分析とグレーディング

GIAがダイヤモンドのグレードを決定するまで



GIAのラボには、グレーディングと分析のために世界中からダイヤモンドが送られてきます。GIAのクライアントは当機関に信頼を置き、そのビジネスを私たちの専門性に委ねています。GIAはその両点に細心の注意を払っています。

匿名性

GIAが提供するすべてのレポートとサービスにおいて、客観性と独立性は最たる特徴です。グレーディング プロセスにおいては、依頼者のダイヤモンドの匿名性を確保する為に入念な手順が設けられています。ラボに持ち込まれたダイヤモンドはすべて特注デザインの透明の保管ケースに収められ、その所有者に関するすべての情報は除去されるかまたは隠されます。それぞれのダイヤモンドにGIA独自のID番号が付いたバーコード ラベルが貼られ、グレーディング プロセスを通じてそのラベルからダイヤモンドを追跡することができます。また、クライアントに関する情報は、グレーダーがダイヤモンドの評価の入力に使用するソフトウェアでは隠されています。クライアントの方々には、クライアントの識別やグレーディング情報に関連するような情報の入っていないパーセル ペーパーで依頼品を提出していただくことで、GIAのこのプロセスを支援していただくようお願いしています。

重量と測定

ダイヤモンドの重量測定は、マイクロ電子天秤を用いて小数点以下第5位まで測定を行います。ダイヤモンドのプロポーション、寸法、ファセット角度の判定は光学測定器を用いて行います。

事前検査 GIAダイヤモンド チェック™

ダイヤモンド グレーディング サービスのためGIAに提出されたすべての宝石は、GIAダイヤモンド チェック(DiamondCheck™)と呼ばれる機器を使用して、素材が天然ダイヤモンドであるかどうか、処理またはラボラトリー グロウン ダイヤモンドの可能性があるため更なる検査が必要なダイヤモンドか、あるいはダイヤモンドではない素材であるか検査されます。

カラー グレーディング

光源と背景はカラーの見え方に大きな影響を与えるため、ダイヤモンドのカラー グレーディングは規格化した観察条件の下で行われます。カラーのグレーダーは、彼ら独自の見解をシステムに入力します。この段階においてグレーダーは、以前に入力された色についての意見を目にすることはありません。カラー グレードは、評価の見解に十分な一致が見られると決定されます。

クラリティとフィニッシュのグレーディング

クラリティのグレーディングは、標準的な観察条件の下で10倍に拡大して行われます。最初のグレーダーがダイヤモンドを入念に検査し、クラリティとフィニッシュの特徴の位置や、フラクチャー充填あるいはレーザードリルのようなダイヤモンドの処理の証拠があるか確認します。
 
グレーダーはまずそのダイヤモンドのクラリティ、ポリッシュ、シンメトリーに関する見解を出します。その後、そのダイヤモンドの形状とファセットのスタイルに最も近いものを、数百の図形を保存してあるデータベースの中から選択して、その図形上にクラリティ特徴をプロットします。この段階でグレーダーは、以前に入力された重量や寸法データを検証し、ダイヤモンドのキューレットとガードル厚さについての記述を書き込みます。ラウンド ブリリアント カットのダイヤモンドについては、この測定データにポリッシュとシンメトリーの評価を合せて、ダイヤモンドのGIAカット グレードを決定します。このグレーディング プロセス中には、別のグレーダーによる追加検査なども含めた追加工程を行い、クラリティ/フィニッシュの特徴の存在を確認して判定したり、ダイヤモンドの処理やラボラトリー グロウン ダイヤモンドについてすでに判明している証拠についてのチェックおよびダブルチェックを行います。
 
ダイヤモンドの重量や品質、またグレードに関する見解の一致具合に応じて、追加で品質保証工程を実施します。さらに経験豊富なスタッフジェモロジストが、それまでに行ったグレーディングに関するすべての情報を見直し、クラリティ/ポリッシュ/シンメトリーに対する自分の見解を取り入れる場合があります。見解が充分に合致した場合、グレーディングの結果が確定されます。

カット グレーディング

GIAでは、カラーがGIAのDからZまでの範囲の標準的なラウンド ブリリアント ダイヤモンドについてのみ、カットの品質に関するグレードを判定します。
 
カラーとクラリティのグレーディングが終わると、ダイヤモンドのプロポーション(寸法、ファセット角度)にポリッシュとシンメトリーの記述を加えたものを元にしてGIAカット グレードを判定します。ポリッシュとシンメトリーに加え、ダイヤモンドの輝き、ファイアー、シンチレーション(きらめきとパターン)、重量比、耐久性などの全てが、このカット品質の最終評価で考慮に入れられます。

点検、ケア、取扱い手順

グレーディングプロセスのあらゆる段階において特別な点検、ケア、取り扱い手順を遂行することにより、ダイヤモンドの個体識別を確保し、その管理に細心の注意を払うことができます。

商品管理と経路決定

GIAの商品管理部門は、ラボを運営するにあたり中枢の役割を果たします。グレーディング工程の各段階で、ダイヤモンドはこの部門から配布・回収され、各グレーディング担当者へのダイヤモンドの配布は完全に無作為に行われるようにしています。これは独立公平なグレーディング工程における重要な施策のほんの一部です。
 
すべてのダイヤモンドを電子的に追跡管理し、どの時点でもラボはその正確な位置を特定し、グレーディング工程中の各ステップの見直しが行えるようになっています。何千個ものダイヤモンド、何百人ものダイヤモンド グレーダーが存在する中で、GIAラボにおける商品の経路決定と追跡には、科学技術による高度な支援と共に熟練した注意深いスタッフが必要となります。