ダイヤモンドのカット:印象の要因
1月 14, 2016
ダイヤモンドの最も重要な特性は何かとたずねた場合、その「凄い!素晴らしい!」などと思わせる印象が要因という答えが返ってくるのではないでしょうか。 誰もが友人、家族らに指や耳にある石の輝きに注目させて、称賛してもらいたいのです。
一番好きなダイヤモンドを決めるのに役立つものとしてカラット重量、色、クラリティ(透明度)、そして現実的に、価格などがありますが、しかしダイヤモンドのカットについては理解していないかもしれません。ダイヤモンドのファセットや角度がどのようにカットされ、研磨されたかが全体的な外観に影響します。それが「凄い!」と印象を受ける要因になります。
美しく仕上がった(カットされた)ダイヤモンドはあらゆるファセットがその職人の技と手入れを発揮するので、見事なものです。 ダイヤモンドが光と相互作用するとき、それぞれのファセットと角度が目に入る光の量に影響します。 これがダイヤモンドの表向きの外観になり、魅力的か否かを決めます。
ダイヤモンドの品質を表すためにGIAが開発したシステム、4Cの中でも、カットは最も重要です。 カラー、クラリティ(透明度)、カット、カラット重量の4つの要因は、GIAがダイヤモンドの世界標準として1950年代初めに作成し、インターナショナルダイヤモンドグレーディングシステムの基礎となっています。 GIAカットグレーディングシステムは、2005年に導入され、本物のダイヤモンドを見て、なぜ特定のダイヤモンドが優れて見えるか表現した何千という小売業者、製造業者、そして一般の人たちにより正当性を立証されています。このシステムはカットが優れているダイヤモンドの何を見るべきか理解するために役立ちます。
基礎知識
GIAカットグレーディングシステムは、最も人気の高いカットスタイルの標準ラウンドブリリアントと、クラリティ(透明度)がDからZのあらゆる色の範囲のものに適用されます。 カットグレードにはエクセレント(EX)、ベリーグッド(VG)、グッド(G)、フェア(F)、プア(P)の5つがあります。
カットグレードがエクセレントのダイヤモンドは非常に明るいです。 明るいエリアと暗いエリアのほどよいコントラストを示す均一のパターンを現し、鮮明なバランスの良い反射が見えます。 これはカッターが原石を最大限に利用したということです。
カットグレードがグッドのダイヤモンドはそれほど明るくなく、反射もそれほどはっきりせず、ダイヤモンドに暗がりやくすみがあります。
カットグレードがプアのダイヤモンドは暗がりやくすみのエリアがずっと顕著です。 ほとんどの方々は選択肢を与えられると、この石ではなく、最初のふたつのダイヤモンドのどちらかを選ぶでしょう。
上の写真は、ダイヤモンドのカットグレードがエクセレント、グッド、プア(左から右の順)のものを表示していますので、それぞれを比べてその違いをご確認ください。
他のすべてが同じであれば、カットグレードがエクセレントのものの方は常に魅力的なダイヤモンドである事を保証します。 カットグレードがベリーグッドのダイヤモンド、またはグッドのものでさえも美しいものですが、上の石と比較したときに多少見劣りします。
ダイヤモンドのカットを説明する言葉
完成したダイヤモンドの外観について話すとき、「きらめき」や「ファイアー」、「輝き/明るさ」、「型」のような言葉が使われます。 「美しいでしょう?このきらめきを見てください。 この石は生き生きしているでしょう」などという言葉を耳にされるかもしれません。
美しいダイヤモンドを美しく見せる光学的効果があり、それらが一緒になってダイヤモンドに生命が与えられ、特に、動かしたときなど視覚的アピールを決定します。 光学的用語は次のとおりです。
- 明るさ(ブリリアンスとも呼ぶ) – すべての白色光のダイヤモンドの内部反射および外部反射の効果で、拡散照明下での観察が最適です。 うまくカットされたダイヤモンドは、そのサイズや色、クラリティ(透明度)が同等であっても、カットの質が悪いものより明るくなります。 一般的には、ダイヤモンドが明るければ明るいほど、そのグレードは高くなります。
- ファイアーは、ダイヤモンドを通る白色光がスペクトルの虹色に分散されたときに発生します。 石をスポットライトの下で動かしたり傾けたりして赤、青、黄色、オレンジ色のきらめきを探してみてください。
- シンチレーションはきらめきと型の組み合わせです。 きらめきは、ダイヤモンドやそれを持つ人、または光源が移動したときにキラっと光るスポットです。 魅力的なダイヤモンドの反射は均等で、サイズのバランスが取れて見えます。
- 型(パターン)とは相対的なサイズ、配置、ならびにダイヤモンドの内部反射および外部反射から生じる明暗エリアのコントラストです。 鮮明ではっきりした外観のパターンで、気を散らす暗いエリアがないパターンになるには、明暗エリアに十分なコントラストがなければなりません。
プロポーション:すべてが一体となって作用
ダイヤモンドのプロポーションに関しては、個々の要素の総和より全体が大切です。研磨されたダイヤモンドのファセットの寸法や角度と、それらが互いにどのように関係するかということです。 完璧なカットダイヤモンドにさせるお決まりの「公式」や比率はありません。 テーブルサイズやクラウンの角度、パビリオンの角度など、これまで他の人が参照したような数字がすべて一体となって、目前の目を見張らせるほどの石が作られます。
これは、GIAの研究者たちがカットグレーディングシステムを開発したときに行った、7万個あまりの観察検査の過程で発見した驚くべき事柄のひとつです。 各カットグレードに入る比率、プロポーションの範囲があり、それゆえにグレード内の特定するダイヤモンド個々は明るさやファイアー、型に影響する観点では少し異なって見えることがあります。 このため、両者とも同様に良いものでも、特定の石も顧客により魅力的に感じる差異があります。
GIAシステムはひとつの決まった比率ではなく、ダイヤモンドの全体的な外観に重点を置いてます。
ダイヤモンドのカット:注意すべきこと
ダイヤモンドを上からの表面を見た場合、善かれあしかれ、これらの比率が一体化して目に入ってきます。 中央やテーブルの下、ガードルの周りの暗いエリアは原石の形に何らかの支障がきたされた可能性があることを意味します。 逆に言うと、明るく均等なパターンはカッターが細部の精度にまで配慮したということを意味します。
GIAシステムは、極度に厚いガードル、急なクラウン、深いパビリオン等を持つために重量が過度のダイヤモンドのグレードを下げます。 「ナイフの刃」のように過度に薄いガードルなど、損傷を受けやすい特徴を持つダイヤモンドもGIAカットグレードが下がる傾向があります。
カットグレードが高いダイヤモンドを幾つかじっくりと観察してみてください。 それぞれ多少異なるものです。もしかしたらその中でもカットグレードが低い方のダイヤモンドを好まれるかもしれません。
最後のヒント:目視観測と併せて使うグレーディングレポートは目で見ていることを確認するものですが、 最終的には、美しさは見る人の目によって決まるので、ご自分が最も引き付けられるダイヤモンドを選ぶようにしてください。
Amanda J. LukeはGIAのシニアコミュニケーションマネージャです。 現在、GIA Insider and Alum Connectの編集長であり、過去には『The Loupe』誌の編集長を務めています。