研究

GIAダイヤモンド研究



ダイヤモンドはなぜ「宝石の王様」なのか?

王冠から婚約指輪に至るまで、ダイヤモンドは人生の多くの祝い事や歴史的な節目で中心的な役割を果たしてきました。 それらは伝説や民間伝承と結びついてきたのです。 ダイヤモンドはカラットあたりの価格がこれまでで最高値を記録していて、宝石と宝飾品の世界の頂点に立つことが多くあります。

ダイヤモンドは硬度スケールで最高値の10にあります。 また、熱伝導率が最も高く、モル密度が地球上の物質の中で最も高く、酸、腐食、放射線に対する高い耐性も備えています。 この並外れた物理的特性の組み合わせは、何世代にもわたって使用されることも多い宝飾品としての日常的な着用に理想的なだけでなく、幅広い産業・技術用途への利用にもつながっています。 ダイヤモンドの見事な可能性は、この20年間で、宝石質のラボラトリーグロウン(合成)ダイヤモンドの急速な進化に拍車をかけました。

Diamond’s remarkable potential has spurred the rapid evolution of laboratory-grown gem-quality diamonds in the last 20 years.

天然ダイヤモンドの採掘

宝石としての価値に加え、ダイヤモンドは地球の奥深くで起きている隠れたプロセスを知る窓として、非常に大きな科学的価値があります。 GIAは、ラボラトリーを通過するダイヤモンドの量が非常に多いことから、他の研究グループにはない方法でダイヤモンドを観察し、ダイヤモンドから学ぶことができるユニークな立場にあります。 ダイヤモンドは、人類が地表で観察できる物質のうち最も深いところからもたらされたもので、そのほとんどは深さ150~200kmで形成されます。 希少な標本に含まれるインクルージョンを分析した結果、大型で最高品質の宝石用ダイヤモンドの一部は、超深層ダイヤモンドと呼ばれる特別なカテゴリーに属し、さらに深い地中600km以下から産出されることが明らかになりました。 ダイヤモンドは、35億年までさかのぼって地質学的時間の大きな割合を占めて形成されており、この比較的小さな結晶には、空間と時間の両方の地球の驚くべき記録が含まれています。


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Diamonds are effective messengers as they preserve and transport inclusions from the deep Earth and thus reveal much about our planet that would be otherwise inaccessible

色と光学的特徴の原因

GIAでは、希少なファンシーカラーダイヤモンドを検査するユニークな機会があります。 「伝統的」なダイヤモンドは無色かもしれませんが、天然ダイヤモンドはほとんどすべての色で発生する可能性があります。 ダイヤモンドは、飽和色と完全な無色のどちらにおいても価値がある数少ない宝石のひとつです。 しかし、多くのダイヤモンドは黄色や茶色がかった色調で産出します。 この色は、微細な原子レベルの格子不整や不純物に関連しており、科学的には「欠陥」または「光学中心」と呼ばれています。ダイヤモンドの色に寄与する光学中心は、その形成を理解することが、天然色と処理色を確実に区別する科学的根拠となるため、重要です。  GIAは、色の原因とあらゆる色のダイヤモンドの統計について詳しく論じた、これまでにない一連の記事を発表しました。

Colored Diamonds

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ラボラトリー グロウン(合成)ダイヤモンド

1950年代に初めて誕生したラボラトリーグロウン(合成)ダイヤモンドは、ダイヤモンド取引の様相を劇的に変えました。  宝石品質のラボラトリーグロウン(合成)ダイヤモンドは、高圧高温法(HPHT)または化学気相成長法(CVD)のどちらかで形成することができます。 グレーディングレポートのために提出されたラボラトリーグロウン(合成)ダイヤモンドの検査、ニュージャージーにある研究施設でのCVDダイヤモンドの育成、またはこれらの素材の処理による変化など、GIAはラボラトリーグロウン(合成)ダイヤモンドの特性評価と鑑別の最前線にいます。 

 



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グレーディングレポート ー 関連特徴

GIAは、国際的に認められているダイヤモンドのグレーディングスケールである4Cの考案者です。 レポートに記載されている品質要素のうち、GIAは長波紫外線に対する蛍光観察とともに、色とカットのさまざまな側面について常に研究し続けています。
 

Three Diamonds

  

高度な計測機器

目視では、ある種のダイヤモンドは見分けがつかないように見えるかもしれません。 GIAは、あらゆるダイヤモンドに存在する原子レベルの格子不整の有無、相対的な濃度および分布を評価するために、幅広い高度な分光学および画像技術を使用しています。 光学中心と呼ばれるこれらの特徴は、ダイヤモンドを鑑別する手がかりとなります。 以下は、使用された主要機器のスナップショットです。

先進的な研究機器について、詳しくはこちらをご覧ください。
 

 

