第2の工程であるポリマー化合物の含浸は、高水準の宝石鑑別ラボラトリーで拡大検査や高度な分析技術を用いてより簡単に検出できます。
3. 取引で一般的に見られるもの - 真珠およびジェダイトにはよく見られます。
4. 耐久性への影響 - 酸漂白で殆どの素材の構造が破壊されるので、この処理単独では素材が壊れ易い状態になります。 ほとんどの場合漂白後に、耐久性を向上させ色を強化するために含浸が行われます。
5. 特別なお手入れの必要性 - 漂白した宝石はより脆く、多孔性を持つ傾向が強いため、人体の油や他の液体をより吸収しやすくなります。 真珠は表面の損傷を避けるために、柔らかい乾いた環境で保管することをお勧めします。
表面コーティング
- 塗料のような着色剤を宝石の裏面に貼ること(「バッキング」として知られる処理)、または色を改変させる効果を与えるために塗料を宝石の表面すべてまたは一部にコーティングとして使用することによって、宝石の外観を変えること。
1. コーティングを施した宝石で最も一般的に見られるもの:
ダイヤモンド - ダイヤモンドの色を変えるために薄膜コーティングが施されることがあります。 油性ペンを使用することで、粗雑ながら効果的なコーティングを行うことができます。ダイヤモンドのガードル面に沿ってペンをなぞると、石のフェースアップの外観がそのインクの色を反映します。 現代的なコーティング方法としては、金属酸化物薄膜を用います。
タンザナイト - ほとんど使用されることはありませんが、タンザナイトはその青紫色の強さをより高めるためにコーティングされることがあります。
トパーズ - 無色トパーズには、金属酸化物でコーティングしてさまざまな色の外観にさせられるものがあります。 過去には、このような処理は多くの場合、宝石の表面への化学物質の「拡散」の一形態として説明されていましたが、ほとんどの場合着色は宝石の表面のみに限られていたので、これは誤った呼び名でした。
サンゴ - 黒サンゴ(ホーンコーラルとも呼ばれる)の中には、漂白後にサンゴの保護と色の強化を目的として、人工樹脂の比較的厚い層でコーティングされたと報告されているものがあります。
パール - 一部のパール は耐久性向上のため、無色の硬質コーティングで処理されていると報告されています。
クォーツ - クォーツは天然ではほとんど見られない色を作るために、時折、金属酸化物でコーティングされます。
2. 耐久性への影響 - コーティングを施す宝石より柔らかかったり、または石によく接着しない場合があるため、どのような種類の薄膜表面コーティングも、ひっかき傷を受けやすくなります。ファセットエッジや接合部に沿った部分は特にそうです。 コーティングされた宝石が硬い物体や傷を与えやすい物体に触れないよう、注意して取り扱う必要があります。
3. 看破の可能性 - コーティング物質が無色で耐久性を高めるために使用されている場合を除き、いったん疑いを持てば、処理は経験豊かなジェモロジストによって識別することが容易です。
4. 取引で見られるもの - 一部の宝石で時折みられます。
5. 特別な手入れの必要性 - 身に着けていない間は、コーティングされた宝石素材は柔らかな包装に包み、乾燥した環境で保管してください。
染色
- 有色の染料を多孔質の、またはフラクチャーの入った宝石に注入して、色を変えること。 このようなフラクチャーは、時に意図的に宝石を加熱して作られ、多孔質ではない素材に染料がより容易に注入されるようにします。
1. 染色された宝石で最も一般的に見られるもの:
パール - 染色によりその色を強調することにより、質の低い天然および養殖パール の外観を向上させることがよくあります。
他の宝石素材 - このプロセスは、サンゴ、トルコ石、ラピスラズリ、ハウライト、ネフライトジェード、カルセドニー、クォーツ、エメラルド、ルビーなどの素材に古くから用いられています。
2. 耐久性への影響 - 多孔質素材に染料を用いるとその耐久性が向上する場合がありますが、これは最終的には染料自体の安定性に左右されます。 大きなフラクチャーのある宝石では、さまざまな条件下で染料が漏出することがあります。 宝石がたとえばアルコールやアセトンなどの溶剤に接触した場合、多くの染料がはがれることがあります。 一部の染料は、太陽光の下で紫外線にさらされると不安定になり、時間が経つと退色する場合があります。
3. 看破の可能性 - 有能なジェモロジストであれば、ほとんどの場合染色した宝石を看破できます。
