展覧会レビュー:Beyond Bling: Jewelry from the Lois Boardman Collection(きらびやかを超えて:Lois Boardman コレクションのジュエリー)
1月 5, 2017

Bob Boardman の寄贈品、© Karl Fritsch、写真:© Museum Associates/LACMA
多様な種類の素材が使用できるようになるにつれて、ジュエリーアーティストが生み出す作品も多岐にわたるようになっています。 パサデナ在住の Lois Boardman 氏が Los Angeles County Museum of Art(LACMA:ロサンゼルス郡立美術館)に寄贈した、世界各国から集められた300点以上もの精巧で現代的な作品(写真1)も、その例の一つです。 ロサンゼルス郡立美術館で開催されている『Beyond Bling: Jewelry from the Lois Boardman Collection(きらびやかを超えて:Lois Boardman コレクション)』展では、寄贈された作品の50点以上を見ることができます。 数十年をかけて Boardman 氏が手に入れたそれらの非伝統的なジュエリーの特徴は、プラスチック、ガラス、鉄鋼、羽根のような材料、さらにはレゴのブロックまでもが、金や銀などのより伝統的な素材と合わせて使用されている点です。 彼女が旅行中に見つけた作品も、委託作品に劣らず目を引いています。委託作品には、1988年に製造された彼女の鼻を形どった金の鋳造(写真2)があります。

Lois Boardman の鼻の鋳造。 Los Angeles County Museum of Art(ロサンゼルス郡立美術館)、Lois & Bob Boardman の寄贈品、
© Gerd Rothmann、写真:© Museum Associates/LACMA
展示部屋自体は、「驚異の部屋」として知られているルネッサンスの現象をモデルにしています。「驚異の部屋」は、珍品を単に分類せずに一箇所に集めた私的なコレクションです。 別の予備部屋にある作品は、動物、植物、鉱物など、初期の科学者が利用していた分類で展示されています。 最近では、「プラスチック」が分類の1つに追加されました。 それらの作品の一例として、David Bielander が製作した革、銀、画鋲でできた驚くほどリアルなKoi(コイ)のブレスレットが挙げられます(写真3、左)。また、Miriam Hiller が手がけ、粉末でコーティングされたステンレス鋼製の Loperenias ブローチ(写真3、右)は、花が咲いた瞬間を思い起こさせます。さらに、釘をバンドとセッティングの両方に使用し、その中石にスモーキークォーツを留めた Bernhard Schobinger のリングも展示作品に含まれています。 これらの前衛的な数多くの作品が、David Bielander 作のステンレス製のティースプーンや、自然にインスピレーションを受けて作られた作品とともに展示されており、紀元前1991年まで昔に遡るエジプトのコガネムシの隣りには、金でできたDung Beetle(フンコロガシ)も目にすることができます。 ピーコックの羽とスエードから作られた Nikki Marx 作の Royal Raiment(王室の衣服) ネックレス(写真4)は、15世紀後半から16世紀初頭に見られた、羽でできたインカ族のチュニックと驚くほど似ています。


「プラスチック」に分類された作品に、最も驚かされるかもしれません。 プラスチックの可鍛性と汎用性はよく知られており、これらの作品のジュエラーたちはその特性を最大限に活かしています。 プラスチック製の作品では、スーパーヒーローの衣装を連想させ、胴体ほど大きい「ネックレス」のほか、銅や銀を使用した Ann Scott 作のトルクネックレスが展示されています。 このセクションで注目に値するのは、おそらく Maharajah’s 6th Necklace(マハーラージャの第6ネックレス)でしょう。このネックレスは、1928年にブシュロン家がインドのパティアラのマハーラージャのために製作した財宝を Emiko Oye が再現した作品です。 レゴのブロックを組み合わせて、本物のネックレスに使われているエメラルドとダイヤモンドに見えるように製作されています(写真5)。

Lois & Bob Boardmanの 寄贈品、© Emiko Oye、写真:© Museum Associates/LACMA
このような現代的なコレクションにふさわしく、『Beyond Bling(きらびやかを超えて)』展は Snapchat でもご覧いただけます。 アクセスすれば実際に展示会に来たかのような体験ができるほか、これまでの参加者の写真を見ながら、Boardman コレクションのジュエリーを Snapchat 上で身に着けることができます。 マルチメディアの要素がこのショーのモダンな芸術と結合し、まさしく21世紀型のジュエリー展覧会を生み出しています。
『Beyond Bling: Jewelry from the Lois Boardman Collection em(きらびやかを超えて:Lois Boardman コレクションのジュエリー』展は、2017年2月5日までロサンゼルス郡立美術館(LACMA)で開催されています。 入場料は大人は15ドル、65歳以上または学生は10ドル、17歳以下のお子様は無料です。 また、毎月第2火曜日は一般入場料が無料となります。 LACMAの開館時間は、月曜日、火曜日、木曜日の午前11:00から 午後5時、金曜日の午前11時から 午後8時、土曜日と日曜日の午前10時から 午後7時までです。 水曜日は休館です。
Jennifer-Lynn Archuleta は、Gems & Gemology(宝石と宝石学)の編集者です。