インクルージョンから得られる洞察
9月 29, 2014
天然宝石は一般的に合成品よりもはるかに価値が高いため、天然かどうかを正確に識別できるスキルは非常に役に立ちます。 天然の宝石か合成宝石であるかを判断するための最善の手法の一つは、インクルージョンのタイプや種類に注目することです。
特定の種類のインクルージョンは、合成宝石よりも天然の宝石に多く見られます。 ニードル、クラウド、液体、および結晶は、天然宝石に見られる典型的なインクルージョンの一例です。
合成宝石は一般的に、その成長法に特有のインクルージョンがあります。 半透明から不透明の色、粗さ、蜘蛛の巣のような外観といった特徴はその例です。天然、透明、あるいは部分的修復を施した「フィンガープリント」といったインクルージョンとは全く性質が異なります。 例えば、半透明または不透明の白色や、黄色がかった粒状に見えるフラックス・インクルージョンは、フラックス法で生成された合成石に見られる典型的なインクルージョンです。
「インクルージョンの種類と特徴を理解すると、天然石か合成石かを識別できるようになります。 そして、石の歴史や価値を理解するのに役立ちます。」とGIAカールスバッド、オンキャンパス・ラボ宝石学指導マネージャーのBrenda Harwickは話します。
Eduard Josef GübelinとJohn Koivula著の「Photoatlas of Inclusions in Gemstones(写真図鑑 宝石のインクルージョン)」の3巻は、このテーマを扱った決定版として広く認知されています。 これらの貴重な資料について詳しく知りたい方は、store.gia.edu にアクセスし、キーワード「Koivula」と入力して下さい。
GIAの学生の中には、インクルージョンを構成する特定の鉱物に強い興味を抱くあまり、目の前で観察している一般的な種類のインクルージョンに関心を向けない人もいます。
研究のヒント:まずは、全般的なインクルージョンの特定に熟達しましょう。その後に、特定の構成鉱物に対する好奇心を追求してみましょう。 インクルージョンを構成する鉱物の識別には、高度な化学的および構造的な試験が必要とされることが多いですが、ルチルとジルコンであることが一般的です(宝石の種類による)。
本当に重要なのは、正確な化学組成ではなく、インクルージョンの種類と数なのです。 この点に注意することで、優秀な宝石鑑定士になることができます。
インクルージョンを見る時のポイント
顕微鏡で宝石を見ると、インクルージョンの一般的な種類や数が確認できます。 これは、宝石が天然か合成であるかの判断に役立ちます。そして、この情報が宝石の価値を左右することがあります。
また、顕微鏡で宝石を観察すると、自分の中にインクルージョンの「ビジュアルライブラリ(視覚的な資料の蓄積)」ができます。時間をかけて蓄積されていった「ビジュアルライブラリ」は、新しい石を識別するときの参考になるでしょう。
このことを踏まえ、顕微鏡を使用する際のポイントを以下にお伝えします。
- インクルージョンを調べる時には、明視野照明、暗視野照明、偏光照明、光ファイバー照明など、様々な照明環境を使用しましょう。 これにより、制御された光の経路に宝石がどのように反応するかを確認でき、インクルージョンに関する貴重な情報が得られます。 様々な照明を使用することで、1つの照明環境では見逃しかねない新しい情報が見つかることがあるのです。
- まずは、最も広いウィンドウ(通常はテーブル面)から宝石を覗きましょう。その後、その石のパビリオンを覗きます(インクルージョンをはっきりと確認できるためです)。
- 石を前後に動かしたり傾け、様々な角度から宝石を観察しましょう。