4. 取引で見られるもの― ほとんどの宝石で時折見られ、有色の真珠では頻繁に見られます。
5. 特別な手入れの必要性 - 宝石素材が染色されていることがわかっている場合は、染料を溶かす可能性があるため、アセトンまたはアルコールのような化学物質に触れないよう、また、染めた色が褪せる可能性があるので、日光に長時間さらさないよう(日当たりの良い窓台に置いたままにするなど)、注意しなければなりません。
フラクチャーまたはキャビティ充填
- 表面に達するフラクチャーまたはキャビティを見えにくくするため、また宝石の見た目のクラリティや外観、安定性を改良するため、あるいは極端な例では宝石に僅かに重量を追加するために、ガラス、樹脂、ワックス、オイルなどで充填すること。 充填素材は、固形物(ガラス)から液体(油類)まで様々ですが、ほとんどの場合は無色です(有色の充填材は染料に分類されます)。
1. フラクチャー充填された宝石で最も一般的に見られるもの:
ダイヤモンド - 表面に達するフラクチャーは、鉛含有量の高いガラスで充填される時があります。 ダイヤモンドの外観を向上させることが目的で、これによりフラクチャーが目立たなくなります。 充填したフラクチャーは、目立たなくなっただけでまだ存在はしています。
ルビー - 表面に達する多数のフラクチャーはガラスで充填され、より目立たなくして石が実際よりも透明にみえるようにします。 場合により、処理されたルビーの充填ガラスの量がかなりのものとなる場合があります。
エメラルド - エメラルドの表面に達するフラクチャーは、それを目立たなくして石の見かけのクラリティを向上させるため、しばしば精油や他の油、ワックス、「人工樹脂」エポキシプレポリマー、または他のプレポリマー(UV硬化型接着剤を含む)、ポリマーなどで充填されます。 処理されたエメラルド中のこれらの物質は安定性に差があり、また石に残された充填素材の量は少量から大量まで様々です。
その他の素材 - 表面に達するフラクチャーを持つものでクォーツやアクアマリン、トパーズ、トルマリン、その他透明な宝石を含む耐久性のある宝石には、樹脂やガラスが使用される可能性があります。 しかし、この種の処理は上記の他の処理法に比べあまり一般的ではありません。
2. 耐久性への影響 - 多くは充填材の耐久性によります。 ガラスは硬い傾向があり、したがって、樹脂、油またはワックスよりも耐久性があります。 空気圧の変化、高温の場所に近いこと、または化学物質にさらされることにより、充填物質の変化・除去の可能性があり、充填処理が施された宝石の外観に影響が及ぶことがあります。
3. 看破の可能性 - 充填された宝石はほとんどの場合、有能なジェモロジストであれば拡大下での観察によって認識することができます。
4. 取引で見られるもの - ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドでよく見られます。
5. 特別な手入れの必要性―高温や気圧の変化(たとえば航空機の客室)、または化学物質にさらすことは避けてください。 充填されたエメラルドはまた、皿洗いの際お湯がかかることにより損傷することがあります。
加熱処理
- 色および/またはクラリティを改変させることを目的として、宝石を高温にさらすこと。
1. 加熱処理された宝石で最も一般的に見られるもの。
琥珀 - 熱した油(アマニ油等)に浸すと、本来の地色から暗色になり、素材がよりクリアな外観となる場合があります。 高温の油は、スパングルのようなキラキラ光るインクルージョンを多数生じさせる可能性があります。
アメシスト - 加熱することで、一部のアメシストに含まれている好ましくない褐色インクルージョンを除去したり、過度に暗い石の色を明るくしたりすることができます。
アクアマリン - 処理を行わなければ、アクアマリンの多くは青緑色です。 制御された環境下で加熱することで、素材から緑がかった色の成分を除去しより青色の外観にすることができます。
シトリン - ある種のアメシストは加熱することにより、シトリンに変えることができます。
ルビー - 加熱により紫色の色みを取り除き、純粋な赤色にすることができます。 このプロセスにより、宝石の色調を薄く不透明にする「シルク」(微細な針状インクルージョン)を削除することもできます。 また加熱によって、シルクインクルージョンの再結晶化を引き起こしてより顕著にさせることで、その石により強いアステリズム(反射光によるスター効果)を生むことができます。
