ダイヤモンドのお手入れとクリーニングガイド


Asscher(アッシャー)カットのダイヤモンド
「ダイヤモンドは永遠の輝き」というスローガンでダイヤモンドは消費者に知られている。 いくつかの取り扱い事項に注意を払えば、ほぼこのスローガン通りと言える。 10年前に人気のカットスタイルであったAsscher(アッシャー)カットは、現在再び高い人気を集めている。 この石は、DカラーでVVS2クラリティという優れた品質を持っている。
「ダイヤモンドは永遠の輝き」は、世界で最も有名な広告スローガンの一つです。 これにはさまざまな意味が含まれています。 ダイヤモンドの不朽の魅力を表すものでもあり、 ダイヤモンドの氷のような美しさを指してもいます。 そして、ダイヤモンドの耐久性も表しています。 ダイヤモンドの形成プロセスの結果として、信じられないほどの耐久性がもたらされます。

耐久性とは、摩耗、熱、化学薬品に耐え得る宝石の能力です。 耐久性は、硬度、靭性、安定性の3つの要素で成り立っています。 硬度とは、宝石が傷や磨耗に対しどの程度抵抗力があるか、ということです。 靭性とは、宝石の割れや欠けに対する抵抗力のことです。 安定性は、ダイヤモンドが化学薬品や温度変化に対しどの程度抵抗力があるかということです。

硬度
宝石や鉱物の硬度はモース硬度で測定されます。 この硬度スケールは、1812年にドイツの鉱物学者Friedrich Mohs(フリードリッヒ・モース)が10種の鉱物を選び、1つの鉱物が他の鉱物によって傷つけられることの相対的な容易さまたは困難さに基づいてこれらの鉱物に数字を割り当てたことが発祥です。 しかし、モース硬度には紛らわしい面もあります。 モース硬度を代表する鉱物間の硬度の間隔は均等でありません。 例えば、ダイヤモンドは数字上ではコランダムとはたったひとつしか離れていませんが、コランダムの宝石よりも何倍も硬いのです。 ダイヤモンドに傷をつけられるのは、ダイヤモンドだけです。
 
モース硬度表には示されていないが、ダイヤモンド業界にとって同様に重要な事柄として、ダイヤモンドはそれがセットされるいかなる貴金属に対しても傷をつけることができてしまう、ということがあります。 つまり、ダイヤモンドがゆるくセットされている場合、時間の経過とともに爪が摩耗してしまうことになります。
モース スケール
モース硬度表でダイヤモンドは最高の10と評価される。
靱性
ダイヤモンドも含め、どのような宝石でもしかるべき箇所に十分な衝撃を受けると割れが生じます。 靭性は、衝撃への耐性や、破断や欠け、割れに対する抵抗の尺度です。
ダイヤモンドは原子が緊密に結合している方向にはより強靭ですが、結合がゆるい方向では靭性は劣ります。

ダイヤモンド
先鋭な角やエッジをもつカットスタイルは、多くの場合、角を欠けから保護するために爪留めでセットされる。 - 提供:Ambar Diamonds
最も靭性の弱い方向は、原子同士が最も遠く離れています。 この方向ではダイヤモンドは容易に破断し、これは劈開方向と呼ばれます。 カット職人は、劈開方向に鋭く叩くことでダイヤモンド原石を分割することができます。 カット後であっても、大きな衝撃によってダイヤモンドが劈開を生じることがあります。 これはセッティング工程中、また着用中にも起こる事があります。

安定性
安定性はダイヤモンドが温度変化や化学薬品にどれだけ抵抗力があるかを表す用語です。 ダイヤモンドは非常に安定しています。 まずひとつに、ほぼすべての酸に対し耐久性があります。 また、カット工程には大量の熱が発生しますが、通常ダイヤモンドは影響を受けません。 ダイヤモンドの安定性をより脅かす状況としては、突然の極端な温度変化を伴なう場合です。 これらの変化では熱衝撃が発生し、新たなフラクチャーや劈開を生じたり既存のフラクチャーや劈開が拡大する場合があります。
 
ダイヤモンドは約850℃(1562°F)で燃焼します。 住宅火災や彫金用のバーナーは、その温度に達することがあります。

ダイヤモンドをリカット
住宅火災により、このダイヤモンド(左)は白く曇った外観となってしまった。 この石は再カットして燃えた部分を取り除き、ダイヤモンドのサイズは小さくなったが、ダメージの痕跡は全く見られなくなった(右)。
クリーニング
ダイヤモンドは糸くずの出ない布、市販の宝飾品用洗浄液、家庭用洗剤で安全に洗浄することができます。
 
家庭用でも刺激の強い洗浄方法は推奨しません。 例えば粉末状の家庭用研磨洗浄剤、超音波洗浄器、スチームクリーナーなどです。

洗浄装置
超音波洗浄器やスチームクリーナーでは、宝石のセッティングが緩んでしまうことがあります。 ジュエリーの専門家はこれらの機器を使用する前に、ジュエリーに付けられたセッティングの緩くなった石について慎重に調べます。