フォトルミネッセンス(PL)分光法とマッピング

PL分光法は、10億分の1(ppb)レベルまで光学中心濃度を検出できる感度を持つため、宝石研究所の高度な検査に不可欠なツールです。 ダイヤモンドに存在する欠陥から特徴的なルミネッセンス(発光)を励起するためにレーザーが使用されます。 レーザーは紫外から近赤外までの波長のものが使用されます。 通常、ダイヤモンドは液体窒素の温度まで冷却されます(-196oC)。 サンプルを移動させながらデータを収集することで、何千ものスペクトルをまとめてつなぎ合わせ、欠陥分布図を作成することができます。

PL with Laser

  

可視・赤外吸収分光法

光が石を通過するとき、一部はダイヤモンドに存在する光学中心によって吸収されます。 可視波長域の吸収の結果は色として見えますが、赤外線(IR)領域の吸収の結果は目に見えません。 吸収スペクトルを注意深く分析することで、ダイヤモンドの色の原因を明らかにし、窒素やホウ素などの一般的な元素不純物の存在を示すことができます。 赤外吸収分光法は、ダイヤモンドのタイプ分類システムの基礎となっています。  

 

深紫外線蛍光画像

この装置は、超短波(<230 nm)の紫外線を使用します。これは、日常的な宝石学検査作業で蛍光観察に通常使用される紫外線よりも波長が短く、エネルギーが高いものです。 ダイヤモンドは深紫外線を強く吸収するため、サンプル表面付近に存在する欠陥が蛍光発光し、その分布の詳細な情報が得られるとともに、ダイヤモンドの成長パターンが明らかになります。 さらに、ほとんどすべてのダイヤモンドは、グレーディングレポートの(365nmの長波紫外線励起に基づく)紫外線蛍光表記に「紫外線蛍光:なし」として示されるものも含め、深紫外線光に対して観察可能な蛍光を発します。 

Diamond View

ダイヤモンドの鑑別に役立つ宝石学的手法がいくつかあります。  確定診断にならないことが多いものの、ダイヤモンドを日常的に分析するジェモロジストにとっては重要なツールです。

スクリーニングと宝石学的機器

GIAは、ダイヤモンドの特性評価を支援する革新的な機器や宝石学的ツールを、社内外のユーザーのために開発してきた長い歴史があります。販売可能な機器についての詳細は、https://www.gia.edu/instrumentsをご覧ください。

顕微鏡撮影法

顕微鏡撮影法(顕微鏡写真法とも呼ばれる)は、ジェモロジストや科学者が、高倍率(最大1000倍)のデジタル画像でサンプルの特徴、例えばダイヤモンドの特徴的な表面のテクスチャーや、天然またはラボグロウンのダイヤモンドが形成される際に閉じ込められた内部インクルージョンなどを撮影することを可能にします。 暗視野、明視野、偏光などのさまざまな照明条件を使用して、特徴を強調することができます。 これらの写真記録は、サンプルの起源に関連する豊富な情報を提供することができます。 

photomicroscopy
Left image: Sapphires, one of the rarest inclusions encountered in diamond, suggest an eclogitic origin. Field of view 0.99 mm. Right image: Brown stains were observed next to a green one at a trigon on a rough diamond.

蛍光性

ジェモロジストは、長波長(365 nm)または短波長(265 nm)にさらされたときのダイヤモンドの蛍光をよく考慮します。  長波紫外線蛍光観察(色と強度)もGIAのグレーディングレポートに記載されます。  蛍光挙動は、天然ダイヤモンドとラボラトリー グロウン(合成)ダイヤモンドを見分けるのにも役立ちます。  HPHT法やCVD法で成長させたダイヤモンドは、一般に長波紫外線よりも短波紫外線に強い蛍光反応を示します。対照的に、天然ダイヤモンドは短波紫外線よりも長波紫外線でより強い蛍光反応を示します。 さらに、HPHT法で成長させたダイヤモンドは、しばしば持続的な燐光(紫外線照射後の発光)を示します。

GIA iD100®

GIAは、天然ダイヤモンドとラボラトリーグロウン(合成)ダイヤモンドに関する数十年にわたる研究に基づき、取引業者や一般の人々が天然ダイヤモンドを確実に鑑別することができ、ラボラトリーグロウン(合成)ダイヤモンド、処理済みダイヤモンド、ダイヤモンド類似石である可能性のある疑わしい石にはさらなる検査の必要性を示すことができる、シンプルなスクリーニング装置を開発しました。  正確なスクリーニング装置であるGIA iD100®は、紫外線を照射した際のダイヤモンドの発光を自動的に収集・分析します。 天然の特徴が検出された場合、サンプルは数秒以内に「パス」と判断され、通過します。 そうでない場合は「referred/照会」となり、このサンプルはラボラトリーグロウン(合成)か類似石である可能性があることを示します。 これにより、ボタンを押すだけで、ダイヤモンドが天然かどうかを確認することができます。 主に無色およびほぼ無色のダイヤモンドの分析に使用されますが、ピンク、グリーン、ブラウン、ブルーのダイヤモンド用の追加機能も開発されています。 GIA iD100®の詳細については、https://discover.gia.edu/id100をご覧ください。  https://youtu.be/sKmMSvdd69w

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