サファイア - 加熱はサファイアの青い色をより鮮明にしたり、あるいは青色を引き出すことさえできます。 加熱は「シルク」インクルージョンを除去することもでき、これにより石がより透明に見えるようになります。 また加熱によってシルクインクルージョンの再結晶化を引き起こすことができ、それらをより顕著にさせることで石により強いアステリズム(反射光によるスター効果)を生むことができます。
タンザナイト - タンザナイトとして知られている宝石を含む鉱物のゾイサイトは、褐色の成分を除去して強い紫がかった青色を生成するために、低温で加熱されることがよくあります。
トパーズ - 黄色みのあるピンク色のトパーズを加熱することで、黄色の成分を除去する効果がある場合があり、ピンク色が強くなります。 加熱はまた、ブルートパーズの色を制御するためにも使用され、元は無色であった素材が照射された後に加熱されると、望ましい青色になります。
トルマリン - 加熱処理により濃緑色の素材が淡色になったり、他のトルマリンの色に影響を与えたりします。
ジルコン - 一部の赤褐色のジルコンは、強い青色などのようにより販売に向いた色を生成するために制御された環境で加熱されます。
2. 耐久性への影響 - 上記の宝石すべてにおける加熱処理は、通常の取り扱い条件の下で、耐久性があり恒久的とみなされています。
3. 特別な手入れの必要性 - 極度な高温に宝石をさらすと通常よりもやや脆くなることがあり、ファセットカットした尖った角とエッジを損傷しないよう、注意しなければなりません。
高圧高温(high pressure, high temperature、HPHT )処理
- 色の除去または改変のため、拘束圧下でダイヤモンドを高温加熱すること。
高圧高温でダイヤモンドを加熱すると、褐色みが除去または軽減され、宝石は無色になります。 他のタイプのダイヤモンドでは、この方法により茶色から黄色やオレンジがかった黄色、黄緑色、または青色に変わることがあります。
1. 耐久性への影響 - HPHT処理は、通常の宝石の取り扱い状況では安定しており恒久的だと考えられています。
2. 看破の可能性 - ベテランのジェモロジストでも、鑑別は困難です。 疑いがあれば、高水準の宝石鑑別ラボラトリーであれば処理を確認することができます。
3. 取引で見られるもの - 無色のダイヤモンドでは時折見られ、カラーダイヤモンドではより頻繁に見られます。
4. 特別な手入れの必要性 - 多くの宝飾品に行われる通常の手入れ以外には、HPHT処理されたダイヤモンドの手入れと取り扱いに特別な指示はありません。
含浸
- 多孔質宝石の表面は、耐久性と外観を向上させるためポリマーやワックス、プラスチックで含浸されます。
ワックスやプラスチックで含浸処理を施した最も一般的に見られる宝石は不透明で、トルコ石やラピスラズリ、ジェダイト、ネフライト、アマゾナイト、ロードクロサイト、サーペンティンが含まれます。
1. 耐久性への影響 - 多くの含浸は「皮一重の深さ」に浸透しているだけで、プラスチックやワックスの融点のために熱による損傷を受けやすくなる可能性があります。 プラスチック含浸は、熱や化学薬品にさらされない限り、トルコ石などの宝石素材に対して耐久性があると考えられています。
2. 看破の可能性 - ほとんどの場合、有能なジェモロジストであれば容易に処理を識別することができます。
3. 取引で見られるもの - 取引では頻繁に見られます
4. 特別な手入れの必要性 - 素材が損傷する可能性が高いため、ワックスやプラスチック含浸を施した宝石は、彫金用のガスバーナーに近づけるなど、熱に晒すことがないように注意する必要があります。
照射
- 色を改変するため、宝石を放射線の人工光源にさらすこと。 更なる色の改変のために、その後に加熱処理を行うことがあります。 この第2のステップは「コンビネーション処理」として知られています。
1. 照射処理が施された宝石で最も一般的に見られるもの:
ダイヤモンド - 中性子と電子放射が人工照射の最も一般的な形態であり、黒、緑、青緑、濃黄、オレンジ、ピンク、赤などの色のダイヤモンドを作り出すことが可能です(多くの場合特定の色を発色させるため、第二段階の加熱処理と組み合わせます)。
コランダム - 天然の淡黄色のサファイアを明るいオレンジ色などにすることができます。 これらの色は安定しておらず、光にさらされると褪せていきます。
