作業ヒント#10: ベクトル締め付け法を使用してプロングの金属メモリーを克服
対角締め法
緩くなった宝石は、宝石自体と台枠の両方にダメージを与える恐れがあります。 宝石の定期点検では、より早期段階でこうした問題を検出することができ、非常に相当の損傷を未然に防ぎます。 石のベクトル締め付けプロングセッティングは、宝石を素早く固定するための安全で効果的な方法です。例えば、当機関ではラウンドブリリアントカットの石に4極ヘッドを使用しています。 単純に石の中心に向かって突起を押し込むことで、石を締めしようとすると、最も直接的な方法に想えますが、おそらく安全ではありません。 突起内の金属の「メモリ」が、本来の位置に跳ね返してしまい、石は依然ルースのままとなるからです。 ベクトル締め付けでは、金属メモリを除去するために2つの異なる方向(ベクトル)に突起を移動させます。 結果的にプロングが石の中心に近寄り、しっかりと石を固定できます。 ベクトル締めにフラットまたはチェーン・ノーズのプライヤーを使用できますが、並列ジョーのプライヤーが最適です。
手順を効果的に視覚化できるように、固定位置のセッティングをイメージしてください。しかし、作業ベンチでは、最適の効果が得られるようセッティングを変更してください。 このようにすると、調整する突起がごちゃ混ぜにはなりません。
最初に、右側(上側および右下)の2つの突起をくっ付けるようにそっと押し寄せます。 次に、左側の突起についても同じように押し寄せます。 突起を互いにくっ付けるように押し寄せると、突起が石の外周を「スライド」します。 あまり強く押し寄せずに、サイドの突起間の感覚を約3分の1縮めるような感じで行います。
この時点で、上部2つの突起と一番下の2つの突起の間の間隔が大きすぎるように見え、左右両側の2つの突起間の間隔が小さすぎるように見えるはずです。
次に、上部(左上および右上)2つの突起をくっつけるように押し寄せると、当初の間隔が復元されたかのようになります。 底部の突起については繰り返します。 この時点で、宝石は締まっており、突起は等間隔に位置しているはずです。
最初は両サイド、その後上部と底部という2方向への突起の動きですが、張力を付与するため、いくぶんか、バネが付いているかのようで、しっかりと宝石に固定します。