トパーズ - 無色のトパーズは、今日宝石市場ではほとんど商業的価値がありませんが、人工照射によって劇的にその色を変化させることができます。 加熱処理と組み合わせて使用することで、様々な強い青色のトパーズを作ることができます。
真珠 - 照射されて濃いグレー色になったものがあります。
クォーツ - クォーツの変種は照射されアメシストにされることがあり、照射後の加熱を含む一部のコンビネーション処理ではグリーンクォーツをつくることができます。
その他の宝石 - ベリルとスポジュメンの一部の変種は、本来の色を深めたり改変したりするために照射されることがあります。
2. 耐久性への影響 - 照射を受けた宝石の色は強い光に曝されると薄れるものがあります。 ブルートパーズ、ダイヤモンド、クォーツは高温にさらされない限り非常に安定した色を維持する傾向があります(これは照射を受けたカラーダイヤモンドについて特に言えることですが、ジュエリーの修理中に彫金用ガスバーナーの熱にさらされると、その色が損なわれる可能性があります)。
3. 看破の可能性 - 強い青色はトパーズに天然に存在しないので、そのような石は照射処理を施されていると考えられます。 グリーン、ピンク、レッドダイヤモンドの強い色も疑わしいと考えるべきです。 カラーダイヤモンドが天然の色であるか処理された色であるかの判断には、経験豊富な宝石鑑別ラボラトリーでの検査が必要になります。
4. 取引で見られるもの-トパーズは非常に頻繁に、ファンシーカラーダイヤモンドでは頻繁に見られます。
5. 特別な手入れの必要性 - ベリルとスポジュメンでは照射された色が短命である傾向があり、明るい光に曝されると褪せていきます。 それ以外は、ほとんどの照射処理宝石には特別なお手入れの必要がありません。
レーザードリリング
- これには、レーザ光の細い集束ビームで焼くことでダイヤモンドの表面から暗色インクルージョンに到達する管をつくることが含まれます。 通常この処理の後、管の中に強制的に化学物質を入れ、そのインクルージョンを溶解しあるいはその外観を改変します。
ダイヤモンドが唯一レーザーの熱に耐えることができるというのも、この方法で処理される唯一の宝石である理由の一つです。
1. 耐久性への影響 - レーザーはダイヤモンドの構造に影響を与える可能性がありますが、ほとんどのレーザードリルホールは微小で、ダイヤモンドの耐久性に問題を生じることはありません。
2. 看破の可能性 - レーザードリルホールの存在により、ほとんどのジェモロジストと高水準の宝石鑑別ラボラトリーで容易に検出できます。
3. 取引で見られるもの - 時折見られます
4. 特別な手入れの必要性 - レーザードリリング処理を施したダイヤモンドには、特別な手入れは必要はありません。
格子拡散
- 色の改変や強調を目的として、熱処理時において宝石の原子の格子内に特定の元素を浸透させること。
1. 拡散処理を施した宝石で最も一般的に見られるもの:
コランダム(ルビーおよびサファイア) - 1980年代の試みはチタンとクロム(コランダムの着色因子)の拡散に重点が置かれていましたが、色を石全体に浸透させる能力にまで達することはできませんでした。 2003年には非常に強力な色のサファイアが市場に現れるようになり、再び拡散処理が疑われました。 それが拡散処理であることが明らかになりましたが、新しい元素、ベリリウムを使用したものでした。 チタンやクロムよりもはるかに小さい原子であるベリリウムは、大きなサファイアであっても、全体に浸透・拡散し色を変えることができました。 この処理プロセスを用いてルビーの色も強調することができることが間もなくわかりました。
フェルスパー - フェルスパーの変種、特にアンデシンとラブラドライトは銅の拡散が浸透し、完全にその色が改変することが判明しました。
その他の素材 - トルマリンとツァボライト(ガーネットの変種の一つ)の両方で色の改変を引き起こす拡散処理が報告されていますが、実証されていません。
2. 耐久性への影響 - この処理は恒久的なものと考えられています。
3. 看破の可能性 - 多くの場合、確証を持って看破することは極めて困難で、検出できるとすれば、高水準のラボラトリーでのみ可能です。
4. 取引で見られるもの - 拡散処理されたコランダムは幅広く取引されています。
5. 特別な手入れの必要性 - 拡散処理されたコランダムやフェルスパーには特別な手入れの必要がありません。